「今後はプランを着実に実行し、職員一丸となって一日も早く病院を再建し、地域住民の安心を確保したい」。2月26日の伊南行政組合議会定例会。杉本幸治組合長はあいさつで、昭和伊南の再生に向け、こう決意を述べた。
再生の拠り所となる昭和伊南総合病院の経営改革プランとは、経営コンサルタントによる分析と経営の方向性を踏まえ、問題点を洗い出す中で医師数などの現状を前提にした再建計画だ。2009年度から13年度までの5年間を計画期間としている。
策定に当たっては、地域の住民や医師会、伊南4市町村議会の代表らで構成する病院運営審議会を設置。委員から出された意見を反映して修正を重ね、同組合議会の了承を受けた。
改革プランは、10年度の黒字化を目指している。許可病床数300床のうち、現在は235床で運用している届け出病床を220床に縮小し、病床利用率80%台を目標とした。脳神経外科、外科、内科をはじめ健診センターなどの昭和伊南の強みを生かしながら、常勤医が不足している整形外科、産婦人科、小児科などの医師確保に努めるとしている。
経営形態の見直しでは、現行は一部を適用している地方公営企業法の全部適用に09年度に移行し、組合長が任命する企業管理者を配置。企業管理者は経営に一定の権限を持ち、予算調整や職員給与・勤務条件などについて弾力的な運用が可能とする。
病院側は「企業としての独自性が高まり、スピーディーな決定ができる」とメリットを強調する。
経営改善に向け、大きな課題となるのが経費の節減だ。中でも医業収益に対する職員給与費比率が高いことが経営を圧迫している要因として、07年度に68.2%だった比率を10年度以降は55%前後に抑える計画だ。全国自治体病院の100床当たりの職員数を目安にした職員削減と、近隣の公立病院並みを目標にした給与水準の適正化も図る。職員給与は09年度、医師を除いて一律4%カットも予定。職員労働組合との協議を行っているという。
夜間を含めた救急医療体制は従来通り堅持し、焦点の救命救急センターについては、 今後の方向を県が加わる新たな組織の中で検討することを提案している。