ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン埼玉> 記事

3人死亡事故 懲役10年

2009年03月20日

◇飲酒運転地裁判決「常習的で悪質」

 川口市で昨年11月、乗用車の親子3人が亡くなるなどした事故で、自動車運転過失致死傷と道交法違反(酒酔い運転)の罪に問われた、主婦芝塚直美被告(34)=同市赤井=に対し、さいたま地裁の佐藤基裁判官は19日、懲役10年(求刑懲役11年)の実刑判決を言い渡した。この事故では、幸せに暮らしていた一家全員が犠牲になった。判決に先立ち、意見陳述した遺族の女性は、「自分勝手に起こした事故。殺人罪で裁いても良いくらいだ」と涙ながらに訴えた。

 佐藤裁判官は判決で「常習的に飲酒運転をするなど、規範意識がなく自己中心的だ」などと述べた。検察側の証拠などから、死亡事故の直前に制限速度の倍以上の時速60〜80キロで走行していると推測できることなどから、「悪質極まりない」と指摘した。

 判決によると、芝塚被告は昨年11月3日夕、飲酒で正常な運転ができないおそれがあるのにワゴン車を運転。一時停止の標識を守らずに会社員佐藤光則さん(当時43)=同市西立野=の乗用車に衝突。佐藤さんと同乗の妻(同46)、長女(同16)の3人を死亡させるなどした。

◇遺族、声震わせ陳述

すすり泣く声が、法廷に響いた。

 「幸せだった家族は、何の前触れなく亡くなった。どんなに痛かっただろう。どんなに悲しかっただろう。どんなに無念だっただろう」

 遺族の女性は、プライバシー保護のため設置されたついたての中から、全員が犠牲になった一家の思いを代弁するように、時折声を震わせながら訴えた。

 女性は昨年12月から始まった「被害者参加制度」に基づき、初公判から検察官席の隣に座った。12日の被告人質問では、芝塚被告に直接質問するなどしていた。芝塚被告が、死亡事故の直前に6カ所の交差点を停止せずに横切ったことなどについて「過失でなく故意犯。危険運転致死(最高刑は懲役20年)でも足りない」と語気を強めた。

 検察側は、意見陳述の後にあった論告で「犯行の態様は危険運転致死や傷害致死に匹敵する」などと主張。一方、弁護側は、死亡事故直前に起こした追突事故で、被害者との示談が成立していることなどから、減刑を求めた。

 判決で、佐藤裁判官は「帰宅が遅くなると、夫にせんさくされたくないと思って事故を起こすなど、自己中心的だ」などと述べた。一方、減刑理由として、被告には小学生の子どもがいることなどを挙げた。

 判決に先立つ最終陳述で芝塚被告は声を詰まらせた。「自分のことしか考えないで事
故を起こし、何の罪もない人を死なせた。日々忘れることなく、生きていきたい」

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり