2009年3月20日6時38分
弁護士に依頼者が支払う報酬について、クレジットカードの支払いの是非を議論していた日本弁護士連合会は、19日の理事会で、引き続き各弁護士に自粛を求めていくことを決めた。各地の弁護士会から「仕事がビジネス化しかねない」などとする慎重な意見が多数出たためだ。
日弁連の弁護士業務改革委員会は昨年11月、「1回払い」ならあえて自粛を求めるべきではない、との意見書をまとめた。さらに、全国52の弁護士会などに意見を求め、賛成が大勢を占めれば、今年度中に「容認」の方針に改めることにしていた。
しかし、「支払いの繰り延べや分割払いなど利便性が強調され、弁護士の仕事がビジネス化しかねない」などの懸念が多数寄せられた。また、「カード利用を発端とした多重債務問題が解決していないうちに、カード会社と手を組むのはおかしい」(日弁連のある幹部)という慎重論も根強かった。
今回の決定を受けて日弁連が近く会員あてに送る文書では、(1)カード会社がカード会員に対し、積極的に弁護士を紹介する(2)カード会社に依頼者の事件内容を知らせる(3)依頼者の支払い能力がないのを知っているのに、弁護士費用をカード払いさせる――といった場合には、懲戒処分の対象になりうるとしている。(上田学)