蜂産品
ハチミツ
種類によって異なるが、平均的にみると、主成分は水分20%、ブドウ糖35%、果糖40%、ショ糖数%である。ブドウ糖と果糖は、砂糖などのように吸収するため、体内で分解する必要がなく直ちに吸収され、体の衰弱した病人などには良いと言われている。
微量成分としては、無機質として鉄、ナトリウム、カリウムなど、酵素としてジアスターゼ、その他アミノ酸、ビタミンB1、B2、パントテン酸なども含まれている。蜂蜜は、このような栄養的価値を含む食品というほか、殺菌、消炎、造血、細胞賦活性などについて研究が進められ、その効果が期待されている。
プロポリス
プロポリスは植物が主に芽を保護するために分泌する滲出物を蜜蜂が集め、巣の補強材として巣枠や巣箱の隙間に充填するものを採集したものである。成分としては、ヤニ類55%、ロウ類30%、油性物資10%、花粉5%が含まれており、殺菌力が強く、細菌やウィルスを防ぐ効果を持つ。また、フラボノイドをはじめとする植物起源の天然物を多く含んでおり、最近ではガンの特効薬として大変注目されている。さらに、プロポリスは活性酸素の抑制にも効果があると考えられている。活性酸素とは身体の細胞、組織を構成しているタンパク質、脂質、糖、核酸などいろいろなものと反応しやすくなった酸素のことで、糖尿病、動脈硬化、脳血管障害(脳卒中)、老人性痴呆などの病気の一要因とも考えられ、この活性酸素の抑制にも効果があると言われている。
プロポリスは、最近では健康食品として幅広く用いられ、ストレス、風邪、鼻炎、花粉症などの症状が気になる人に適している。
ロイヤルゼリー
蜜蜂が体内で合成、分泌するローヤルゼリーは、女王蜂の餌として大量に巣房の中に蓄えられるため、人工的に女王蜂の幼虫を養成することでその巣房に蓄えられたローヤルゼリーを集めることができる。成分は水分66%、糖質15%、タンパク質11%、脂質7%、ミネラル1%である。自然のローヤルゼリー中には女王蜂にとってはもちろん、人間の体内に欠かすことのできない必須アミノ酸をはじめ、各種のビタミン類やミネラルなどがバランスよく、しかも豊富に含まれている。中でも、10ヒドロオキシデセン酸はローヤルゼリーのみに存在し、ローヤルゼリー酸とも呼ばれ、品質判定の決め手とされている。また、アセチルコリンやパントテン酸が他の食品に比べて非常に多く含まれていることもローヤルゼリーの大きな特性である。
ローヤルゼリーは、人間の健康維持のために栄養補助食品として利用されており、市販されている商品は多種・多様であるが、大別すると生ローヤルゼリーと加工調整ローヤルゼリーの二つである。滋養強壮剤として用いられたり、健康食品として食用にされる他、保湿効果成分として化粧品類にも添加されている。中には、プロポリスや花粉を混合した食品も開発され、好評のようである。
ハチ花粉
花を訪れたミツバチは、雄しべより、あるいは体に付着した花粉を後ろ足にある花粉籠に団子状に詰め込み、巣に持ち帰ります。
色、形、大きさはそれぞれですが、これをもとに働き蜂はローヤルゼリーを作り、女王蜂は産卵するための原動力にします。
有効成分の含有率は、種類により異なりますが、一般的に栄養価は大で、高単位の各種アミノ酸(必須アミノ酸のすべてを含有)、各種ビタミン、各種ミネラル、酵素類、また、重量比率の過半に及ぶ、単糖類のブドウ糖、果糖、二糖類のショ糖、などが特筆されます。
商業的に利用される花粉は、シスタス、オレンジ、トウモロコシ、松、茶などで、人間の消化器系においては、強固な細胞膜を破壊または除去したものでなければ、消化吸収効率は低度ですが、今日では本来の有効成分に影響を与えずに細胞膜を処理した、吸収効率の優れた加工品が豊富に流通しています。
ミツバチ毒
蜂針療法は、西洋ミツバチの蜂針を使用する療法です。有効だと考えられる疾患として、風邪からガンまで、数限りない報告があります。
この療法の歴史は古く、紀元前2000年頃の古代エジプト人やバビロニア人も利用したと言われていますし、紀元前460〜181年頃になると、ヒポクラテスやガレーヌスが蜂毒の効果を記述しています。
中世ヨーロッパ諸国でも、リューマチに効果を上げていたようです。近年でも、旧ソ連を初め、イギリスやドイツや合衆国でも相次いで蜂毒に関する薬理的効果の研究が発表されています。
現在、蜂針療法は世界各地で行われ始めており有力な代替医療の一つとしても注目されています。
「痛いだろう」って?「当たり前ですよ」と言いたいところですが、それがそうでもありません。
施術者は、ピンセットを用いて、ミツバチの毒針を一旦腹部から取り出した後に刺入する深さや、留置する時間や、本数を調節することで、毒液(蜂針液)量を調節しますので、チクッとする程度でその痛みは殆ど気になりません。
もちろん痛いのがお好みならそれも可能です。
何故、効果があるのでしょうか。
一匹のミツバチは、0.1mgほどの蜂毒を持っていますが、その成分として凡そ50種類が知られており、その多くが実はヒトも体内に持っているものです。これらの成分は単独では必ずしも体にとって有益なものばかりではありませんが、これこそが配剤の妙といいましょうか、複数の成分が相乗しあって効果を発揮します。蜂針が皮膚に刺さると、蜂針液は急速に皮下に浸透して血行を良くし、炎症を抑え、痛みを和らげ、細菌やウイルスといった微生物を殺し、神経系や免疫系を賦活します。ドイツ国立ガン研究所の発表では、職業別ガン発生率は、養蜂家のそれは、著しく小さく、その理由としては、養蜂家が蜂蜜やローヤルゼリーをたくさん摂るからではなく、ミツバチに頻繁に刺されているからだ、と結論づけているくらいですから、その効果の一端は、想像していただけるでしょう。
また、東洋医学で言うツボを基本に経絡をたどって要点に刺針すれば、蜂毒の薬理効果に加え、鍼灸としての効果も期待できます。
4千年以上の長きにわたってその効果と安全性が検証された蜂針療法ですが、ごく稀に、体調の急激な変化などにより、蜂針液に対するアレルギーが生じることがあります。劇症形のアナフィラキシーショックも起こりえます。蜂針療法の施術者には充分な教育と、普段の研鑽とが、求めるられることは言うまでもありません。