最終更新: 2009/03/20 06:44

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名古屋闇サイト拉致・殺害事件の2被告への死刑判決をめぐり波紋広がる

いわゆる「闇サイト殺人事件」で、3人の被告を死刑と無期懲役とした判決をめぐり、波紋が広がっている。
裁判員制度が間近に迫る中、極刑の判断基準が揺れている。
神田 司被告(38)、堀 慶末被告(33)に死刑判決、川岸健治被告(42)に無期懲役が言い渡された闇サイト殺人事件の判決から一夜が明け、磯谷利恵さん(当時31)の母・富美子さんが、あらためて心のうちを明かした。
富美子さんは「やはり裁判長なりにいろいろ悩んだ末の精いっぱいの判決だったのかなって。ただ、それでは満足していませんので、最後まで戦いたい」と話した。
今週、凶悪事件に対する死刑判決が相次いだ。
16日の香川・坂出市の祖母姉妹殺害事件の死刑判決を受けて、遺族・山下 清さんは「おれらの望みがかなった」と話した。
17日の姫路2女性殺害事件の死刑判決を受けて、遺族・畠藤通保さんは「死刑判決で、娘の名誉が半分くらいは回復したかなと」と話した。
そして18日には、闇サイト殺人事件で、2被告に死刑判決が下った。
こうした死刑選択には、1983年に最高裁が示した「永山基準」が指針となっている。
犯行の罪質、動機、殺害方法、殺された人の数など9項目に基づき、やむを得ない場合には死刑が選択できるとしている。
闇サイト事件の判決でも、裁判長はこの永山基準に触れ、自首した川岸被告を除く2人に対し、死刑を言い渡した。
しかし、永山基準のとらえ方によって、極刑の選択に違いが生まれる例も少なくはない。
東京・江東区女性殺害事件の星島貴徳被告(34)について、東京地裁は、被害者が1人なら死刑選択には相当強度な悪質性の認定が必要と判断、残忍な犯行だが殺人などに計画性は認められないとし、無期懲役とした。
裁判員制度開始を前に永山基準が揺れている。
元最高検検事の土本武司氏は「わたしは、そういう解釈は誠に不合理であると。永山基準に拘泥してはいけない。もうそこから飛び抜けなければいけないだろうと思いますよ」と話した。
明治大学の菊田幸一名誉教授は「死刑か死刑でないかということを選択するときにですね。わたしは、素人(裁判員)がとてもそういうことをね、選択することは、勇気が出てこないはずだというふうに思いますね。永山基準というのは、死刑適用するかしないかの最後のとりでだと、安易に崩していってはいけないと思いますね」と語った。
闇サイト事件の判決後、母・富美子さんのもとには、川岸被告の無期懲役を不服とする多くのメールが届いた。
メールには「次の裁判で死刑に全然できると思います、がんばってください」などと書かれていた。
富美子さんは「反省のかけらもない人が戻ってくると、必ずまた娘と同じような被害者を出すだろうと。そういうことだけは、もう二度としたくない」と話した。
国民感情と永山基準、2つのはざまで、司法はどんな答えを見つけるのか。

(03/20 00:11)


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