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Tet- OnとTet- Offはどう違うのですか? |
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テトラサイクリン(実際にはその誘導体ドキシサイクリン)が存在すると遺伝子発現の誘導が起きるものをTet-On、テトラサイクリン非存在下で遺伝子発現の誘導が起きるものをTet-Offと呼んでいますが、両者に本質的な違いはありません。
当初開発されたTet-OffシステムのTetRを改変(アミノ酸置換)したrTetRを用い、テトラサイクリン存在時にのみtetO配列に結合させ発現の調節を行うのがTet-On システムで、互いに逆の効果を示すことに基づいています。
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Tet- On とTet- Offのどちらを使えばよいですか?また、どちらの方が誘導倍率が高いのですか? |
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Tet-On とTet-Off のどちらか一方が必ずしも優れているわけでありません。
また、お手持ちの細胞がTet-On、Tet-Off のどちらのシステムにより適し、より高い誘導倍率、絶対発現量が得られるかをあらかじめ予測することはできません。
これまで、細胞内に残存するテトラサイクリンを完全に除けないため、遺伝子の発現を停止させる目的にはTet-On は適していないと言われましたが、転写サイレンサー(tTS)を発現するpTet-tTSベクター(Cat. No. 631011)を併用すること でバックグラウンドの大幅な低減を実現しました。
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従来のTet-On/Offシステムと新しいTet-On/Off Advancedシステムの違いは? |
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Tet-On/Off Advancedシステムには改変された調節ベクター(pTet-On/Off Advanced Vector)が採用されています。
従来型の調節因子(r)tTAのTetRリプレッサー遺伝子のコドンを哺乳類での発現に最適化し翻訳効率を高めています。
さらに(r)tTA-AdvancedはDox(Tet)に対する親和性を高めることによって、オペレーター配列への結合、乖離が正確に行われ非誘導時の微量なリークが大幅に低減されています。
また、トランスアクチベターのVP16転写活性化領域を分割し反復させ、細胞内での発現特性を改善しています。
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調節ベクターと応答ベクターの組み合わせに制限はありますか? |
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クロンテックのTetシステム製品であれば、調節プラスミド(pTet-On/Off,pTet-On/Off
Advanced Vector)と応答プラスミド(pTre, pTre2-Hyg, pTre-Tight Vectorなど)は任意に組み合わせてお使いいただけます。
レトロ(Retro-X Tet-On/Off Advanced Inducible Expression System)、アデノシステム(Adeno-X
Tet-On/Off Expression System 1,2)と併せてお使いいただくことも可能です。 |
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ドキシサイクリン(Dox)を使うのはなぜですか? |
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テトラサイクリン(Tet)の誘導体ドキシサイクリンの方がより強い転写誘導活性を示し、テトラサイクリンの約1/100程度の濃度で同じ活性を示します。
Tet-Onシステムの場合には(r)tTAとテトラサイクリンとの結合が弱いため、かならずドキシサイクリンを使用する必要があります。
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どの程度の発現量、誘導倍率が得られるのですか? |
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pTRE(Tight) プロモーターを誘導することにより非常に高い遺伝子の発現量が得られます(CMVプロモーターと比較して最大約35倍)。
また、本Tetシステムを用いて、10,000倍以上の発現誘導倍率が得られています。 |
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リプレッサータイプのTetシステムとの違いは? |
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TetRを単にCMVプロモーターのリプレッサーとして使うTetシステムでは誘導時の発現レベルはそれほど高くなりません(Tet-On/Offシステムでは、(r)tTAのVP16転写活性化因子により転写の活性化を行っています)。
また、転写抑制のためには高レベルのtetRリプレッサーの発現量が必要になり、CMVが働かない細胞ではお使いいただけないということになります。
*クロンテックは、siRNAシステム(Knockout Tet RNAi System)でのみリプレッサーによるプロモーター調節を採用しています。
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2重安定株細胞を樹立しても非誘導時のLeakによる発現はありますか? |
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現在、市販の哺乳類細胞用の遺伝子発現調節システムで、非誘導時の発現を完全になくせる調節性プロモーターは存在しません。
弊社のTetシステムでは非誘導時のLeakによる発現レベルを低く抑えることで、他のシステムに比べ非常に高い誘導倍率を実現しています。
毒性の高いアポトーシス遺伝子の発現調節にも使用できます(クロンテクニーク 2004春号 P18〜19)。
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生きたままのマウス個体にも使えますか? |
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Tetトランスジェニックマウスはすでに広範に用いられており、生きたままの状態での特定遺伝子の発現解析が行われています。 |
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哺乳類以外の生物にも使えますか? |
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本システムを改変したもので酵母や植物、昆虫に用いた例があります。
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Tet応答プラスミドpTRE(Tight)ベクターと調節プラスミド(pTet-Off またはpTet-On)ベクターを2 つ同時に細胞へ形質転換し安定株をつくれないのですか? |
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できません。pTRE(Tight)ベクターを他のベクターとコトランスフェクトした場合、TREプロモーターが他のプラスミド上にあるエンハンサーの影響を受けるため非特異的な転写(発現)を引き起こします。pTRE(Tight)ベクターは薬剤選択マーカーを持っていませんのでpTK-Hygのようなエンハンサー配列を欠失させたマーカープラスミドとコトランスフェクションをおこないます。以上の問題を改善し、TREと薬剤耐性マーカーを同一プラスミドに組み込んだプラスミド(pTRE2pur
Vector Cat. No. 631013とpTRE2Hyg Vector Cat. No. 631014)を発売しております。
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必ず安定株を作製しアッセイを行う必要があるのですか? |
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本システムでは目的の細胞に2回の連続トランスフェクションを行い、調節プラスミドと応答プラスミドの2重安定形質転換体を作製することを強くおすすめしますが、トランジェントな遺伝子の導入でもテトラサイクリンによる発現の誘導は行っていただけます。
この場合、安定形質転換体で行う場合にくらべ、1〜2桁低い誘導倍率を示します。 アデノウイルスを用いるAdeno-X Tet
On / Off System(Cat. No. 631050, 631022)をお使い頂いた場合、目的遺伝子を感染させた数日後には発現の誘導をおこなっていただけます。レトロウイルスを用いるRetro-X
Tet-On/Off Advanced Inducible Expression System(Cat. No. 632104,
632105)により2種類のレトロウイルス(調節ウイルス、応答ウイルス)の共感染による迅速な安定発現株構築が可能です。
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非誘導条件下でも発現が見られた(誘導条件下で発現がみられない)。原因は? |
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市販血清にはテトラサイクリン様物質が含まれており、非特異的な発現の原因となります。
かならず本システムの専用の血清をお使いください。
培地からDoxを除いても細胞外マトリクスなどに付着したDoXが完全に除去されないことがあります。
この場合には細胞の洗浄や再播種が必要になります(詳細はクロンテクニーク2003.4月号.P12-13.テクニカルノートをご参照ください)。
形質転換の内部コントロールに他のプラスミドをコトランスフェクションしておられる場合には、プロモーターの干渉(クロストーク)が考えられます。
強い転写活性を持つ他のプラスミドを導入される場合にはご注意ください。
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市販の血清を用いても問題はないですか? |
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市販されている大部分の血清はテトラサイクリン(またはその誘導体)を含んでいるため本システムでの使用には適しておりません。
あらかじめ機能検定をおこない発現制御に影響を及ぼさないことを確認ずみの弊社Tet System Approved Fetal Bovine Serum(Cat. No. 631101)を必ずお使いください。
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Tet System Approved FBS (牛胎仔血清)は非働化してあるのですか? |
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していませんが血清中の補体の影響を受ける特殊な細胞以外では必要ありません。
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企業の研究所でも購入できますか? |
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営利目的の団体(企業の研究所を含む)より本システムを購入される場合、商用、非商用(基礎研究)にかかわらず、事前にTET Systems Holding GmbH & Co KG 社よりライセンスを取得(使用料の支払い)する必要があります。
ライセンス契約の詳細については直接、以下へお問い合わせいただきますようお願いいたします。
弊社ではTet ライセンス契約について、一切の仲介、交渉の権限を有しておりません。
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左図はテトラサイクリンとドキシサイクリンの化学構造図です。
Tet Systemにおいて、ドキシサイクリンはテトラサイクリンの100倍の感度を持っています。
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