コラム

2009年03月15日号

【西松建設と政治家と金】
小沢氏の資金管理団体「陸山会の会計責任者、大久保隆規容疑者逮捕の端緒と証拠は何だったのかを推理する


●ゼネコン汚職教訓にならず、…
平成5年6月、東京地検特捜部は石井享仙台市長を摘発したゼネコン汚職事件で、西松建設の吉川泰(69)副社長を贈賄容疑で逮捕。当時、常務だった国沢幹雄容疑者はこの頃から政界との関係を西松で一手に仕切っていたといわれている。
 国沢容疑者は中大卒。昭和36年、西松建設入社。常務、専務・管理本部長を経て平成11年6月から副社長。15年から社長。21年1月辞任。

●検察と小沢氏側の対立する何故
 東京地検特捜部は強制捜査に踏み切り、小沢氏側は全面否認、検察と真っ向から対立している。何故か、私は「西松建設側が検察側に供述しているから」と推察する。

 西松建設には平成5年6月、東京地検特捜部の手が入ったことは前に述べた。
 しかし、国沢容疑者はゼネコン汚職を真摯に受け止め、政治家と癒着する西松の営業構造を改めようとしたのではなく、癒着体質を更に深めた。

 他人名義での献金や政党側以外への企業献金は政治資金規正法で禁じられたことから、専務・管理本部長だった国沢容疑者は大胆にも、元土木営業本部営業管理部長経験者のOB2人を代表に仕立て、新政治問題研究会(平成7年設立)と未来産業研究会(平成11年設立)の立ち上げを主導、2団体の小沢氏側への献金総額は平成7年から18年解散までに2億円近くに上ったという。
繰り返すが、関係者によれば、「新政治問題研究会」、「未来産業研究会」という2団体をトンネルに使って小沢氏側への違法献金を合法献金に偽装する仕組みは「国沢容疑者の主導で作られた」とされる。
新政治問題研究会、未来産業研究会は政治団体として独自の活動をしたというより、西松建設の言いなりになった団体だったと言われている。
 どうして西松はそんな無茶をやったのか、国沢容疑者は「西松建設は東北地方で仕事をとれないため、小沢代表側を頼った」という趣旨の供述をしているといわれている。

●西松事件の始まり
 西松建設事件は平成20年6月4日、東京地検特捜部が「西松が、無届けで海外から約1億円を持ち込んだ外為法違反容疑で西松建設本社を家宅捜索したことに始まる」が、この時はまだ、小沢氏の「陸山会」会計責任者が逮捕されるような事件に発展するとは誰も予測していなかった。

 この頃、検事総長は但木敬一氏、東京地検も検事正は伊藤鉄男氏、次席検事は渡辺恵一氏、特捜部長は八木宏、特直1班担当の副部長は堺徹氏だった。
 7月、検事総長に樋渡利秋、東京高検検事長には大林宏氏、東京地検検事正には岩村修二氏、東京地検の特捜部長も佐久間達哉氏が就任、最高検刑事部長、東京高検、東京地検次席は今年1月、鈴木和宏氏、渡辺恵一、谷川宏太氏がそれぞれ就いた。
 堺徹氏の後任、東京地検の特殊・直告1班担当副部長には9月、総務副部長の吉田正喜氏が起用された。
 特捜部の捜査に影響力を持つ役職にあった検事は総入れ替えとなったのである。

●小沢氏の公設秘書逮捕の端緒
 西松事件が動いたのは11月19日。裏金約3500万円を私的に流用した業務上横領容疑で、特捜部が海外事業部の元副事業部長、高原和彦容疑者(63)を逮捕してからだ。言うまでもないが、特捜部は佐久間部長、特直1班は吉田副部長の時代である。
 特捜部は、翌20日ー21日、西松本社やや国沢幹雄社長宅などを捜索した。
 12月9日、高原容疑者を起訴。

 特捜部は1月14日、計7000万円の裏金を無届けで海外から持ち込んだとして、
外為法違反容疑で海外事業担当だった元副社長藤巻恵次容疑者(68)=現非常勤顧問=ら4人を逮捕し、関係先を家宅捜索した。高原被告も再逮捕された。藤巻元副社長は国松前社長の後任管理本部長で前社長の腹心である・
 20日、国沢社長が辞任。特捜部は外為法違反容疑で国沢前社長(70)を逮捕、2月2日、藤巻元副社長を起訴、10日、国沢前社長を起訴、特捜部は1月14日、藤巻容疑者逮捕から2月10日、国沢容疑者起訴までの間、に3月3日、政治資金規正法違反の疑いで小沢氏の公設第一秘書で資金管理団体「陸山会の会計責任者、大久保隆規容疑者と国沢容疑者再逮捕の端緒と1部証拠を掴んだと推理する。

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