無床化来月実施確実に 岩手県、動議受け補正予算案

 岩手県医療局の県立病院・地域診療センターの無床化計画で、県は19日、県議会の予算修正動議に応じ、住民の不安解消策を実行するため、2009年度当初予算を増額する補正予算案を追加提案した。同時に検討を求められた無床化延期は「診療体制が維持できない」と受け入れなかった。県の譲歩を受け、県議会予算特別委員会は県立病院事業会計などの当初予算案を賛成多数で可決し、無床化の4月実施がほぼ確実となった。

 追加補正は(1)2次保健医療圏ごとに設置する地域医療体制のあり方を考える協議会の運営費(598万円)(2)無床化による空き病床の活用についての公募費用(310万円)。

 達増拓也知事は本会議で「(協議会などを通し)地域との対話を続け、県民が力を合わせる地域医療体制をつくっていく」と強調。計画延期に踏み込まなかったことには「医師不足は危機的状況で(4月実施は)やむを得ない」と説明した。

 これを受け県議会は予算特別委で、当初予算案を賛成多数で原案通り可決した。補正予算案も23日の常任委員会で可決される見通し。

 議会の紛糾を経て、無床化実施にめどがついたことに、達増知事は「(むしろ)県民的な議論が高まり、(地域医療を守るという)世論の大きな流れができた」と報道陣の質問に答えた。

 一時凍結を求めてきた第二会派の自民クラブの千葉伝代表は「動議の趣旨は補正予算に一定程度盛り込まれ、苦渋の選択として了としたい」と強調。第三会派の政和・社民クの田村誠代表も「(地域の不安解消に向け)今後は予算化された事業を検証し、地域医療の確保と充実を進めたい」と理解を示した。

 与党系会派で第一会派の民主・県民会議の佐々木順一代表は「執行部側は動議に応えた。(動議を要請した側も)無床化の一時凍結については譲歩すべきだ」と、一時凍結派が態度を変えないようにくぎを刺した。

 23日の常任委では達増知事の再議権行使を経て、再提案された無床化後の患者家族送迎用マイクロバスの購入予算も審議されるが、1部に反対の声があり、可決されるかどうかは不透明だ。
2009年03月20日金曜日

岩手

政治・行政



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