(2008年11月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
韓国の大宇ロジスティクスはアフリカのマダガスカル共和国に、韓国向けの食糧を栽培するための農地を確保した。外交筋や専門家によると、食糧安全保障のために外国に農地を確保する動きとしては過去最大規模となる。
大宇ロジスティクスの発表によると、同社はマダガスカル政府との間で、130万ヘクタールの農地――ベルギーの国土のほぼ半分に相当――を99年間リースする契約を結んだ。
同社は、栽培されたトウモロコシとパーム油を韓国向けに出荷する計画だという。契約の条件は明かされなかった。
外国での農業投資を追求する動きは、今年の食糧危機――小麦や米などの農産物価格が史上最高値をつけ、エジプトやハイチをはじめ世界各国で暴動が起きた――を受け、食糧安保に走る各国政府の取り組みをはっきり映し出している。
農産物の価格は歴史的な高値からほぼ半値に急落したが、各国はなお、長期的な食糧供給に対する懸念を抱いている。
確保した土地はマダガスカルの耕作適地の半分
国連食糧農業機関(FAO)は今年、一部の国が外国での農地確保を競い合う動きは「新植民地主義」を生む恐れがあると警告した。こうした懸念は大宇の一件で一層高まる可能性がある。というのも、米政府の試算によれば、大宇ロジスティクスがマダガスカルに確保した農地は、同国の耕作適地のほぼ半分に相当するからだ。
大宇ロジスティクス幹部のシン・ドンヒュン氏によると、同社は南アフリカ共和国の労働者を使って、今後15年間かけて確保した土地を農業向けに開発する計画。韓国のトウモロコシ輸入量のほぼ半分を置き換える狙いだという。
人口が密集しながら資源に乏しい韓国は、世界第4位のトウモロコシ輸入国で、大豆輸入国としても上位10位に入る。
農業コンサルティング会社ビドウェルズ・アグリビジネスのカール・アトキンス氏は、大宇ロジスティクスの対マダガスカル投資は過去に例がない規模だと言う。「世界各国が食糧安保の改善を図る中で、大宇のプロジェクト自体には驚かないが、その規模には驚かされた」
ローマに本拠を置くFAOのシニアエコノミスト、コンセプシオン・カルペ氏は、大宇の投資は今年の食糧危機を受けたもので、「各国が食糧安保を改善するために、農地のリースや購入を狙っている」と話す。
アブダビ首長国に本拠を置く投資会社アルクドラ・ホールディングスは今年8月、2009年第1四半期までにアフリカおよびアジア諸国で、合計40万ヘクタールの耕作適地を購入する計画を明らかにした。
一方、エチオピアのメレス・ゼナウィ首相は今年、中東諸国の投資用に数十万ヘクタールの農地を提供することに「極めて前向きだ」と語っている。
高級リゾート宿泊券が当たるJBpressアンケート・キャンペーン!
3月31日まで実施中です。詳しくは、こちらのページをご覧ください。