2009年3月21日12時21分
65歳未満でアルツハイマー病などの認知症を発症した「若年性認知症」の人が、働き盛りの40代後半で10万人に27人の割合でいるとの推計が厚生労働省研究班(代表=朝田隆・筑波大教授)の調査で明らかになった。30代前半は同5.9人、60代前半は同189.3人で、年齢が上がるにつれ急増していた。
06〜08年度に茨城、群馬、富山、愛媛、熊本の5県で、認知症の人が利用するすべての病院やグループホームなどを調べた。18〜64歳全体の全国推計は約3万7800人で、10万人当たり47.6人が若年性認知症という計算だ。別の手法による97年の推計では2万5600〜3万7400人で、厚労省老健局は「ほぼ横ばい」とみている。
家族への影響は深刻だ。87人の若年性認知症患者について調べたところ、介護する家族の6割が不眠や食欲不振を訴え、抑うつ状態にあるとみられた。家族を支える現役世代が発症したことなどで、7割で収入が減ったと回答。大半が専門的な支援サービスが必要と訴えたという。
厚労省は新年度予算案で、初めて若年性認知症対策に1億5400万円をあて、専門のコールセンターを開設する方針だ。(中村靖三郎)