高山正之「大西千三」
もし米国人が「日本の男は女を見下し、お茶汲みしかやらせない」「日本の女には法的保護はなく、男に悪戯をされても泣き寝入りしかない」と言ったとする。
そうしたら日本人は「嘘で固めた人権差別発言」と怒るだろう。
あるいは日本人を歪んだイメ─ジでステレオタイプ化するのは、それでユダヤ人皆殺しの口実にしたヒトラーと変わらないと、その品性を疑うだろう。
しかしクリントンはそれを非難されることなく.堂々とやってのけた。
仕掛けは雇用機会均等委員会の副委員長ポストにポール・イオサキを任命することだった。彼は日系三世で、見た目は日本人そのものだった。それがクリントンの狙いでもあった。
彼は司法省を使って進出日本企業に次々と因縁をつけては、多額の賠償金を取り立てていた。
その対日企業恐喝の仕上げがポールの日本人面を決め手とする三菱自動車のセクハラ訴訟だった。
同社の工場では「男の従賽員が同僚の女性に好き放題セクハラを仕掛け、乳房をもみ、股間をまさぐっている。女性が被害を訴え出ると平気で解雇した」。
なぜなら日本人は女を見下し、法的保護の埓外に置いている。「この米国内で日本式に女を扱い、性の奴隷扱いした三菱に総額二億一千万ドルの集団賠償訴訟を起こした」とポールが記者会見で発表した。
日本人面した彼が日本をこき下ろすのだから、これは人種差別発言には当たらないというわけだ。
かくてクリントンは、三菱が米国で稼いだ金すべてを巻き上げるのに成功した。
彼は次にカリフォルニア州議会のマイク・ホンダ議員を登場させた。
マイクはある日、虐突に「日本軍は南京やアジアで残虐行為を働き、連合軍捕虜を強制労働させた。謝罪と賠償を」という日本非難決議を州議会に出した。
日系人が自分の祖国をそこまで貶めたいならご勝手にと、決議は通った。
すると白人のへイデン議員が立って「捕虜を強制労働させた日本企業に、半世紀遡って賠償させられる」という法案を出してきた。
何のことはない、マイクは日本人面を使い、この偽りに満ちた法案を通すために一芝居打ったのだ。
かくてへイデン法が成立し、元捕虜の米兵に中国人や朝鮮人までが合い乗りして、新日鉄など日本企業十四社に総領百二十兆円の賠償訴訟を起こした。
マイクはこの手柄で連邦議会の下院議員のポストを手に入れた。
ただ百二十兆円訴訟の方は土壇場で政権がまともな共和党に移り、最高裁がへイデン法自体を却下してくれて日本企差は危ういところで助かった。
クリントンと似て白人優越主義に浸り、だから日本が嫌いなニューヨーク・タイムズは東京に送り込む記者にとにかく日本の悪日を書くよう指導する。
白人のニコラス・クリストフはそれで同紙の一面に「日本人の妻は夫から拳骨以外何ももらったことがない」と書いた。
彼の息子が椅子取りゲ─ムをして最後に日本人の女の子に勝ちを譲られる。彼はすかさず「日本の女は小さいときから男に譲るよう育てられる」と書いた。
だったら女の子が椅子取りゲームに一回だって勝ち残るわけもない。そういう嘘を書いて追われた。
同紙は次に黒人のハワード・フレンチを入れた。黒人が黄色いのをけなしても差別ではないと思ったのか。
しかしフレンチは英国人女性を殺した帰化朝鮮人の織原の過去を知らず「日本人は金髪に群がり、そして殺す」とやった。
二度続けて失敗したNYタイムズはここでクリントン方式を採用した。
日本人面で日本名ももつ外同籍のノリミツ・オオニシを登用した。
彼は早速、北朝鮮の拉致は「右翼が扇動し政治利用している」と朝日新聞みたいな歪曲報道を書いた。
その朝日もボツにした中国人の反日訴訟では福岡まで飛んでいって中国人の言うままを書いた。日本の悪口なら嘘でもいい。
ノリミツは顔だけでなく名前まで日本人を装った点がマイクらよりあくどいし日本名はやめてと言ってもそれが売りだから無理だろうが、それならせめてセンミツとか実態に近い名に改めてもらえないか。
週刊新潮
by tokegawa
「従軍慰安婦」問題(下)