JR九州が進めるSL復活プロジェクトです。
SLは車体の改修がほぼ終了し、一般公開の後、きょう熊本に到着しました。
プロジェクトのリーダーとして復活を手がけたのは、祖父と父親の後を継いだ一人の鉄道マンでした。
力強い汽笛を鳴らす8620形蒸気機関車、通称ハチロク。
JR九州の小倉工場で改修が進められてきましたが車体と客車がほぼ完成し、往年の輝きを取り戻しました。
復活後、初めてのお披露目となった北九州市での一般公開にはおよそ2700人のファンが集まりました。
気さくに写真を撮っているこちらの男性、小倉工場の小田政俊さんです。
今回のSL復活プロジェクトのリーダーを務めています。
多くのSLが力強い走りを見せていた1970年、小田さんは「SLの修繕をしたい」として当時の国鉄に入社しました。
祖父、父も国鉄の社員としてSLに携わっていた親子3代続く鉄道マンです。
大正11年に製造されたハチロクは現在、JRが各地で運行しているSLのなかでは、最も古い車体です。
このため、完全な図面が残っておらず、小田さんはOBや当時の設計士の話などを参考に一つ一つのパーツを再現していきました。
力強い汽笛と無骨な外観からは想像が出来ないほど、繊細な仕組みをしているというハチロクを、小田さんは1人の女性のようだと話します。
SLの土台にあたる台枠に、心臓部にあたるボイラーを取り付ける日です。
新しく作り直した台枠と修復したボイラーが合うのか、小田さんが最も心配していた作業です。
およそ2年に及んだ改修作業は順調に進み、先月には試運転も始まりました。
きのうは福岡市の博多駅で二度目のお披露目。
ホームに2000人のファンが詰め掛けるなど、大盛況でした。
お披露目後、ハチロクは、きょう未明に熊本県の車両センターへ運ばれました。
4月25日から肥薩線で「SL人吉」として運転するまで最終調整に入るためです。
小田さんとハチロクはその日までしばしのお別れです。