【東京】在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定について琉球新報はこれまで11人の識者や政府関係者に協定の意義、課題などを聞いた。仲井真弘多知事が求める普天間飛行場代替施設の沖合移動は、協定で否定されないとする中曽根弘文外相に対し、ケビン・メア氏(在沖米総領事)は日米合意の実施を協定で再確認したものとし、合意修正の余地はないとの見方を示す。普天間返還と嘉手納より南の基地返還とのパッケージ(一括実施)や日米の財政負担など、さまざまな視点をあらためて整理する。
グアム協定と沖合移動について、中曽根氏は2月の衆院予算委員会で「沖合移動などの議論と協定とは直接関係しない」と述べ、沖合移動を否定しないとの見解を示した。これに対しメア氏は「滑走路の位置を詳しく決定した日米合意を着実に実行するための協定だ。修正する時期ではない」と知事要求を突っぱねる。
一方、作家の佐藤優氏(起訴休職外務事務官)は「沖合移動の余地を残したとぎりぎりのところで読むことはできる」と可能性に言及するが「国際法の有権的解釈は外務省にある。米国が文句を言わない限りは外務省はでたらめな話ができる」と政府説明をうのみにしないよう警告する。
パッケージについては、多くの識者が「基地負担軽減のための普天間飛行場返還だったのに、グアム移転という違う政策手段とパッケージにするのはおかしい」(佐藤学沖縄国際大教授)などと批判する中、元外交官の宮家邦彦氏(AOI外交政策研究所代表)は「むしろ嘉手納より南の土地返還を米側に約束させたという沖縄側のメリットだ」と逆の見方を示す。
協定署名に至る直前まで、沖縄側に説明がなかったことには「既成事実だけ押し付けられた」(新崎盛暉沖縄大名誉教授)、「国会承認で意見を聞いたことにするマジョリティー(多数派)の論理」(我部政明琉球大教授)と指摘が相次ぐ。
政府は他年度にわたる多額の予算支出を担保するために協定が必要だと説明する。宮家氏は「考え方としてはあり得る」としながらも「必ずしも法的にする必要はない」と絶対要件ではないとする。その背景に、次期衆院選挙で政権交代しても日米合意が白紙にならないよう「新しい政府を拘束するため」(山口二郎北海道大大学院教授、前田哲男軍事ジャーナリスト)とみる識者も多い。
我部氏は、日本が多額の税金を外国での基地建設に投入することに「税金の使い方の検証が困難」と懸念、法政大講師の明田川融氏や評論家の太田述正氏(元仙台防衛施設局長)も移転費負担割合に疑義を唱える。
米側の意図について宮里政玄氏(沖縄対外問題研究所代表)は「日本にアフガニスタン支援など要求すべきことがあり、米軍再編は早く抑えたい。早く前政権からの残務処理をしたいといういらだちがある」とみている。(与那嶺路代)
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