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アメリカは世界の基軸通貨としてのドルを好きなだけ印刷してたれ流し、そのドルを還流させることで、対外赤字一兆四千億ドルのアメリカ経済をかろうじて保っている

 最近ようやく何人かの専門家が指摘するようにはなったが、アメリカは世界の基軸通貨としてのドルを好きなだけ印刷してたれ流し、そのドルを還流させることで、対外赤字一兆四千億ドルのアメリカ経済をかろうじて保っている。ドルの還流とは、利回りがいいとして、外から金を持ちこんでこさせてアメリカの国債を含むアメリカの金融商品を買わせるメカニズムです。
 この手法に乗せられた日本は貿易で稼いだドルを日本より金利が高いアメリカにつぎこんできました。そのため日本の金利をわざと低くするという策を弄してまで、アメリカあっての日本ということでアメリカに奉仕協力してきた。
 その結果、アメリカの財務省に対しての日銀の融資は二千億ドルを超えており、アメリカの金融機関への預金が九百億ドル、民間企業のアメリカ国債の保有高を含めると、日本全体では三千二百億ドルというとてつもない巨額をアメリカに融通していることになります。
 つまり、日本が世界最大の債権国で、アメリカは世界最大の債務国、借金国であるのにアメリカの景気のほうがいいのは、日本から毎年毎年回っていく金で潤っているからにほかならない。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

日本はたしかに負債、借金は多いが、それ以上に金融資産も多く、アメリカやヨーロッパの国々は金融資産をあまり保有していない。つまり日本の財政赤字の実情は世界で最小ともいえるのです

 アメリカのエコノミストまでがしたり顔に日本経済改革の必要性を力説もしてくれて、ウォール街などでは日本溶解(メルトダウン)、日本経済完全崩壊の根拠のひとつとして、この日本の長期債務の増加数字がもてはやされている。一九六五年には国家債務がゼロであった日本が今では世界最悪の状況になってしまった、とアメリカのアナリストたちははしゃいでいる。
 しかし第一勧銀総合研究所山家悠紀夫(やまべゆきお)専務理事などが最近の雑誌論攷でわかりやすくパラフレーズし紹介しているが、これには数字のトリックが使われている。 
 日本とアメリカの二国の数字にはヨーロッパとは方式が異なるせいもあってのことですが、社会保障基金の数字が入っていない。これを含めると日本は三・三パーセントとなり、アメリカも二・〇二パーセントになるが、日本はドイツよりも若干よくなってしまう。
 しかも純財政赤字残高とGDPを比較すると一九九五年の日本が一〇パーセント、フランス三五パーセント、イギリス四二パーセント、ドイツ四四パーセント、アメリカは先進国中最悪の五〇パーセントになる。
 さらに政府の保有する金融資産を引いた純債務は一九九六年末で七十六兆円で、GDP比で一六パーセントとなり、他の先進国が四〇パーセント台になっているのと比べると、日本ははるかに勝れています。日本はたしかに負債、借金は多いが、それ以上に金融資産も多く、アメリカやヨーロッパの国々は金融資産をあまり保有していない。つまり日本の財政赤字の実情は世界で最小ともいえるのです。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

結論から言うと、日本のゼロ金利政策はアメリカの政策誘導によって長期化しているのだ

 金利のない世界でだれかが無理やりに経済を押し回そうとしている。それは日本の現政権であり、そしてさらにそれをコントロールしてきた金融経済戦争の勝者であると自認しているアメリカということになる。
 結論から言うと、日本のゼロ金利政策はアメリカの政策誘導によって長期化しているのだ。『宣戦布告「NO」と言える日本経済』で述べたドル還流装置の維持のためにアメリカは日本の金利をアメリカより低くすることを常に要求してきた。
 「日米の金利差というのは、最低四%ということになっています。それだけの差があると、金利を求めて資金がアメリカへ流れていくからです。政策的に最低限四%の金利差をつけるように両国政府は誘導しています。私はこれを以前からアメリカへの「所得移転だ」といってきたのですが、すると、ある著名な論者が見当外れの妄論で噛みついてきました」
 と内橋克人氏が『浪費なき成長』(光文社)で言っているが、指摘は事実だろう。

『国家意志のある「円」』(光文社)

社会資本が整備されアメリカの公共投資はほぼ終結したという。自分の国にパイがなくなったので、ゼロ金利でも大人しくしているような日本にそれを求めた

 「二〇〇五年には、日本は米州の一つに併合されることになっている」
 この衝撃的な発言は、細川政権発足当時に流布された「ある情報」にそっくり重なる。情報源は日本におけるきわめて有力な米政府関係者P。皇居に面したホテルに事務所を構えるPもまた、当時、「二〇〇五年の日本併合」に言及したといわれる。
 じつはこの二〇〇五年を到達点とするアメリカの日本完全属国化というシナリオには他にも諸々の震源地があって、ただし、なぜ二〇〇五年なのかはいずれの説も大雑把であった。しかし戦略なき日本という今日的現象を悲観的に眺めた場合、そして経済再生の分水嶺から転落し、永遠の迷路に日本経済が踏みこんでしまうと仮定すると、これはにわかに現実味を帯びてくる話だ。
 社会資本が整備されアメリカの公共投資はほぼ終結したという。
自分の国にパイがなくなったので、ゼロ金利でも大人しくしているような日本にそれを求めた。次に会計制度というルールを押しつけても、すんなり受け入れている。ならば併合してしまったほうがてっとり早いと考えても矛盾はないということか。黙っていては嵩にかかってくるのがアメリカという国であることを忘れてはいけない。日本の国家財政破綻につけこんで、円のドルへの統合を具体化し、一気に日米の金融、経済統合を進める可能性も否定できない。  

『国家意志のある「円」』(光文社)

アメリカの景気のほうがいいのは、日本から毎年毎年回っていく金で潤っているからにほかならない

 国際金融の専門家の試算によると、仮に日本が保有するすべての米国債を売却したとしたら一ドルが五十円前後に暴落するだろうと。アメリカ側もその数値は承知しているはずだが、そんなことをすればアメリカ経済が破綻し、同時に日本の経済もつぶれるし、ドル本位制で動いている世界は未曾有の大混乱に陥るから臆病な日本がそんな大胆な攻撃一本槍の勝負に出てこられるはずがない、そう高をくくっているに違いない。
 今日の日米経済関係の虚構の持つ意味合いは、アメリカの大国としての保身のエゴイズムであり、そのためには日本は纏足の妾だろうが、奴隷だろうが、好きなだけ使って場合によったら捨てる。もっといい家来がいたら、それを使う。そういうアメリカの本音が感じられる。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

 

東アジア経済とその危機

マレーシアもアジア諸国も日本がアメリカに継ぐ世界二位の経済大国になったことをアジアの誇りにしている

 マハティールはあの折り、冒頭に、
 「過去数百年を振り返るとまず欧州がそして次には北米が世界の中心として君臨してきており、その間我々は世界を動かす主体的な要因として存在してきたのではなく、単に振り回された結果の帰着にすぎず、アジアは世界の中心から遠く離れた周辺地域であったが、これからは違いますよ」
 医学者らしく怜悧にしかし熱っぽく語っていました。
 さらに、「日本の村山首相(当時)などがいまだに過去の戦争責任について謝っているのはおかしい、ならば日本よりもはるかに長くアジアを植民地化し非人間的な収奪と支配をつづけた欧米の宗主国の責任はどうなるのか」と欧米に腰のひけた日本人の変なインテリゲンチアと違って痛烈な発言もしていました。
 そして、マレーシアもアジア諸国も日本がアメリカに継ぐ世界二位の経済大国になったことをアジアの誇りにしているし、韓国、香港、シンガポール、台湾も経済的に卓越したレベルに到達した。マレーシアとタイは世界有数の高成長率を記録し、インドネシアも遅れはとっていない、これらは十年前には夢想だにしなかったアジアの姿だと話してもいました。
 つまり、そうやって胸を張れるくらいに東アジアは「優れた市場」としても成長を続けていたのです 。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

つまり今回のアジア危機の原因を追っていくと、経済学的アプローチでは原因を列挙できても、それだけでは説明しきれない政治的、地政学的な因子があるということです

 たとえば、アメリカにいたっては貿易赤字も対外債務も増えつづけているのに、現在の株価は異常に高いと心配する声もないではないが、大方のエコノミストは短期的な急落はあっても長期的には上昇すると予測している。これは世界が今ドル本位制で動いていて、アメリカが巧妙なドル還流装置を造り、アメリカ国内にドルを過剰に流動させる仕組みを敷いているからですが。
 また日本では物価も賃金も上がってはいないし、輸出競争力は落ちるどころか円安のせいもあり貿易黒字は増えていて、ASEAN各国とは反対に財政基盤そのものは世界一強いのに、結果はASEANと同様にかつてない金融不況に同時的に陥ってしまった。つまり今回のアジア危機の原因を追っていくと、経済学的アプローチでは原因を列挙できても、それだけでは説明しきれない政治的、地政学的な因子があるということです。
 もう一度一九九七年に戻って見直してみると、香港返還の翌日七月二日、この日早朝からシンガポール市場にタイ・バーツが管理変動制になるとの情報が流れ、わずか十分ほどで前日の一米ドル二十四・二バーツが二十八バーツに急落、時を同じくしてフィリピンもペソ防衛に中央銀行が乗り出さなければならなくなり、マレーシアもマレーシア・ドルの攻防戦に介入するなど同時多発ゲリラのように一斉に各国通貨が売りあびせられた。むろん、ジョージ・ソロスらが尖兵となって動き、米銀も後押しをしていたからです。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

市場が為替相場を決める、市場にまかせよう、市場はいつも善である、自由マーケットは経済の実態を反映するという、アメリカが盛んに喧伝している論がインチキであるのははっきりしている

 市場が為替相場を決める、市場にまかせよう、市場はいつも善である、自由マーケットは経済の実態を反映するという、アメリカが盛んに喧伝している論がインチキであるのははっきりしている。宮沢喜一氏など日本の著名なエコノミストはみなこれに同調していますが。
 市場といっても自然現象ではなく人間の造ったものだから、それを動かそうとする大きな意志によって市場ははっきり動く。要するにそういう市場の中のゲームに私たちも参加して生きていて、それはやったりやられたりで動いていくものだが、どうやら一方的にアメリカにしてやられているのが今の日本を含めたアジア経済の実態です。
 つまりそれは、世界には今これまでにない、経済史の中でも初めての、とてつもない虚の現実たる世界経済が構築されつつあり、それの造営主にアメリカがなろうとして半ば成功しているからということです。このアメリカの戦略に連動してイギリス経済が再生し、さながら米英が歩調を合わせたかのように、香港返還を機にアジア危機を引き起こしたということも覚えておいたほうがいい。
 だからといってここでアジア全体が敗戦ムードで事を諦めてしまってはもう二度とアジアの主体を取り戻すことはできず、アメリカ金融帝国に使役されるまま金融奴隷としてしか生きる道はなくなってしまうでしょう。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

一般の人にはあまり知られていないが、ADB(アジア開発銀行)にはすでに日本のイニシアチブで活用することが可能な「日本基金」というものがあります

 一般の人にはあまり知られていないが、ADB(アジア開発銀行)にはすでに日本のイニシアチブで活用することが可能な「日本基金」というものがあります。
 ロンドンであったサミットの時に当時の橋本首相が「日本基金を使う」という話をちらっと漏らした。イギリスのブレア首相が金もないのに格好だけつけてASEAN欧州会議(ASEM)で新たなファンドとしてASEM基金を設立したいと提案し、それをアジア危機に使ってもいいと言い出した折に、日本の大蔵省が知恵を出して、「われわれにも基金があるのですよ」と教えたのが日本基金でした。
 このジャパンファンドというのはかなり名誉のあるファンドで、ADB(アジア開発銀行)の二十周年記念にあたる一九八七年の大阪総会の折りに日本政府が単独で創りあげた基金です。これがすでにある。
 ところが大蔵省の国際金融局がそれを押さえつけて勝手に動かせないようにしている。ただ政治家が何かで相談に来たらそれをちょっと見せびらかして、「これを少し使ったらいかがですか」と小出しに出す。だから今もって日本人の多くの人には何だかよくわからない仕組みになっている。
 つまりそんなものがあるのだということを、政治家も知らないし、知らされてもいない。すでにあるものはどんどん有効に使ったらいいのだ。  

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

 

アジアとの共生

いつまでもいたずらにアメリカの収奪を許している必要がいったいどこにあるというのか

 アジアにはアジアの、日本には日本の国家としての主権と自主性がある限り、ことの仕組みがわかった限りいつまでもいたずらにアメリカの収奪を許している必要がいったいどこにあるというのか。日本もアジアもアメリカの金融奴隷であっていいわけがない。
 まだまだ力のある日本はアジアのためにも自らの発想と自らの力ですでに述べてきた策を講じて立ちあがったらいい。
 日本は日本の責任で乗り出す時だと思います。
 アメリカにしてやられて身動きできないでいる東アジアの国々からも、新しい連帯を求める声がとどいてきている。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

できることしかしない、できないことはできるやつにやらせるというある種の安易さ、つまり覇気の欠如は古今東西の故事をひもといてみれば文明の廃退のはじまりです

 できることしかしない、できないことはできるやつにやらせるというある種の安易さ、つまり覇気の欠如は古今東西の故事をひもといてみれば文明の廃退のはじまりです。些かの疲労感の見える日本が本当に右肩下がりの、司馬遼太郎氏が語ったように日本は峠を越えてしまったというような衰退期に本当に陥ってしまうとしたら、こういう落とし穴に落ちても笑って寝てしまう臆病な怠惰が原因としか言いようがない。そんな日本ではないし、日本人ではありたくないと思う。
 ここで日本が積極的に身を乗り出して一段高いレベルでのいくつかのプロジェクトを東アジア自身でものにしたとするなら、その実績は、日本への信頼に加えてどれほど大きなものをアジア全体にもたらすことだろうか。

『宣戦布告「NO」と言える日本経済』(光文社)

まずは円の使い勝手をよくしたり、傷を負ったアジアに日本の民業が投資を回復できるような努力を今すぐ始める

 まずは円の使い勝手をよくしたり、傷を負ったアジアに日本の民業が投資を回復できるような努力を今すぐ始める。
 財政再建が進み、日本資本主義に金利も甦ってくれば、超低利のぬるま湯に浸かっていた国内マネーが再びアジアへ戻っていくはずだ。
 ODAも含め、単なるバラまき行政とみられないためにも、せめて日本経済が回復するまで待ってくれと、あるいは日本への敵対行為の軍拡路線を選択する国への援助は打ち切ると、日本国の「バランスシート」を示して説明するべきではないのか。

『国家意志のある「円」』(光文社)

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