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ゲーセン苦戦続く 不況直撃、携帯機に押され...

空席が目立つゲームセンター。携帯ゲーム機の台頭で苦戦している=大阪市中央区(竹川禎一郎撮影) 「スペースインベーダー」「プリクラ」など、かつては一大ブームを作ったゲームセンターが苦境に直面している。携帯ゲーム機の急伸と、不況で外出を控えて自宅で過ごす“巣ごもり消費”により、市場規模が減少。業務用ゲーム各社は、センターの従業員教育の強化や、携帯ゲーム機との差別化など対抗策を打ち出している。

 大阪・キタの繁華街にあるゲームセンター。かつては夜ともなると、帰宅途中の若いサラリーマンや大学生らの若者でにぎわっていたが、ここ数カ月で客足が急速に遠のいた。

 管轄する曽根崎署によると、営業の届け出があったゲームセンターは5年前には53店あったが、今年2月時点で41店に減った。全国的にも、警察庁の調べでは、平成19年は約8600店と前年より約500店減っている。

 「最近は常連客ばかりが目につくようになり、新規客が少なくなった。小箱の店では閉店に追い込まれている店も多い」とゲームセンターで10年間勤務する従業員男性(33)は話した。

 日本アミューズメント産業協会(東京)によると、平成19年度の業務用ゲーム市場は前年比約3%減の約8970億円と6年ぶりにマイナスに転じた。

 これまで業務用ゲーム業界は、数年をサイクルにヒット商品を生み出してきた。約30年前に社会現象ともなった「スペースインベーダー」、約20年前には写真シール製作機「プリクラ」などが幅広い層から人気を得てブームとなった。直近では、子供向けの「甲虫王者ムシキング」などのカードゲームがヒットしたが、それ以降はヒットが生まれていない。

 一方、携帯ゲーム機や家庭用ゲーム機の急伸ぶりはめざましい。ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の販売台数は世界全体で5000万台を超えた。ほぼ、同時期に発売された任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の販売台数は、昨年末時点で9622万台に到達。家庭用ゲーム機「Wii」も日本のみならず、世界でヒットしている。

 こうした厳しい状況に業務用ゲーム各社も決して手をこまねいているわけではない。

 業界大手のタイトーでは昨年1月、ゲームセンターの従業員教育に取り組むスクールを設立。専門の講師を招いて店長クラスを対象に接客マナーの質を向上させる授業などを行い、集客アップにつなげようと必死だ。

 セガでは、国内のゲーム機をネットワークで結び、最大10人対10人のチームがロボットで対戦できる「ボーダーブレイク」を開発。バンダイナムコゲームズも、デジタルサラウンド機能を付けた臨場感あふれるガンシューティングゲーム「レイジングストーム」を年内に発売する。

 「業界は転換期を迎えている。家庭用ゲームとの差別化を図るため、ゲームセンターでしか味わえないゲーム機を開発する一方で、接客マナーの向上など、これまでになく多角的に取り組む必要がある」とタイトーの広報宣伝チーム、弓削和美マネージャーは話している。

【写真説明】空席が目立つゲームセンター。携帯ゲーム機の台頭で苦戦している=大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)

 

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