TBSの発行済み株式19%超を保有し、同社の筆頭株主となっている楽天が、TBSに対して保有株式の買い取りを請求する方向で検討を始めたことが20日、分かった。
TBSは4月1日付で特定の株主による株式の大量保有が制限される「認定放送持ち株会社」に移行する。このため、楽天は当初求めていたTBSとの経営統合が不可能になったと判断し、買い取り請求する方向となった。
楽天は平成17年10月にTBS株の大量取得を表明し、同社に対して経営統合を提案。これに対してTBSが反発し、両社による激しい攻防戦に発展した。しかし、TBSは昨年12月の臨時株主総会で、楽天などの反対を押し切って認定放送持ち株会社への移行を決議。これにより特定の株主が33%以上のTBS株の保有ができなくなり、楽天によるTBS買収の可能性がなくなった。
総会で持ち株会社への移行に反対した楽天は、TBSに対して保有株の買い取りを求める権利を取得しており、その行使期限が今月末に迫っている。景気が悪化する中で、楽天が保有するTBS株の新たな引き取り手を見つけるのは難しいため、TBSに対する買い取り請求は確実とみられていた。
楽天とTBSは今後、売却価格をめぐる交渉に入るが、ここでも難航は避けられない情勢だ。価格はTBSに買い取りを求める前後の一定期間の平均株価を参考に計算するとみられる。19日時点のTBS株価は1233円と、1株あたり3000円程度とみられる楽天の平均取得価格を大幅に下回っている。
楽天はTBS株価の下落に伴い、20年12月期決算で671億円の有価証券評価損を計上しており、できる限り有利な条件で売却したい考えだ。両者は約1カ月にわたって交渉し、それでも決着しない場合には裁判所の調停で売却価格を決定するとみられている。
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