この料理の由来・おはなし
ひっつみは地元の食材を使い家庭で手軽に作れる伝統食として、おふくろの味として古くから親しまれてきた岩手の郷土料理です。
ひっつみの名の由来は引っ摘むという意味の方言「ひっつみ」であるといわれています。
その昔、ひっつみは、ごはんの足りないとき、主食として特に夕食に食べることが多く、いろいろな材料で調理することにより冬の寒いときは体のしんから温まり、とくに美味しいバランスのとれたごちそうでした。
小麦粉を水で練り、耳たぶくらいのやわらかさにしてふきんをかけて2時間程度ねかせておく。ねかせておくと、おもしろいようにのびる。
ゴボウ、にんじん、大根、ネギなどの野菜を入れ、醤油または、すましで味付けし、煮立っているところに、こねた小麦粉を左手に持ち、右手に水をつけながらうすくのばして食べやすい大きさにちぎって入れる。煮えると浮き上がってくる。これを熱いうちに食べる。だしに、かじかや岩魚などの川魚を焼いて干しておいたものや、干しきのこ、まれにきじや鶏肉を使うこともあり、それは本当に美味しいものです。
<南部ひっつみ>
ひっつみの定番。芯まであったまる冬の鍋です。鍋のだし汁に、ごぼう、人参、きのこや鶏肉を入れ、最後に長葱、みつ葉、せり等を入れて仕上げます。
●材料 (4人分) |
(A)┌小麦粉
└水
だし汁
┌日本酒
(B)l しょうゆ
└塩
鶏もも肉
ごぼう
人参
きのこ(舞茸・しめじ・生しいたけ等)
長葱
みつ葉・せり等
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300g
200cc(約1カップ)
8カップ
大さじ2〜3
大さじ3〜4
小さじ 1〜1と 1/2
1枚
80g(約1/2本)
80g(5cm位)
適量
1本
適量
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南部ひっつみ |
【 作り方 】
(1) |
・深めのボールに(A)の小麦粉を入れて水を加え、耳たぶくらいの柔らかさにこねてまとめ、ぬれぶきんをかけて2時間位ねかせます。 |
(2) |
・鶏肉はぬれぶきんをしぼってきれいにふいて、一口大に切ります。
・ごぼうは大きめのささがきにして水にはなし、アクぬきをします。
・人参はたんざく切りにします。
・きのこはそれぞれ食べよい大きさにさきます。
・生しいたけは薄切りにします。
・長葱は斜め切り、みつ葉やせりは、3〜4cmの長さに切ります。 |
(3) |
・鍋にだし汁、ごぼうを入れて火にかけ、少し煮えたら人参と鶏肉を入れ、一煮立ちしたらアクをとり(B)で調味し、きのこを入れます。 |
(4) |
・(1)の生地を左手に持ち、右手に水をつけながらうすく延ばして、食べやすい大きさにちぎって煮立っている(3)の鍋に入れます。 |
(5) |
・ ひっつみは煮えると浮きあがってきます。最後に長葱を加え、更にみつ葉やせりを入れます。 |
【ポイント1】ひっつみに王道なし!!
ひっつみの作り方は、地方や家庭で千差万別。
ここでは、鶏肉味のひっつみを紹介しましたが、川魚や煮干し、カニ、魚介の缶詰などお好みで作ることができます。
ポイントは、小麦粉で練ったひっつみに絡んでも負けない強めのだしを作ることです。
三陸沿岸地域では、豊かな海の幸を入れます。さんまのすりみにおろししょうがや味噌を加えて団子にし、一味違った美味しいひっつみに仕上げます。

さんますりみひっつみ
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松茸ひっつみ |
山の幸にも恵まれた岩手。
ちょっと贅沢ですが松茸をふんだんに入れた<松茸ひっつみ>は、いかがでしょうか?鶏ささみと薄切りの卵焼きと松茸の味が絶妙にマッチした絶品高級ひっつみです。
【ポイント2】鶏肉の種類
鶏肉も各部位で味が多少変わりますが、もも肉を使うとコクとうまみが出ます。皮付きもおすすめですが、あの歯触りが苦手な場合は、皮がついたところをしっかりと炒めればOKです。
【ポイント3】上手なひっつみの作り方
ひっつみを鍋に入れるときそのままでは手にくっついてしまいます。水を入れたボールを用意して、ぬらしながら延ばせば解決です。
またそのまま入れて、だし汁が濁ったひっつみになるのがいやという方は、一度別の鍋でゆでて冷水にとったひっつみを入れれば汁は濁りません。
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