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北野高校で戦時中の憲兵隊文書発見 生徒の思想調査指示(1/2ページ)

2009年3月19日

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写真大阪府立北野高校で見つかった朝鮮人生徒の思想動向調査の回答書。この写しが、憲兵隊に提出されたとみられる=大阪市淀川区の同高校

 大阪府立北野高校(大阪市淀川区)で、太平洋戦争末期に朝鮮半島出身の生徒の思想や動向を調査したことを示す「極秘」文書が見つかった。憲兵隊の求めに応じて学校側が作成しており、朝鮮人兵士を日本軍に入れた際に問題が生じないかを検討するための資料だったとみられる。専門家は「憲兵隊の知られざる活動を示す大変珍しい資料だ」と話している。

 見つかった文書は「半島人教職員並ニ学生名簿調製送付方ノ件照会」と題した文書(1944年5月25日付)と、回答書(同年6月5日付)など4通。大阪憲兵隊大手前憲兵分隊が府立北野第二中学校(現・北野高校定時制課程)の校長に調査を指示し、同中学が校長名で回答していた。

 今月末で定時制課程が閉鎖されるのを機に、同課程の山上俊夫教諭(61)が図書館に保存されていた史料を整理していて見つけた。

 憲兵隊は朝鮮人の生徒や教職員全員を対象に、日本名と朝鮮名、朝鮮の本籍地、現住所、生年月日、宗教、趣味、尊敬する人物、性質素行(生活態度)――などを報告するよう求めていた。

 当時、232人の生徒のうち、朝鮮人の生徒は15〜23歳の19人で、同中学は「極秘」の判を押し、全員について回答していた。

 宗教は18人が「儒教」となっていたが、尊敬する人物の欄には、朝鮮出兵した豊臣秀吉や韓国統監府初代統監の伊藤博文らをはじめ、山本五十六や当時の東条英機首相らの名を挙げていた。生活態度は「皇民精神強ク、軍人志望切ナリ」などと記していた。

 ただ、1人については「目下慶北清道警察署ニ於テ民族運動嫌疑者トシテ取調中ニ付キ卒業留保中」の記載があった。

 同時に見つかった文書によると、同中学には当時、卒業留保中の朝鮮人生徒が5人おり、いずれも朝鮮の警察に勾留(こうりゅう)されて、のちに除籍処分となっていた。

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