文化庁長官官房
著作権課 管理係
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(内線:2847)
著作権利用の裁定申請の手引き
このような趣旨の制度です

 他人の著作物を利用(コピー・配布、送信など)するときには、「著作権者」の了解を得ることが必要です。

 しかし、了解を得て利用する意思があるにも関わらず、「相当な努力」を払っても、「著作権者が誰だか分からない」とか、「著作権者がどこにいるのか分からない」とか、「亡くなった著作権者の相続人が誰でどこにいるのか分からない」といった場合があります。
 このような場合については、文化庁長官の「裁定」を受け、「補償金の供託」を行うことにより、文化庁長官が著作権者に代わり許諾(了解)を与えることで適法にその著作物の利用ができる制度です(著作権法第67条)。


次のいずれかの著作物について裁定を申請することが可能です

1)著作権者の了解を得て既に「公表」されている著作物

著作権者の了解を得て公衆向けに「出版」、「上演」、「演奏」、「上映」、「放送・有線放送」、「インターネット等での送信」、「口述」、「展示」、「貸与」などが既に行われているもの

2)著作権者の了解を得ているかどうか不明であるが、相当の期間にわたって世間に流布されている著作物
相当の期間にわたり「出版」、「上演」、「演奏」、「上映」、「放送・有線放送」、「インターネット等での送信」、「口述」、「展示」、「貸与」などが行われているもの

相当な努力とは 

 「著作権者と連絡することについて相当な努力を払う」とは、利用したい著作物の著作権者について社会的に見て常識的な方法により著作権者を捜すことをいいます。単に時間や経費を要するからとか、捜すべき著作権者の人数が多いからというのは、捜す手間を軽減する理由にはなりません。

 具体的な著作権者を捜す方法については、著作物の性質や態様等により、様々な方法が考えられますが、具体例としては、下記のとおりです。なお、実際にどのような方法をとればよいかについては、事前にご相談ください。


裁定のための手続きは? 

一般的には、次のような手順になります。

(1)文化庁への相談

「裁定申請書」は文化庁著作権課でいつでも受け付けますが、「相当な努力」を払ったと認められない場合は裁定が得られないこともあります。著作権者を捜すために行う方法などについて、事前にご相談ください。

(2)申請書の提出

定められた様式はありませんが、「裁定申請書」を作成し、必要な資料を添えて文化庁著作権課に提出してください。

(3)裁定の可否の決定と補償金の額の決定

申請書を受けて、裁定の可否を文化庁長官が判断します。可とされた場合について、申請者が「供託」しなければならない「補償金」の額は、審議会で決定します。これらの手続きのために必要な期間(標準処理期間)は、「3か月」です。

(4)裁定後の手続き

「裁定」と「補償金の額」について通知があったときは、最寄りの「供託所」に補償金を供託してから、その著作物の利用してください。(補償金を供託しないと、債務不履行ではなく「著作権侵害」となり、刑事罰の対象になることもあります。)

注1) 裁定を受けた著作物について「コピー」を作るような利用を行う場合は、そのコピーに「著作権法第67条第1項の裁定に係る複製物」であることと、「裁定のあった年月日」を表示しなければなりません。
注2) 裁定は、文化庁長官が著作権者に代わって申請者の利用行為に「許諾」(了解)を与える制度ですので、申請者に「利用権」を与えているわけではありません。したがって、第三者に対してその著作物の利用を許諾(了解)したり、その著作物を利用できる立場を第三者に譲ったりすることはできません。