重症患者の救急搬送にあたり、昨年、医療機関から48回受け入れを拒否されたケースがあったことが19日、総務省消防庁がまとめた08年の救急搬送に関する実態調査結果で分かった。東京都内で食道静脈瘤(りゅう)破裂を起こした40代男性で、49回目の照会でようやく受け入れ先が見つかった。救急受け入れ態勢の改善には、なお時間がかかりそうだ。
受け入れを10回以上拒否されたのは、重症以上の病気やけがによる患者が40万9190件中903件(0・2%)あった。妊婦や新生児は1万6298件中で47件、子どもは32万4149件中244件だった。妊婦では妊娠30週で切迫早産の30代女性(東京都)が25回、子どもでは左前腕骨折の10代男子(同)が29回断られた例が最多だった。
救急車が到着してから搬送先の医療機関が見つかるまで、2時間以上その場で待たされた例は▽重症患者160件▽妊婦7件▽子ども9件。
また、救命救急センターや大学病院の救急部など全国264施設を都道府県別に調べたところ、患者の受け入れ率が最も低かったのは奈良(3施設)の52・8%。次いで▽東京(26施設)72・4%▽宮城(4施設)76・4%▽大阪(15施設)85・6%--の順で、全国平均は93%だった。【石川貴教】
毎日新聞 2009年3月20日 東京朝刊