英紙フィナンシャルタイムズが韓国農業の海外進出を問題視している。韓国の物流企業、大宇(デウ)ロジスティックスがアフリカのマダガスカル共和国に進めている130万ヘクタールにのぼるトウモロコシ農場がまな板に載せられた。
同紙は新植民主義という表現も厭わなかった。「食糧安保」という名の下、貧しい国を収奪するということだ。この農場は地元の人々に全くプラスにならないと批判した。フィナンシャルタイムズは先進諸国の銀行が資金を提供し、地元農民の生産性を向上させ、残る穀物を輸出する方式が新しい代案のひとつだと提案した。
現在、大宇ロジスティックスが確保しようとする土地は、全く開発されていないいわゆる「限界土地」が大半だ。またマダガスカルの主食はコメと小麦だ。こうした作物すら裁培できない荒れ地を開墾し、トウモロコシを植えるのが果たして地元住民の食糧を奪う植民主義なのかは疑問だ。
またこの農場が開発されれば失業に苦しめられる地元の人々に少なくない賃金が支給される。マダガスカル政府は農場収益の3割を法人税と関税として徴収する。未開拓地をそのまま放っておくのか、それとも99年期限の長期賃貸契約を結び、大宇ロジスティックスが多大な農業インフラに投資できるようにするのが良いかは、全的にマダガスカル政府と国民が選択すべき問題だと思われる。
すでにマダガスカルには英国のバイオ燃料会社「D1オイルズ」がバイオディーゼルを作るための大規模なジャトロファ(Jatropha ナンヨウアブラギリ)バイオディーゼル燃料農場を運営している。少なくないフランス企業も現地にプランテーション(栽植農園)を所有している。なぜ欧州企業には目をつぶり、韓国企業だけを非難するのか気になる。
万が一、欧州のアフリカでの既得権を守るための意図だとすれば、ただならぬ問題である。韓国は慢性的に穀物を輸入している国だ。生存レベルから一歩遅れて海外農場の確保に乗り出したのに、新植民主義として非難されるべきではない。
それなら欧州が所有するアフリカの大規模な農場はいったい何か。フィナンシャルタイムズが提案した代案は非常に理想的だと考える。しかし英国の諸銀行から率先してマダガスカルの農民にお金を貸すのが順序ではないかと思われる。自国の見方で外国企業を非難する海外メディアに接し、改めて冷厳な国際経済の現実を痛感させられる。