総務省消防庁と厚生労働省は19日、08年中の救急搬送における医療機関の受け入れ状況を発表した。妊婦の搬送では26回目の照会で受け入れ先が見つかったケースもあった。大都市部を中心に患者の受け入れ拒否が改善されていないことがわかった。
調査結果によると、受け入れ先が見つかるまでに4回以上照会したケースは、妊婦や出生後1週間未満の新生児で749件あり、こうした患者の搬送(転院を除く)の4.6%(前年4.8%)を占めた。26回目で受け入れられたのは東京都内で30代の妊婦が搬送されたケースで2時間余り待たされた。07年の最大照会数は43回だった。
産科や小児科以外のけがや病気で運ばれた重症以上の患者で、11回以上照会したのは903件あり、これらの患者の搬送の0.2%だった。重症以上の患者で、4回以上の照会をした割合を都道府県別にみると、奈良県(12.5%)、東京都(9.4%)、埼玉県(8.7%)、大阪府(8.2%)などが高い。
受け入れられなかった理由としては、けがや病気の種類にかかわらず、医療機関が「処置困難」と判断した場合が多く、「手術中・患者対応中」「ベッド満床」「専門外」などが目立つ。
消防庁は、容体に応じた医療機関リストを作成し、搬送先を選ぶルールを都道府県に義務づける消防法の改正案を今国会に提出している。