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| 「８３７」 「敬語にこそ日本の真実のあり方がある」という光研究員のエッセーを載せます。非常にすぐれた日本人論です。２００７．３．２６ |
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「敬語にこそ日本の真実のあり方がある」 鴨川光（かもがわ・ひろし） 記 日本語の中にある「敬語」といわれるものの中心思想は「身内と他人」である。自分を含む「身内」と「他人（ひと、たにん、ひとさま）」との関係を表すことがその本質であり、身分、上下関係を表すのではない。一般に私たちは年上と年下、目上と目下、長幼の、そして身分の礼をあらわすものと思っている。このことと儒教、道教との関係があるかどうかはわからない。 これには山本七平（やまもとしちへい）の著書『日本教徒』（山本七平ライブラリー １４ 著者 イザヤ・ベンダサン 訳 山本七平 文藝春秋）の中に答えがある。 外国人が本当に知りたいことは「日本人がどのようにして人間交際＝ソサエティをしているのか」ということである。「ソサエティ、society」という単語はそもそも福沢諭吉が始めて訳したもので名著『文明論の概略』の中では「人間交際」と訳出されている。私は大学生のときに講義で丸山昌男の『「文明論の概略」を読む』をいやいや読まされたことがあったが、副島先生にそのことを指摘されるまで全く気がつかなかった。 日本の敬語、謙譲の気持ちという美徳というのも元はといえば中国の思想。中国から来たもの。そのように私が思ったのは、敬語を考えれば考えるほど『小室直樹の中国原論』（徳間書店）で読んだ思想と同じ物だと思ったからである。同書では中国人理解の鍵を「幇（ほう）」というきわめて結びつきの強固な人間関係に求めている。「幇（ほう）」は「幇会（パンフェ）」ともいって、副島先生によれば福建省にその源流を求められる秘密結社だという説があるらしい。本書ではそのことには触れられていない。 ただ私がこの本を読んで最も感銘（かんめい）、印象を受けたのは「史記」中の「刺客（しかく）列伝」である。「刺客」にこそ小室氏の言う「中国人の本質」（４８ページ）があると感じた。実は「史記」において刺客は破格の扱いを受けていて、政治指導者や軍人などとともにヒーローの扱いを受けている。 （引用開始） 『小室直樹の中国原論』５４ページから 趙襄子は豫譲を論難していった。「お前はかつて范（ハン）氏に仕え、中行（ちゅうこう）氏にも仕えたのではなかったか。智伯（ちはく）は、范氏も中行氏も滅ぼしたのに、お前は二氏のために仇を討とうとせず、かえって智伯に、仕えたのは如何（いか）なる理由か。そして、智伯のためだけに仇討ちをしようとするのは何故か」 するどく、豫譲の行為の矛盾を衝いたのであった。 生かすも殺すも、その前に論争。豫譲は矛盾を衝かれたと思いきや、直ちに反論する。 曰（いわ）く、「私は、いかにも、范氏にも中行氏にも仕えました。だが二氏は、私を普通の人として待遇したにすぎませんでした。だからわたくしも普通の人として義務を尽くしたにすぎませんでした。しかし、智伯は私を国士（一国で特に傑出した人物）として待遇してくださいました。だから私も国士としての義務を果たすのです」 この反論、効果があった。趙襄子は、深くため息をつき、泣きながら言った。 「お前が智伯に尽くす忠義の名分は十分に立った」 「忠義の名分を立てる」ことが豫譲の目的であった。 その目的達成を論争相手たる趙襄子にも認めさせたのだから、この論争、豫譲の勝ち。 「忠義の名分を立て」て論争に勝った豫譲は、満足して自決して果てた。 『小室直樹の中国原論』５４ページから （引用終わり） 鴨川光です。 ＜利益が含まれていない幇の関係−人間関係が第一義＞ しかし、ここが違う。 （引用開始） 『小室直樹の中国原論』８０、８１ページから かなりたって聶政の母が死んだ。葬式がすみ、服喪の期間も終わった。 そうすると、聶政はしみじみといった。 「ああ、私は市井（しせい）（巷、ちまた）の庶人である。狗の肉を売っている下層民に過ぎない。厳遂さまは大臣という最高の身分だ。それなのに、その人が千里を遠しとせずにわざわざやってきてくださった。車を止めて対等に付き合ってくださった。このわたしは、身分が低く貧乏なだけでなく、これという手柄も何もないのに厳遂さまは百溢という大金をささげて母の長寿を祝ってくださった」 こういって聶政は重大な結論に達した。 「この聶政を本当に理解してくださったのは厳遂さまだけだ」と。そして、厳遂は礼を尽くして国士として待遇したことも思い出したのであった。 国士として待遇してくれた相手に対しては国士として報いる。 （中略） 曰く「士は己を知る者のために死す」（中国の古い諺（ことわざ））と。 『小室直樹の中国原論』８０、８１ページから （引用終わり） 鴨川光です。 山本七平氏は前掲書『日本教徒』において「日本人は自分から主張、要求することができない、好まない」という説を展開している。これは私、光個人の体験からも実感するところである。読者諸氏もそう思われることがあると思う。 中国では商売関係となると幇よりもゆるい「情 （チンイー）」が発生する。幇と違うのは人間関係を重んずるが、その目的は互いの利益追求である。この点で幇よりもゆるい。 これも中国を考える上で重要な考え方なので、興味のある人は『中国原論』１１５ページからを参照してみてください。 ＜心の中では舌を出している日本人＞ 話を日本のことに戻そう。オシムのところでも言ったが、日本人は私を含めてだが心の中で人を馬鹿にすると言う点で失礼である。礼儀は正しいのに心の中では舌を出す。これは「身内さえよければ恥を書かなくてよい」という日本教―これは中国の「幇（ほう、パンフェ）」を軽く焼きなおしたものだ―の悪い側面である。 子供から老人、社会的地位のある人から下層の人間にいたるまで、どこか「こころ、マインド」をおかしくしている。そして自分だけは特別だ、優れている、選ばれた人間なのだ頭がいい、と思い込んでいる。 コンピューターに興味のない土木関係や力仕事、サービス業の人間のほうがまともな脳をして生活している。 「あなたはその花に水をやり、土を換え、下草を刈りと、「ムダな」時間をかけた。だからその花は本当に美しく、あなたにとってほかのどんなに美しい花よりも価値のあるものなのです。」 日本の手紙も「拝啓」で始まり、時候の挨拶があり、「敬具」で締めくくるといった形式があるが、英語の手紙にもある。 英語の手紙では最後に「シンシアリー・ヨーズsincerely yours」とか「トゥルーリー・ヨーズtruly yours」「フェイスフリー・ヨーズfaithfully yours」といった言葉で締めくくる。 私はこれらの言葉を最初に見たときに「いったいなんだこれは？」と思った。 ボズ・スキャッグスという歌手がいる。この人の有名なヒット曲の中で二曲ほどこのようなことを歌っているものがある。 Tonight’s dream will end,
（光注記）フィジカルとは「五感で感じることのできるもの」というのが本当の意味。「見えるもの、触れるもの」のこと。だからマインド＝脳、こころの正反対の概念である。だがら「肉体」という意味にもなるのだ。 五感でわかるもの、フィジカルなものだけを取り扱いましょうとしたのがフィジクスというのである。フィジクスとは物理学。ニュートンが作ったサイエンスの長男坊。サイエンスそのものでもある。 『フィジカル』というオリヴィア・ニュートン・ジョンの８２年ごろのヒット曲があった。あの清純なオリヴィアがレオタードをきてワーク・アウト（筋トレ）するヴィデオで有名である。当時この局はアメリカで放送禁止になった。 今でも欧米人にとって「レッ・ミー・ヒア・ボディ・トーク」の部分はいやらしいそうだ。それはフィジカルとはマインドの対立だからだ。だからいやらしいのだ。 そして今でも日本人にそのことは伝わっていない。なぜ放送禁止になったのか？いくら言われてもちんぷんかんぷんなままである。
Close your eyes, Ami, and you can be with me “We’re all alone” Boz Scaggs （引用終わり）
確かにそうだ。ごもっとも。そんなことは事実として不可能だからだ。 “open your eyes at me”なら「目を開けて私を見て」となるのだからそのとおりである。「目を閉じて私を見る」ことは現実としてできない。 この何気ない簡単なはずの歌詞の意味はこういうことである。 「目を閉じてごらん。ほら、僕が見えるだろう。僕はここにいる。君と一緒にいる。」という意味なのだ。目を閉じれば彼の姿が目に浮かぶ、思い出せる、というごく普通の感情を、今はいなくなった（おそらく死んだ）男の側から述べているのだ。 これは「五感で感じられる私はもういない。肉体、フィジカルな私はもうこの世にいない。しかし、本当の、真実の私は君のマインドの中にいる。だから私の肉体が死んでも、たいしたことではない。君は真実の私を覚えているし、それが君のマインドの中にあるのだから」ということである。 （光注記）おそらくこの歌詞で語りかけている男性はベトナム戦争で死んだのだろう。そうして恋人や旦那様をなくした女性たちが数多くいた。その女性たちを慰める歌なのだと思う。１９７６年という時代を考えてほしい。ロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープの出ていた映画『ディア・ハンター』もこのころであったことを考えてみてほしい。
大事なことを先に言っておくと、「真実」とは本質的に五感で感じ取ることのできないものである。 「真実」とは三つある。 一つは人間の脳の外にあるとされる超自然の存在、スーパー・ナチュラル。五感では感じられない。「啓示」というもので目の前に現れるとされている。啓示とはレヴェレーションrevelation、リヴィールrevealといって今まで見えなかった、隠れていたものが現れるということである。つまりゴッドのこと。 二つ目は人間の脳の中にあるもの。幽霊とか夢とかもそのうちに含まれる。だから数学もすべてこれ。数学上の真実はすべて人間の観念でしかない。すべて自意識の世界、脳の中だけのもの。数字も線も現実の世界には存在しない。五感では感じ取れない。 数学の「公理」、これをアクシオムaxiomというが、「定理」とか「定義」とかを含めて学校で習ったとき、みなその意味を本当にわかった人がいるであろうか？数学はこの「公理」がなければ何一つ成り立たない。すべての理論の「足場」である。 「公理」を一言で子供にでもわかるようにいえる、つまり本当に理解できている日本人がいるであろうか？いない。みな教科書や先生の言ったことをわかったような振りをして自分でもわかっているやらわかっていないやらわからなくなっている。 一言で言おう。「公理」とは「理由が要らない」という意味。理由や説明がこれ以上必要ない、いらないという意味。質問自体が成り立たないということ。「公理」は「突っ込み」を許さない。 自分は頭がよいと勝手に思い込んでいる「理系」人間の方々はこのようにきちんということができない。言葉をきちんと当たり前のやり方で説明してあげることができない。説明できないとは、相手にきちんと伝えることができないとはつまり「バカ」ということである。 彼らは説明できないから、あの気持ちの悪い、気味の悪い「薄ら笑い」や「理系」人間同士の「目配せ」で人をバカにすることを匂わせて終わる。 実は彼ら「理系」人間たちは―お役所や企業のおこぼれをありがたく頂戴するコンサルタント、口添え師でしかない技術士のような工学系、技術系を含む―何も知らない。 再度言うが説明できない、というのはバカという意味なのである。脳の世界の中だけを泳ぐ「ロマンチスト」である。このことは後で述べる。 もうひとつの真実とは私たち現代に生きる人間が、一般庶民がやらなくてはならないもの。「現実の世界にあるのだが、何かによって隠された真実」である。この「真実」は現実の中に事実としてあるものなので五感で感じとることができる真実である。 だから「事実」をできるだけかき集めてはっきりとこれはこうであると誰にでもわかるように、「バカ」にでもわかるようにその「真実」を明示しなくてはならない。 「発見」という言葉の本当の意味を説明できる人が誰かいるであろうか？「発見」という翻訳語は間違いである。ディスカヴァーdiscoverというもとの英語にペタッと貼り付けただけのニセモノ用語である。 「カヴァー」という文字が単語の中にあるからわかるだろう。ディスカヴァーとは「自然界や人間社会に隠されているもののカヴァーをはがして暴き立てる」ということなのである。 現実世界―リアル・ワールドreal world、フィジカル・ワールドphysical world、五感で確認できる、「見れる」「触れる」世界―に隠されているもの、隠れているものを白日の下にさらけ出す、それが本当の「発見」の意味なのである。 だから、この三つ目の「真実」は「学問的」真実ということになる。サイエンスのことである。だから副島先生は自らのことを「暴き系」といっているのだ。 「真実」トゥルースとはこのように １．「宗教・神学の真実」―絶対的超自然の「存在」を信じること、 ２．「哲学・数学上の真実」―脳の中、観念の中だけでしか存在しない「存在」を信じること、 ３．「学問・科学の真実」―現実世界（自然界、人間社会）の中に隠れている、隠されている真実、それを暴き立てること、 この三つである。こうはっきりといえる日本人はいるか？いないであろう。 「事実」と「真実」の違いとは、「死体」と「死因」の違いで明らかとなる。 目で見て確認できるのはどちらだろうか？それは目の前に「ある」死体に決まっている。本当にあるのだから。三つの死因の可能性は三つとも本当は死んだ本人に訊かなければ永遠にわからないものである。犯人がのこのこ現れるわけもないのだから。 とすると、「事実」とは死体であろうか？死因であろうか？「事実」は死体のほうである。三つの死因のほうは「真実」なのである。 この明白な定義を日本人で言える学者、読書人はいるのであろうか？ 私が教えていた小学生は「事実」と「真実」の違いに関するこの問答を素直に言い当てていた。１００パーセント「真実」とは人間の力では永遠にわからないものなのだ。 だから事故や死亡事件の捜査は事細かな事実（証拠）をその道のプロの手、テクニシャンの手で長い時間かけて、丹念（たんねん）に集めていって証明していかなければならないものなのである。それでも冤罪は永遠に減らないし、捜査結果が１００パーセント真実であるとは言い切れないのである。 少し話がそれるが、数学そしてそれに並ぶ物理を得意とする人に物申したい。数学で最も優れている点。それは「定義」すると言うことに他ならない。副島先生もサイト上のどこかで言っていたが、まったく同感である。私自身は定義という言葉の意味を学問道場内の「日本英語の謎を解く」掲示板の「１２２７番」で明らかにした。 たとえば「次元」という言葉。これを私たちは、一次元は線、二次元は面、平面とか面積、三次元は空間だの立体だのと知ったような間違った定義をしてしまう。あるいは平方だの立方だのと……。 「長さ、広さ、高さ」ただこれだけでいいのである。 あのメートルはｍ、平方メートルは�屐⇔�方メートルは?というように、ｍに２、３とついている。あれがそれぞれに二次元と三次元をあらわしているのだ。「次元」とはただそれだけに過ぎないのである。 ごくごく明快で単純なことを述べていて、何の迷信的な不思議さのかけらもない数学の明快さとはこの小学校の基本レベルにあるのだ。 「公理」と「定理」。これを一言で正しく云い得る人は本当にいるか？「公理」とは全く理由が要らないということである。「定理」のほうは理由がひとつ必要であるということ。これだけのことである。 （光注記）線も、面も、数字も現実世界の中にひとつとして存在しないものであることはお分かりであろう。あくまで「当てはめた」にすぎないものがニュートンの作り出した「物理学、フィジクス」なのである。 物理のほうにも話が流れてしまったが、「真実の気持ち」を考える上で大切なことである。 数学のことで最後にひとつ。中学に入って「数学という修道院」の門に仰々（ぎょうぎょう）しく飾られている言葉「方程式」。この言葉の本当の意味を知っている日本人は今のところ私以外一人もいない。「定義」こそが数学でもっとも大切で、公理すらも定義の後に来るものなのだ。 イコール、＝、は「は」ではない。シーソーの支点と同じものである。イコールの右側が「答え」なのではない。バランスを取れ、そうでないと間違いになる。バランスの取れない数値になる。というただそれだけのことである。そのパターンが５つぐらいありますよ、だから理屈をまず頭に叩き込んで、赤点が嫌なら暗記しなさい、といっているだけである。暗記物になってしまうのだ。 敬語から数学の話に広げてしまった。しかし、「真実の気持ち」「真実」というものが何なのかを考えるときこのことは避けては通れないことなのである。 手紙の話に戻る。私たちが日常の生活の中で真実の話を確認し、人にそれを伝える。そのためには時間をかけて丹念（たんねん）に手紙を書くことは大切である。その中における丁寧で簡潔な言葉で人に敬意、自分の本当の思いを伝えること。これを外国人、特に欧米人は現実生活には欠かせない要素として問題にする。 これをエチクスethicsというのである。「倫理」というもったいぶった訳語がついているが、これも何のことはない、エチケットetiquetteのことなのだ。 それをいわないとただのウェイターであれウェイトレスであれ無視して何もしてくれない。自分を人間扱いしない人間など逆に人間扱いしなくていいからだ。 それを「白人に差別された」だの「アジア系だからなめられている」なといつまでも勘違いをしている外国旅行者、出張組みは後をたたない。 おそらくは自分、日本人のほうが失礼なことをしていたのだろう。エクスキューズ・ミーの一言も言えず、「日本人は赤ちゃんだから仕方がない」と向こうのほうに我慢を強い続けている。日本人の失礼振りに腹が立って仕方がない、もしくはあきらめているのだろう。 日本人観光客、留学生、出張サラリーマンごときに「人種差別」をするほど馬鹿で暇ではないのだ。たとえ「ウェイターごとき」欧米人であっても。 シルヴ・プレはプリーズ、「お願いします」である。人を自分と同じ人間として扱う最低限の言葉、それがシルヴ・プレ、メルシの簡単な挨拶で、欧米人は本の普通のなんでもない、何気ないやり取りの中で使い、必ずちゃんとした反応をしてくれる。これは日本でもそうだろう。 もちろんこれは日本でもそうであるが、他人に対しては言葉の上だけでよいという儀礼に終始するという非常に悪い面がある。日本人、東洋人の特徴の中で最も悪いのはこの点である。これを私は強調しておきたい。 真実の気持ちを開示し、人を動物以下の「もの」として扱うのではなく、自分と同じ人として、日常の普通のやり取りで、人同士としてまともなコミュニケーションの中でやる。これがわれわれの本当のチャレンジ、課題である。少なくとも大切な人には年に３回は手紙を書く。私は今後の人生でそれをなるべく心がけようと思う。そうして真実の自分を磨いて人に伝えていきたいと思う。 （極端なハイとロウ状態を長期間にわたって毎日のように繰り返すものだから、しかも自分の知らない土地、故郷から何千キロも離れた土地、砂漠の中を転々としながら、アルコールとドラッグにやられてしまうのである。） 鴨川光 拝
2007/03/26(Mon) No.01
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| 「８３６」 現在、騒がれている、いわゆる従軍慰安婦問題についての主要な記事と資料となる意見を列挙します。副島隆彦 ２００７．３．２１ 念のための冒頭加筆です。２４日の出版記念講演会の会場までは不便です。ご注意ください。 |
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副島隆彦を囲む会 #Penです。２００７年３月２１日に冒頭加筆します。 来たる３月２４日の出版記念講演会に参加なさる皆様に、会場までのアクセスにつきまして、事故と混乱ががあるといけませんので、念のためにお知らせいたします。 講演会会場である「新宿・ニューシティホテル」への、当サイト上での地図では、ＪＲ新宿駅から簡単に来れるように見えますが、実際の距離は、相当離れていますのでご注意ください。 ＪＲ新宿駅からの徒歩での長時間の歩きを避けたい方は、もう一つの最寄り駅である「地下鉄・都営大江戸線・都庁前駅」をご利用ください。この「都庁前駅」の「Ａ５番出口」から出て頂きますと、徒歩で５分ほどで到着致します。 ・会場までの地図 それでは当日は新宿・ニューシティホテルにて皆様を心よりお待ち申し上げております。 冒頭加筆を終了します。 現在、騒がれている、いわゆる従軍慰安婦問題について、以下に列挙しておきます。 この４月末に、安倍晋三首相が訪米してブッシュ大統領と首脳会談を難なくこなすのでしょうが、その際にも、この旧日本軍の、１９３７年（昭和１２年）からの中国大陸での、本格的な戦闘と共に起きた、占領地区での従軍慰安婦問題が、世界中のメディアで取り上げられてこれからも騒がれるでしょう。 そのあと安倍首相が日本に帰国したあとの５月に、米下院が、日本を非難する決議をするでしょう。それでも、両国の政府は、目先のあれこれの協力関係を維持しなければいけないので、この従軍慰安婦問題で、国際社会が揺れ動くのは、好ましくないと判断しているようです。 鍵を握るのは中国です。どうやら、最近、中国政治に、大きな地殻変動があったようです。そのことは私はここでは書きません。アメリカ政府は、決定的な決断をして、東アジアは完全に中国に「丸投げ」したようです。 アメリカは、厳しい国内事情を抱えて、撤退しつつあります。いろいろの兆候が出ています。 北朝鮮問題からも、アメリカは手を引いて、中国に明け渡したようです。却（かえ）って中国の方が困惑気味です。 今回の、「従軍慰安婦」騒動は、日本を中国にぶつけて、中国と日本を喧嘩（けんか）させ、いがみ合わせようとする、アメリカ政界のネオコン派の残党の最後の足掻（あが）きだったようです。 中国が、その手には全く乗りませんでした。今回の中国政府の対応は際立っています。それと、シンガポールの実力者のリークワンユーの息子の、リー・シュエンロン（李顕龍）首相の、日本への理解ある発言がすばらしかった。 今回は、中国政府が、安倍首相の「慰安婦問題では、当時の日本政府（日本軍）には、狭義での強制性はなかった。証拠となる文書は見つかっていない」という３月１日の首相発言が、世界中に広げた波紋について、日本政府に理解し同情する態度を取っている。ここが一番注目点すべき点である。 アメリカの中国への対応が、ガラリと変わった、ということが背後にある。このことが、これから先の東アジアの政治を決定的に動かしてゆくだろう。 これ以上のことは、私は今はここでは書きません。 副島隆彦拝 （私の目をひいた資料 の 転載貼り付け始め） （１）「党内のタカ派まで怒らせた安倍首相の二転三転」 ２００７年3月18日10時0分配信 日刊ゲンダイ 優柔不断の安倍首相が、ついに自民党内の身内タカ派議員まで怒らせてしまった。14日、中川昭一政調会長が“仲裁”に乗り出すこじれようだ。 「安倍総理が言動を二転三転させた。それに振り回された議連がカンカンなのです」と関係者が語る。「知っての通り、米下院で恒例の従軍慰安婦に関する謝罪決議案が持ち出された。民主党が議会の多数を占めることで、今回は採決の可能性が高まっていた。拘束力がないのだから無視しておけばいいのに、これに過敏に反応したのが安倍総理でした。 “河野談話は屈辱的”が総理の持論だけに、5日の国会で“米下院の決議案は事実誤認だ”“強制的連行があったと証明する証言はない”と強気の答弁をし、米下院の決議案と真っ向から対決する気になってしまった。で、同志の集まりである『議員の会』に連絡をとったのです」 安倍首相の意を受けて、中山成彬議員ら議連は8日、政府による従軍慰安婦問題の再調査や河野談話の見直しを求める提言を首相に手渡した。この提言を受けて、政府が再調査に動き出すというシナリオだったのだ。 「ところが、外務省や官房長官が慌てて待ったをかけたのです。その頃には米ニューヨーク・タイムズ紙はじめ、世界で安倍発言への反発が強まっていた。海外の空気に無頓着な総理に対し、外務省などが危機感を持ったのです。それで必死に説得した。 総理の発言が急にトーンダウンしたのはそれからで、ついにはお詫びと受け取られる言葉まで口にせざるを得なくなった。これに議連は、“弱腰すぎる”“勝手にハシゴをはずされた”とカンカンなのです」（政界事情通） 自分で言い出しておいて、最後は「再調査は党がやる」と責任を押し付けて逃げる安倍首相。タカ派仲間にも“軽さ”を見透かされ、いよいよ前途多難だ。
朝日新聞 2007年03月12日 中国各紙は１２日、安倍首相が従軍慰安婦問題で「おわび」をしたと一斉に報じた。 この問題では、安倍首相が１１日にＮＨＫのインタビューに対し、従軍慰安婦問題で「心からのおわび」を語ったと同日にまず国営の新華社通信が伝え、テレビやラジオも 同日夜のニュース番組で報道。翌１２日付の中国各紙は、北京の大衆紙が見出しを １面に掲げるなどして大きく報じた。 一連の報道は、安倍首相の先の発言が「アジア諸国の強烈な反発」を招いたと指摘 しつつ、１１日のインタビューでは「おわび」のほか、９３年の河野官房長官談話を 「継承していく」と語ったことにも触れている。 安倍首相が１日に従軍慰安婦問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と 述べたことに対しては、李肇星外相が６日に「（同問題は）日本の軍国主義者による重大な 犯罪のひとつ」と批判したが、同時に「温首相の訪日は両国の各領域における協力を 推し進めるうえで大きな意義がある」とも指摘。 中国外務省の秦剛副報道局長も８日、 「日本が勇気を持ち、責任ある態度で対応するよう希望する」と述べた。 朝日新聞 2007年03月12日12時26分
２００７年３月２０日 ロイター 村山元首相は、日本政府や軍が強制的に連行したか否かの議論は無意味だとした上で「軍が関与して慰安所を設置、監督したのは間違いない。その限りにおいては政府の責任はある」と述べた。元首相は第２次世界大戦を正当化するような政治家の動きにも触れ「アジアの人は、昔の日本に戻るのではと心配している」と話した。 村山元首相はまた、今回の慰安婦問題に対する安倍首相の対応の一部に問題があったとの考えを示した。安倍首相は先に、旧日本軍の関与を認めて慰安婦への謝罪を表明した１９９３年の「河野談話」を踏襲する一方、日本軍または政府関係者が慰安婦の強制連行に直接かかわった証拠はないと発言している。 さらに、米議会で慰安婦問題に対する日本政府の謝罪を求めた決議案が提出されたのを受けて、安倍首相が「決議が採択されてもあらためて謝罪しない」とした発言については「言う必要がないことを言っている」と述べた。 旧社会党出身の村山元首相は戦後５０年の１９９５年、アジア各国に対し、日本の過去の侵略や植民地支配に関する公式謝罪を行った。 （４）「安倍首相も「河野談話」継承＝麻生外相がカナダ外相に説明」 ２００７年３月２０日 時事通信 麻生太郎外相は19日夜、カナダのマッケイ外相と電話会談した。従軍慰安婦問題について麻生外相は、同問題を謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話を安倍晋三首相も継承していると説明し、理解を求めた。 また、北朝鮮の核問題に関する6カ国協議に関してマッケイ外相は、「平和的解決を望んでいる。拉致問題を含めできる限りの協力をしたい」と語った。 （５）「慰安婦問題＞安倍首相の強制否定で拉致支援者に困惑 米紙」 ２００７年３月１９日毎日新聞 【ワシントン及川正也】米紙ロサンゼルス・タイムズ（電子版）は１８日、従軍慰安婦問題で安倍晋三首相が「狭義の意味での強制性を裏付ける資料はなかった」との立場を堅持していることについて、「強制性」を否定していることで北朝鮮による日本人拉致問題で日本政府の立場を支持する人たちを「困惑させている」とする記事を掲載した。 記事は東京発。従軍慰安婦問題と拉致問題への安倍内閣の対応を比較。拉致問題では「北朝鮮を非難」するが、慰安婦問題では「強制を否定している」と指摘。シーファー駐日米大使が米紙に「元慰安婦は旧日本軍によって強姦（ごうかん）された」と発言したことに言及し、「ワシントンの日本の最大の支援者たち」にも困惑が広がっているとの見方を示した。 また、批評家の見方を引用する形で「首相は旧軍によって恐怖を強いられた多くの女性に対し、（拉致被害者へのと）同じ同情を持てないでいる」と批判している。 （６）「軍による慰安婦強制連行示す資料なし…答弁書閣議決定」 ２００７年３月１７日 読売新聞 安倍首相は「狭義の意味での強制性を裏づける資料はなかった」としているが、その根拠となる、従来の政府の立場を改めて示した形だ。社民党の辻元清美衆院議員の質問主意書に答えた。 （７）「 日本の従軍慰安婦に連行されたオランダの女性が証人に 」 第２次世界大戦当時、慰安婦として連行されたオランダ人女性が証人として出る。オーストラリアに住むヤーン・ルーフオヘルンさん（84）が主人公だ。彼女は「慰安婦問題に対して日本政府が公開で謝罪しなければならないという内容の慰安婦決議案が米国下院で成立してほしい」とし、下院外交委の証人出席要請を快諾した。 「あのとき、あの恐怖、絶対忘れない」 ヤーンさんは2001年、オーストラリアABC放送とのインタビューで「あのとき、私たちが『ジュネーブ協定違反』と叫ぶと日本軍はにやにや笑った」と回想した。ヤーンさんらはそのとき、日本式の名前を1人ずつ与えられた。ヤーンさんには何かの花の名前が付けられたが、記憶から消してしまった。彼女は過去を隠して暮らした時代、花が嫌いだった。慰安婦生活を思い浮かべるからだ。 英語が分からなかった2人の娘に、誕生日のプレゼントとして花をくれると言われても素直に笑えなかった。ヤーンさんは慰安所に入ってから少し立って髪の毛をすべて刈ってしまった。「はげ頭のように見えれば日本軍が嫌やがるだろう」と思ったからだ。しかし日本軍はそんな姿にもっと好奇心を感じたようだと彼女はABC放送で明らかにした。それとともに「あのときのあの恐怖を絶対忘れることができない」と話した。 ヤーンさんは92年、慰安婦出身韓国人女性3人が日本政府に公開謝罪を要求したのをテレビで見て、自分も過去を明らかにして闘争しなくちゃいけないと決心した。それで同じ年の12月、東京で開かれた日本の戦争犯罪聴聞会に出て証言した。 ●「証言でおびただしい反響起こす」＝ヤーンさんはオーストラリアの放送で「日本は私たちが死ぬことを願っているが、私は日本政府が慰安婦被害者たちに謝罪と補償をするまで闘争する」と言った。そんな彼女が米下院で証言すれば波紋は大きく広がるだろう。下院のある関係者は8日「ヤーンさんと韓国人キム・クンジャ、イ・ヨンスさんが証言すれば米国人は『当時の日本軍はそれほど残忍だったのか』と思うだろう」とし「彼女らの証言で慰安婦決議案の下院成立の可能性は高くなる」と話している。
日系のマイク・ホンダ米国下院議員（65、民主、カリフォルニア）は先月31日、従軍慰安婦決議案を下院に提出し、このように述べた。 決議案は、日本が従軍慰安婦に加えた集団強姦と強制堕胎、人権じゅうりんは思想類例がない残酷な蛮行だったことを指摘、日本政府が公開的に歴史的責任を認め、日本首相が公式声明を出して謝罪することを求める内容だ。 ホンダ議員は、昨年パーキンソン病で引退した同党のエバンズ元下院議員の意志を引き継いで今回、決議案を出した。 エバンズ氏が昨年提出した同じ趣旨の決議案は下院国際関係委員会を通過したが、親日派である当時のハスタート下院議長（共和）が全体会議上程を拒否したことで採択されなかった。 エバンズ氏の決議案を積極的に支持したホンダ議員は今回、ダイアナ・ワッソン議員（民主）、エドワード・ロイス議員（共和）ら下院議員6人とともに再び決議案を提出した。 ホンダ議員は「日本では93年に従軍慰安婦に対する責任を認めた河野洋平当時官房長官の声明を撤回しようという動きがあり、日本のいくつかの教科書は戦争犯罪を縮小しようとしている」とし「日本政府は、日本国内で出ている『慰安婦の性奴隷化と人身売買はなかった』というの主張に対して公開的に反論すべきだ」と要求した。 「日本政府は現在と未来の世代にこの犯罪について知らせ、国際社会の勧告に従うべきだ」とも述べた。 今回の決議案は、「日本政府は歴史的責任をはっきりと認めるべきだ」というエバンズ決議案に比べ、要求の程度がはるかに強い。 日本は下院の決議案採択を阻止するため民主党の大物であるフォーリー元下院議長をロビイストとして雇用した。 しかし同じ党所属のペロシ下院議長は決議案を支持しており、全体会議を通過する可能性も高い。 ホンダ議員は決議案を出しながら、ペロシ議長に「元慰安婦の生存者らが心の平和を得られるよう、われわれが助けるべきだ」と述べ、「決議案は、正義を要求する元慰安婦らの声を米国が聞いていることを示すものだ」と強調した。 米下院国際関係委員会（委員長ヘンリー・ハイド氏）はこの日、会議を開き、従軍慰安婦動員関連決議案（下院決議案759号）を通過させた。 レイン・エバンズ議員（民主・イリノイ州）議員とクリストファー・スミス議員（共和・ニュージャジー州）議員が今年4月に共同提出した決議案は、日本政府に対し ▽従軍慰安婦動員に対する歴史的責任を認める ▽こうした犯罪について現在と未来の世代を教育する ▽慰安婦動員を否定するいかなる主張に対しても公開的かつ強力に反論する ▽国連・国際アムネスティなど人権機構の勧告を検討し賠償の必要性と適切性を決定すること−−などを促している。 ０１年と０５年にも慰安婦関連決議案が米議会に提出されたが、日本側の働きかけで上程もされなかった。 しかし今回の決議案は下院の主務常任委員会に初めて上程され、全会一致で通過したため、今後の下院全体会議でも可決される可能性が高まった。 米下院でこの決議案が最終採択されれば、第2次世界大戦当時の日本の蛮行を全世界に想起させるのはもちろん、今後、慰安婦賠償問題をめぐっても日本政府に圧力を加える効果があるとみられる。 決議案は前文で「慰安婦の悲劇は20世紀最大の人身売買」とし「慰安婦の奴隷化は日本政府の公式委任で組織化され、輪姦、強制堕胎、性的暴力を伴った。しかしこうした戦争犯罪聞いた日本の過去の敵国や被占領国との賠償交渉で正しく処理されなかった」と指摘した。 決議案にはまた「日本の一部の教科書では‘慰安婦’悲劇や他の蛮行を最小化し、第2次世界大戦期間の戦争犯罪で日本の役割を縮小しようとしている」と記述されている。
２００７年３月１４日毎日新聞 【ワシントン及川正也】日本政府に公式謝罪などを求める従軍慰安婦決議案を審議中の米下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会のファレオマバエガ委員長（民主党）は１３日、毎日新聞のインタビューに応じ、決議案の採決時期は４月下旬の安倍晋三首相の訪米を考慮し、５月以降に先送りする公算が大きいとの見通しを示した。共同提案者としての署名は最初の６人から４０人を超えるまで増えており、採決されれば可決される可能性が高い。 委員長は「当初は３月末までに委員会で審議を終える案もあった」と指摘。その上で「決議案は、来月訪米する安倍首相を困らせるのが目的ではない。首相に敬意を払うのが筋で、アクションを起こすとすれば首相訪米後になる」と語った。委員長はラントス外交委員長の首席補佐官と協議し、「首相訪米に合わせて対決ムードをあおるようなことはしたくない。この問題では急がない」との認識を確認したことも明らかにした。 委員長は従軍慰安婦問題を米議会が取り上げている理由について、「米国内には約１５００万人のアジア・太平洋系米国人がおり、韓国系、中国系、フィリピン系の人たちがこの問題を取り上げるために我々の力を必要としているからだ」と語った。 安倍政権は謝罪を含む９３年の河野洋平官房長官談話を継承しているが、委員長は問題解決には（１）政府による元慰安婦への補償（２）首相が支持する謝罪を含む国会決議の採択――などが必要と指摘した。 「軍慰安所従業婦等募集に関する件」より 陸軍省副官通牒、「軍慰安所従業婦等募集に関する件」 「支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為、内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ故ラニ 軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ 或イハ 従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ 或イハ 募集ニ 任スル者ノ人選適切ヲ欠キ 為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等 注意ヲ要スルモノ少カラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於テ統制シ之ニ 任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実施ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連繋ヲ密ニシ、 以テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス 陸支密第７４５号 昭和拾参年参月四日」 「支那事変地に於ける慰安所設置の為、内地に於て之が従業婦等を募集するに当り、 故（ことさ）らに軍部了解等の名義を利用し、為に軍の威信を傷つけ、且つ一般民の誤解を招く虞（おそれ）あるもの、或は従軍記者、慰問者等を介して 不統制に募集し社会問題を惹起する虞あるもの、或は募集に任ずる者の人選適切を欠き、 為に募集の方法、誘拐に類し警察当局に検挙取調を受くる者ある等、注意を要する者少なからざるに就ては、将来是等の募集に当たりては、関係地方の憲兵及警察当局との連繋を密にし、以て軍の威信保持上、並に社会問題上、遺漏なき様配慮相成度、依命通牒す。」 （１１） 2007/03/12(月) ネットから拾った意見 河野談話を否定し、従軍慰安婦なんてなかったと相変わらず開き直るタカ派国会議員。さらに、河野談話を継承すると言いながら強制性はなかったと矛盾発言をする安倍首相。 それなのに、日本政府は河野談話に沿って過去公式になんども謝罪してるから、もう勘弁してくださいという外務省。 挙句の果ては安倍首相が、「反論をしない」といってるそばから、反論をやってしまう日本の総領事館。 こんなデタラメ・スタンスで、どうやって米下院を説得しようと言うのか？ 「バカにつける薬はない」とはまさにこいつらのことだ。
【ロサンゼルス１１日時事】在米ロサンゼルス日本総領事館の兒玉和夫総領事は１１日付の ロサンゼルス・タイムズ紙に投書し、「日本政府は１９９３年、慰安婦問題への関与を認め、 謝罪した」と経緯を説明した。 同紙は今月、「（慰安婦問題など）日本の戦争責任は十分追及されておらず、大半の被害者は 補償されていない」とするジョージ・ワシントン大学のディナ・シェルトン教授の意見を掲載していた。 これに対し兒玉総領事は、日本政府は９５年に女性のためのアジア平和国民基金（アジア女性基金）を 設立して謝罪の気持ちを込めた首相の手紙を添え、元慰安婦らに「償い金」を提供してきたと反論した。
（ロサンゼルス・タイムズ） 安倍首相の発言は日本国民を反映したものと理解すべきでなく、むしろ与党・自民党の安倍氏や右派が権力への布石として採用してきた国粋主義の症状だ。むしろ安倍氏は、十分に確立された歴史の真実を認め、生き残っている被害者たちに公式な損害賠償を行うべきだ。 真の国粋主義者は、このような日本の真の国益にとって最良となる方法で、歴史に向き合うだろう」(ボストン・グローブ) 「大部分の歴史学者達や日本政府自身が、軍部と業者がアジアの約20万人の女性に部隊に対してセックスを強制させたとしている」（ロサンゼルス・タイムズ） （ワシントン・ポスト） （ニューヨーク・タイムズ） （サンノゼ・マーキュリー） （英ＢＢＣ） （英エコノミスト誌） （ガーディアン） 「われわれフィリピン人は米国の議員らと同じく日本帝国軍隊がフィリピンなどアジア諸国の女性を慰安婦にしたという残虐行為に対し真の謝罪を求める。（フィリピン マニラ・タイムズ） 「日本が第二次世界大戦中にアジアの女性に慰安婦になるよう強要したのは歴史的事実だ」(マレーシア 星州日報) 「安倍氏は、日本が戦争中に性の奴隷の問題に関与したことを認めて謝罪するよう求める米下院での決議案にいらだっている。 「台湾の蘇貞昌行政院長（首相）は６日、立法院（国会）の答弁で、従軍慰安婦に関する安倍首相の発言について「事実を正視しない、いかなる政権に対しても厳しく抗議する」と述べた。 「比外務省のエブダリン長官代理は五日、一九九三年の河野洋平官房長官＝当時＝談話と〇一年に小泉純一郎前首相が従軍慰安婦に対して送った「おわびと反省の気持ちを示す」 手紙の内容に順守するようあらためて日本政府に要求した。」（フィリピン外務省） 「革新党議員のオリヴィア・チョウは、昨日オタワで私たちは大きな声で安倍発言を非難するべきだと語った。保守党議員のインキー・マークも安倍発言にショックを受け、（カナダの）ステフファン・ハーパー首相に安倍発言を非難させたい。 「日本の性奴隷否定への怒りはおさまりそうにない。 「オーストラリアのハワード首相は「過去の出来事に対してつまらない言い訳はしてはならないこと」とし「強制動員がなかったという主張は、私としては絶対に受け入れることができないことであり、他の同盟国たちも絶対に受け入れることができない主張」と強調した。 （１４）２００７年３月１７日 共同通信 【ワシントン１７日共同】 大使は、２月に米下院外交委員会の公聴会で証言した元慰安婦を「信じる」と述べ、慰安婦が強制的に売春させられたのは「自明の理だ」と語った。 （１５）2007/03/13(火) 慰安婦は商業的売春宿に雇われ公的な許可を得て営業していた、ただの売春婦だと日本は主張しています。あなたは慰安婦は性奴隷というより売春婦だったという日本の考えに賛成しますか？ （１６）「９０年前のアルメニア人虐殺非難する米下院決議案にトルコ猛反発 」2007/03/12(月) 産経新聞 ２００７年３月１１日 米国議会の下院に９０年前のアルメニア人虐殺でいまのトルコを非難する非拘束の決議案が出され、採択される見通しも生まれてきた。現在のトルコ政府は同決議案に猛烈に反対し、もし可決の場合には トルコ国内の米軍による基地使用をも制限すると 言明し、両国関係の危機までが語られ始めた。 米議会民主党が日本の慰安婦問題糾弾 の決議案を審議する状況と酷似しているが、トルコの対応は日本のそれとはまったく 異なっている。 同下院には１月末、１９１５年から数年間に起きた「アルメニア人虐殺」を非難し、 その非難を米国の今後の対トルコなどへの外交政策に反映させるという趣旨の非拘束の決議案が民主党アダム・シフ議員（カリフォルニア州選出）らによって提出された。 アルメニア人虐殺とはオスマン帝国時代のトルコにより帝国領内少数民族のアルメニア人約１５０万人が虐殺されたとされる事件。欧米の歴史学者の間でも「トルコによるジェノサイド（事前に計画された集団虐殺）」とされ、今回の決議案でもその用語が使われている。 しかしトルコの歴代政府も国民多数派も集団虐殺とは認めず、現政権はアブドラ・ギュル外相をこの２月、ワシントンに送って米側の政府や議会に対し同決議案が採択された場合、トルコ国内の反米感情が燃え上がり、政府としても自国内のインジルリク 基地などの米軍による使用を禁止あるいは制限すると警告した。 米国議会が外国、とくに同盟国の歴史的な行動をいま取り上げて非難するという動きは、日本の慰安婦非難決議案のケースとまったく同じだ。しかし、トルコが対米安保関係を 変更してまで国家をあげて猛反対するという点は日本の対応とはまるで異なっている。 【産経新聞、ワシントン＝古森義久】
今日のサンデープロジェクトでは、櫻井よしこが、久しぶりにいいこと言っていた。トルコはちゃんと外務大臣が即刻飛んで行って抗議したらしい。あれを日本もやるべきだ。 （転載貼り付け終わり） 副島隆彦です。 今後の進展は、すでに、「従軍慰安婦は有ったか、無かったか」の国内での、「存在問題」（その問題が、存在するか否（いな）かの議論」ではなくて、世界の言論法廷での裁きである。 日本国内での議論など、World values ワールド・ヴァリーズ 世界普遍価値 での判断が、一斉に出てきたら、ひとたまりもない。 日本の偏狭な、右翼言論人や、歪（ゆが）んでおかしな民族派、愛国派を自認する者たちは、袋叩きに遭っている。そのことを今回は、いやいやながら自覚しつつあるのだろう。強がりをいくえら言っても外側世界には、通用しない。 安倍首相の今回の「狭義での当時の日本政府の強制性（女性たちの強制連衡）は無かった」発言を、安倍首相自身が、すでに撤回して、外務省の意見を受け容れて彼は以後、貝のように黙り通すだろう。それしか手はない。世界を相手にして、袋叩きにされるのは外交政策として利口でない。 ただし、安倍首相は、今後、アメリカの対して、「あんまり日本をいじめると、もうお金（あれこれの対米協力の資金）を払わない」という態度に出る。すでに出ている。だから、安倍政権は、やがて倒れるだろう。それでも、日本の財界が全面支援している。 安倍政権は、世界に向かっての、日本国の態度で、大きな路線転換（態度の変更）を実現した政権として後世に語られるだろう。それは、戦後６２年間で初めて、アメリカに、堂々と文句をつける政権となったことである。日本をよいように扱って甘く見たアメリカ政府の方が、今後、日本の協力を得ることが出来なくなって、あれこれ困ることになる。 つい最近、隠されたあるひとつの重大なアメリカ政府の態度変更がありました。北朝鮮の管理権も中国に投げ渡したようだ。このアメリカの急激な動きに東アジア全体が揺さぶられている。 東アジア全体を、アメリカが中国に放り投げる、という決定をしたことの兆候と余波として、今回の従軍慰安婦問題のむしかえしはそれなりの意味を持ったのである。これ以上のことは私は今は書きません。 副島隆彦拝
2007/03/21(Wed) No.01
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| 「８３４」 マスコミが全然話題にしない、「アーミテージ・レポート第２弾」を読む。アメリカの軍需産業が二枚舌、三枚舌で兵器ビジネスを行おうとしているだけの話だ。２００７．３．１１ |
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アルルの男・ヒロシです。今日は、２００７年３月１１日です。 安倍晋三首相と久間章生防衛大臣が、出席した参議院予算委員会の中継を金曜日の午後にＮＨＫで放送していた。 野党の民主党の若林秀樹議員が、安倍首相に、イラクで大量破壊兵器がなかったことが分かったにもかかわらず、「当時の小泉内閣がアメリカのイラク攻撃を理解ではなく、支持する閣議決定をした事について撤回するともりはないか」と質問していた。 この若林議員は、イラク問題では、奥克彦参事官の不可解な殺害（米兵による殺害の可能性が濃厚と私は考えるが）について、詳細な検証を自身のホームページで掲載していたという記憶がある。この鋭く迫った若林議員の質問にも、「イラクは大量破壊兵器がないことを証明する機会があったにもかかわらず、その機会を生かさなかった」と安倍首相は答弁した。 この国会審議を遡ること数週間前、アメリカのチェイニー副大統領が日本を訪問した。オーストラリア、パキスタンを巡る歴訪のスタートを切るのが日本訪問だったわけだが、案の定、日本のマスコミは、訪日目的について、アフガニスタンとイラクでの後方支援を要請したとしか報じなかった。 ２１日夜のテレビ・ニュースでは、チェイニーがこの日、横須賀の米国海軍基地を訪れたシーンが映し出された。この訪問で、チェイニーは左手に海上自衛隊、右手に駐留米軍の高官がズラッと並ぶなか、その上座に鎮座し、「自分こそが米国軍、自衛隊の最高司令官だ」と見せつけた。 これ以上の詳しい情報はないが、これだけでもチェイニー副大統領が、アメリカの軍産複合体の中で依然として占める割合は大きいと分かるだろう。チェイニーの奥さんのリン・チェイニーは、アメリカ保守派の総本山、アメリカン・エンタープライズ研究所の研究員の他、そのものズバリの軍需産業のロッキード・マーティン社の取締役会に座っていた過去がある。 この取締役会の職を辞任したのは、２００１年で、その理由は夫が副大統領に就任するから、というものだった。夫のチェイニーは、石油企業のハリバートンの重役の地位にあった。ハリバートンは単に石油企業なのではなく、参加にＫＢＲ（ケロッグ・ブラウン・ルート）社を傘下に収めている。この企業はイラク戦争が起きたことで多数の軍需契約を米国政府から獲得している。石油を求めて行われたイラク戦争と軍需産業の利益がここで見事に一致する構図がある。 チェイニーが横須賀の米国海軍を激励した理由が、イラン空爆を見越したものかどうか、その噂がささやかれているが、その真偽は分からない。イランでは、強硬派のアフマディネジャド大統領は経済失政で批判され、一方で、（イラン・コントラ事件の際にイランに売り込まれた兵器を買い付けるカウンターパートになった）保守穏健派といわれるラフサンジャニ師が権力を取り戻しつつあるのでイランは融和に向かうのではないか、という報道もある。 しかし、イラク戦争の勃発が、安倍首相の言うように、イラクの側に原因があるのではなく、アメリカ・イギリスの軍需財閥の“経営判断”に基づくものだとすれば、イラン国内情勢を論じても意味のないことかもしれない。アメリカが苦しくなればイランを攻撃するということである。兵器産業のニーズのあるところに戦争は作り出される。 いずれにせよ、アメリカの軍需産業で、生計を支えられている人々がいる以上は、アメリカ政府や上院・下院議員たちは軍需産業を倒産させることは出来ない。要するに軍需産業は完全に政府買い上げ産業なので、高コスト体質なのだ。アメリカの製造業は、日本製にシェアを奪われた自動車産業を代表格として、ＩＴ産業を抜きにすれば、空洞化していると言っていい。日本人の誰が米国製の家電製品の名前を挙げることが出来るだろうか。 アメリカ人は、中国製品を輸入している。中国製品にとって最大の輸出先が中国である。グローバリゼーションの中であってなお、比較的、国家政策と利益が一致するのが軍需産業である。アメリカにとって、最大の公共事業が軍需産業なのである。ここが金融ビジネスと違うところだ。
チェイニー副大統領が、訪日したその二日前の二月一八日に、「アーミテージ・リポート」なるものが発表された。この報告書は、ジョゼフ・ナイ（ハーヴァード大学教授）とリチャード・アーミテージ（元国務副長官）の二人のアメリカ人と、アメリカのシンクタンク「国際戦略問題研究所」のメンバーたちによって起草されたものだ。 このリポートの第一弾となる「日米、成熟したパートナーシップに向けて」は、アメリカの国防大学で、ブッシュ政権が発足する直前の七年前の二〇〇〇年に発表されている。この報告書の内容については、既に簡単に報じられているが、共同通信のものを引用する。 （引用開始） 新アーミテージ報告 報告要旨 一、日米同盟は２０２０年まで米国のアジア戦略の基盤であり続ける 一、日本の安全保障面での貢献拡大のため、憲法改正論議や自衛隊の海外派遣を随時可能とする恒久法制定を歓迎 一、日本の防衛費増大が重要、武器輸出３原則の撤廃検討が必要 一、防衛省幹部の米太平洋軍司令部派遣、米軍と自衛隊の作戦面での連携強化が必要 一、中国が地域の支配的国家として台頭する可能性がある。国内安定のためナショナリズムの利用を続ける公算も大きい 一、米中による地域の「共同管理」との考えも一部にあるが、これは米中関係を過大評価し、地域の同盟国、友好国との関係を損なう危険がある 一、日米は中国に「責任ある利害保有者」となるよう促し、双方の利益となる分野で３カ国の協力を模索するべきだ 一、朝鮮半島で２０年までに南北統一が実現する見通しが高い。ただ、北朝鮮が核開発を続けている可能性もあり、日米はあらゆるシナリオに備えなければならない （共同） 2007年02月18日 産経新聞 要旨は以上の通りで、ＣＳＩＳのホームページでダウンロードできる、報告書の全文（全部で二八ページ）を眺めても上の要旨以上のものは見あたらない。 このレポートは、「米日同盟−二〇二〇年のアジア地域を正しい方向に導くために」（The US-Japan Alliance Getting Asia Right through 2020）と題されているとおり、レポートはアジアの各地域の２０２０年までの情勢を現在の情勢をふまえて予測し、そのために日米同盟がどのような対処を行うべきかを論じた報告書である。内容について論じようと思ったが、２０２０年までに朝鮮半島が統一されると予測しているほかは、正直なところ、目新しいものはない。 それどころか、このレポートは、後で紹介するように準軍事戦略的なものではなく、経済の自由貿易協定（ＦＴＡ）なども論じているなど、様々な意見を取り入れているため、全体として焦点が定まっていない感がある。 前回の２０００年レポートは、一部で日本経済の構造改革を促す箇所もあったが、全体における比率で言えば、圧倒的に安全保障、諜報など軍事分野が大きかったのだが、今回のレポートは韓国との自由貿易交渉についても１ページ近くも割いたり、日本の農業自由化について詳しく提言を行うなど、アーミテージ色というよりは、むしろ経済面での構造改革を要求した「年次改革要望書」ではないかと思わせる部分もある。 そして、このレポートの隠れた主役はやはり「中国」である。アメリカとしては、安倍政権の行動に日米同盟を重視する姿勢を見せながら、どこか自立主義的なところがあることを警戒してはいるものの、基本的に日米同盟関係については、日本の自衛隊のイラク・アフガニスタンへの派遣という“成果”が示しているように、「同盟は様々なテストを乗り越えてきた」という認識である。アメリカとしては、日本は同盟国なのだから、アメリカの外交政策に従うのは当然だと考えているようである。 したがって、このレポートの主要なポイントは中国である。レポートを起草した参加者の中に、共和党海軍派のヘリテイジ財団の関係者の中から、ジェイムズ・プレスタップ、デヴィッド・アッシャーの二人が参加していることから、私はこのレポートがかなり「中国封じ込め」の色合いが濃くなると予測していたが、実際はかなり中国との関係を重視せざるを得ないアメリカの財界の意向をくみ取った表現になっていたのが驚きであった。 アメリカの中国政策の方向性として、グローバル経済における中国の「平和的統合と健全な競争関係」をもたらすために、中国に対して、日米が働きかけるべきだ、としているが、これはアーミテージの後の国務副長官で現在はゴールドマン・サックス・インターナショナル副社長のロバート・ゼーリックの言う、「中国は責任ある利害関係者になるべきだ」論が大きく反映しているだろう。 そのアメリカの対中政策における路線の違いなどを考慮して纏めたレポートである以上、このレポートが、様々な意見のゴッタ煮に成らざるを得ないのは当然である。その主張は、新聞の社説で論じられるアメリカにおける中国論と同じである。 ＜アーミテージ・レポートは、ミサイル行商人の売り口上＞ いきなり乱暴な事を言ってしまうと、実は、このアーミテージ・レポートを眺めていく上で本当に重要だったのは、レポートの内容ではない。レポートの内容は、同じような資料を与えれば、向こうの大学院生であれば書き上げてしまうような内容である。そうではなくて、このレポートを書いた人々がどのような人々達なのかということが重要なのである。そのようにして見ていかないと、このレポートの意図するところは分からないのである。 そこで、レポートの最初に戻って、�献據璽弧椶魍�いてみると、「スタディー・グループ参加者」の名前がある。共同議長（cochairs）として名前が挙がっているのは、リチャード・アーミテージとジョゼフ・ナイの二人であるが、その下に書かれた参加者たちの名前が重要である。以下にその人々を列挙する。 デヴィッド・アッシャー ヘリテイジ財団上級アソシエイト・フェロー カーラ・Ｌ・ブー アーミテージ・インターナショナル カート・Ｍ・キャンベル センター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティＣＥＯ マイケル・グリーン ＣＳＩＳ上級アドバイザー、ジャパン・チェア、ジョージタウン大学アソシエート・プロフェッサー ジョン・ハムレ ＣＳＩＳ プレジデント兼ＣＥＯ フランク・ジャヌウジ 外交問題評議会、日立・国際問題フェロー ジェイムズ・ケリー ＣＳＩＳ上級アドバイザー マーサ・リー・ルイス ＣＳＩＳ（プロジェクト・コーディネーター、リサーチ・アシスタント） ロバート・マニング 外交問題評議会 ロバート・マクナリー チューダー・インベストメント・コーポレーション、マネージング・ダイレクター ケヴィン・ニーラー 国際政策フォーラム、上級フェロー トーケル・パターソン レイセオン・インターナショナル 社長 ジョゼフ・プルアー 元太平洋軍司令官、元中国大使 ジェイムズ・Ｊ・プリシュタップ 国立防衛大学、国家安全保障研究所、上級フェロー ロビン・サク・サコダ アーミテージ・インターナショナル ランディ・シュライバー アーミテージ・インターナショナル 以上であるが、この中でまず最初に目につくのがＣＳＩＳ（戦略国際問題研究所）の面々が多いということである。なぜだろう。前回のレポートは、「ＩＮＳＳレポート」と題されており、参加者のジェイムズ・プレスタップが所属する大学に付属する国家安全保障シンクタンク（ＩＮＳＳ）が発表の場所になっていたのである。 これは私の推測だが、この事実はアメリカの外交サークルの中で対日政策の占める割合が非常に低下していることを示している。アメリカとしては、日本は完全に誘導できると確信しているので、相対的に関心が中国など東アジア全体戦略に移行しているのだ。 その中で、唯一、日本専門部署を置いているシンクタンクが、ＣＳＩＳだ。ここは小泉純一郎前首相の息子の進次郎氏を研究員アルバイト（実際はカバン持ちという噂もあるが）に迎えているということもあり、いろいろな意味で日本とも関係の深い場所である。 また、今回のレポートの参加者の中に前回同様、ジェイムズ・ケリー、マイケル・グリーンが参加しており、この二人の所属が現在はＣＳＩＳである。そのような理由から、発表の記者会見を行った場所がワシントンのＣＳＩＳと決まったのだろう。 逆に言えば、他の場所では引き受け手が無かったということかもしれない。このレポートの第２弾が出るらしいということは２００５年位から噂になっていたが、なかなか発表されなかったのも、アーミテージ自身の周辺に発生した疑惑（注）が原因であると同時に、アメリカにおける「ジャパン・ハンドラーズ」の相対的地位の低下を意味している。 （注）アーミテージの疑惑とは、米中央情報局（ＣＩＡ）工作員身元漏えい事件に関するもの。チェイニー大統領補佐官のルイス・リビーを巻き込んだこの疑惑にアーミテージ本人が関与していたという話が２００６年に持ち上がった。ＣＩＡの元工作員だったバレリー・プレームという女性の素性を「ワシントン・ポスト」の記者に明かした情報源がアーミテージだったとするスキャンダル。 結局、アーミテージの告訴は見送られた。 そして、同様に気づくのが、参加者の中に「アーミテージ・インターナショナル」所属の人間がなんと３人もいることである。このアーミテージ・インターナショナルというのは、名前の通り、リチャード・アーミテージがプレジデントをつとめる国際ビジネスコンサルタント会社で、そのメンバーの多くはアーミテージと関係が深い人物ばかりだ。彼らは米国務省、国防総省で日本関係部署の職にあった顔ぶれである。 アーミテージ・インターナショナルは、数年前まで「アーミテージ・アソシエイツ」と名乗っていたグループで、ヴァージニア州アーリントンに本社を置く、国際コンサルタント会社だ。この中のメンバーが３人も参加しているというのは、このレポートが超党派のものであるとはとても言えず、限られた人物達の意向を元に書かれたものであると示している。 ただし、その中で目を引くのは、トーケル・パターソン Torkel Patterson という人物の経歴である。レイセオン・インターナショナル社長とある。トーケル・パターソンといえば、日本の知米派といわれる民主党の衆議院議員などを始め、日本との関係は深い。国防総省日本部長、国務次官補代理、国家安全保障会議アジア上級部長や、ベイカー元駐日大使の顧問を務めた経験もある人物だ。 アーミテージと同じ、海軍大学出身で「アナポリス・グループ」を形成していることでも知られる。注目すべきは、このパターソンがレイセオン・ジャパンの社長を以前に務めていたという事実であろう。そして、現在はレイセオン国際部門の子会社、レイセオン・インターナショナルのトップの座にいる。
そのレイセオンの主要な商品は、パトリオット・ミサイルだ。パトリオット・ミサイルがお茶の間に登場したのは湾岸戦争の時で、イラク軍のスカッドミサイルを撃墜するパトリオットの勇姿がＣＮＮを通じて全世界に報道された。問題なのは、日本がこのパトリオット・ミサイルの一大顧客である点である。日本のマスコミはわざと「パトリオット・ミサイル」と書かず、ＰＡＣ３と書く。 例えば、２００７年予算では、ミサイル防衛関連予算として、新聞報道によると、イージス艦や地対空誘導弾パトリオット（ＰＡＣ３）の性能向上のための予算や３月までに配備されたＰＡＣ３購入費などで併せて千数百億円の予算が計上されているという。ミサイル防衛網構築とは、一言で言えば「レイセオンのミサイルをいっぱい買う」という事なのである。
アーミテージ・レポートの実態がこれで分かった。このレポートは、「日本にミサイル防衛システムを売り込むための大がかりな仕掛け」でしかない。考えれば、アーミテージ自身が、国務副長官就任前は、アメリカの飛行機エンジン会社のゼネラル・ダイナミックス社の取締役で、日本に何度もやってきて、自衛隊に対して米国製のエンジンを売り込んでいたのだ。 イランの反共産勢力に武器売り込みのエージェントを行ったりしたという疑惑がかけられたのもこのアーミテージである。同じく２００６年になって、パキスタンのムシャラフ大統領に対して、国務副長官時代の２００１年に、「パキスタン政府がイスラム勢力の掃討を本腰で行わなければ、パキスタンをもう一度石器時代の国にする」と恫喝したことが報じられた。アーミテージ自身が元軍人であり、ＣＩＡに所属していたこともある人物であり、その出発点はタイ、ラオスでの麻薬貿易にあると噂されている人物であった。 アーミテージ・レポートが兵器産業の意向を受けて書かれたものと考えると、このレポートの意味が分かってくる。日本に対して防衛協力を行う中で、このレポートは特別に本編とは別に、「安全保障と軍事協力」という独立した項目（アネックス）が設けられている。この中では、レポート本編とはうってかわって、実にストレートに日本に対する要求が行われている。 ミサイル会社レイセオンのビジネスと関連していると思われる部分は、幾つかある。例えば、台湾について論じた部分では、１１ページの「アメリカは、台湾の合法的な防衛の要求に応じる」（裏を返せば、アメリカは台湾に兵器を販売する意志がある）とか、１２ページの「台湾は自らの防衛力を強化すべきである」（裏を返せば、米国製の武器をもっと買え）とかの表現がある。 日米安全保障に関しては、独自の別表（アネックス）が設けられているが、１９ページの「日米が成功裏にミサイル防衛システムを開発し、配備できるようにするために、日本は武器輸出三原則を、米国向けに対しては見直しを行った」などの表現もある。 さらには、２２ページの「日本に対する提言」の部分では、「日本の自衛隊が海外展開する際の法整備（現在のように、ケースごとに法制化するのではない）を行うための議論を国会で行っていることは勇気づけられる」「我々は、アメリカの防衛省と自衛隊が現代化と改革を行うために十分な予算を配分されることがきわめて重要だと考える」などと述べている。 また、インドについても、「民主主義と門戸開放（オープンネス）の観点で正しい選択をした」と持ち上げているが、これはレイセオン・インターナショナル社がインドの防空システム、インドの海軍力、ミサイル防衛能力を向上させるための「兵器の現代化」のビジネスを行っていることと無関係ではあるまい。 分かりやすい話だが、アメリカの軍需産業にとってのお客となる国は「民主主義国」であり、そうではない国は「専制主義国」と呼ぶことに決まっているのである。お客様を誉めたえるのはビジネスの基本である。 さらに問題の「安全保障と軍事協力」と題された部分では、次のような要求が並んでいる。一部を簡単にまとめておけば次の通りである。
このように、最新版アーミテージ・レポートは、２０００年版の「漂流する日米関係」という方向性の見えにくいものから、上で見たように、日米の防衛協力を前提に、アメリカの軍需産業が日本に対して売り込み攻勢を仕掛ける形が露骨に現れているのである。 間違ってはいけないのは、まず、最初にこれらの「防衛産業の存在」があるのであって、その意向を受けたコンサルタントやこのコンサルタントの周辺に存在する自称学者のマイケル・グリーンのようなジャパン・ハンドラーズたちがいるのである。 彼らジャパン・ハンドラーズたちの仕事は、学問的レトリックを駆使して、結果的にミサイルや戦闘機の受注につながるような方向にクライアントを誘導するようなレポートを出す、ことにある。 間違っても、アメリカの外交政策上、脅威になる存在が先験的に存在するのではない。軍需産業を存続させるために、アメリカにとっての“敵国”が常にシンクタンクのエキスパートたちによって上手に作り出されていく。アメリカにとっての最大の“敵国”であったはずのソ連と懇ろにビジネスを行っていたのが、アメリカのロックフェラーを中心にした財界だった。 それでも、冷戦によってアメリカの防衛産業ばかりではなく、日本も高度経済成長の果実を得た。そのようにして人間というのは、フィクションを現実のものとして信じているのである。人はフィクションというストーリーの中に生きていくしかないといえばそれまでだが、そのうちにどちらが現実なのか分からなくなる。だから、そのような産業の存在を前提にしている、アーミテージらコンサルタントたちというのはいかがわしさと紙一重のビジネスマンなのである。 だから、一般の日本人の間でアーミテージ・レポートなどが話題になるわけがない。このレポートは、岡崎研究所などの日本の防衛産業や外交評論家たちだけを対象に意識して書かれた文書であって、一般の日本国民には何の関係もない。 かつて「中国を包囲せよ」と言っていたのが、当のアーミテージ派だったくせに、アメリカ全体の流れが中国との交易重視というポールソン戦略に変わったとたん、アーミテージ・レポートの発表が延期になり、内容も民主党のグローバリストであるナイや、参加者として名前を連ねている、チューダー・インヴェストメントのアジア投資戦略を考慮したものに内容がガラッと変わるのだ。 （このチューダー社とは、日本で不良債権問題が浮上した際に、グレン・ハバードのような竹中平蔵氏のパートナーとともに、日本で不良債権処理ビジネスについての講演を行った人物の所属する投資ファンドである。） 結局、軍事コンサルタントのアーミテージにしろ、チューダー・インヴェストメントにしろ、彼等の目的は結局は自分たちを儲けさせるためのビジネスなのだ。 日本のマスコミ（海外のマスコミはほとんど無視した）は、報告書の中身については報じているが、この報告書を作成した人物の肩書きについては報じない。奇妙なことである。 どなたがたも皆、ご立派な「元政府高官」なのであって、彼らが持っている、「軍需産業の代理人」という肩書きについては触れられることはないのだ。これはよくない。 故に、「アーミテージ・レポート」などというものは、一部の岡崎研究所やその周辺に集まるアメリカをメシの種にしている評論家たちにとって、自分たちのシンクタンク業務の受注になるから褒め称えるだけの価値があるだけの代物である。（かくいう私も、アメリカの外交政策を批判することで、読者層の一部を勝ち得ているといえば、それは嘘ではない。）要するに、ただ、それだけの話である。 また、アメリカの財界の中国戦略が、今後再び変わって、中国牽制の方向に向かえば、これらのシンクタンクのレポートの内容も、アーミテージらの中国脅威論者たちの意向をくみ取った文面になるだろう。しかし、いずれにせよ、アーミテージにしろ、ナイにしろ、同じアメリカ財界の意思のもとで動いているだけの存在に過ぎない。彼らはアメリカの外交問題評議会に集まるような真の支配者たちにとってのカードに過ぎないのである。 なお、アーミテージ・レポートの中で歓迎されていた、「日本の武器輸出三原則の緩和」によって、日米の防衛産業の一体化が今後は進むだろう。 そうでなくても、ボーイングとの旅客機製造など既に民生品の分野で日米一体化は進展している。これまではアメリカの武器を日本が買うだけの立場だったのが、これからは日本の企業の防衛関連商品をアメリカに対して輸出することになる。 そうやって成り立っているのが、日米防衛協力である。良くも悪くも、民生部門の国際分業であれば、日本の産業の市場規模を増やすことにつながるので歓迎できることだ。 ただ、軍需部門で日本がアメリカの軍需産業の下請けとなるのは、今後の日本の防衛政策の両手を縛ることを意味する。クスリが効きすぎて、日本の製造業が軍需依存に陥るような事があれば、憲法九条の改正問題と併せて、日本国民の頭痛の種になる。民間企業同士の提携という形で、知らない間のうちに、気づいていたら、日米軍需産業の一体化が進んでいた、という笑えない事態を迎える事もありうる。 ただ、安倍首相は、中国との関係では、戦略的パートナーシップ、戦略的互恵関係を築くように動いており、これは歓迎すべき事だ。しかし、一方で、安倍首相は1月上旬の訪欧でベルギー・ブリュッセルのＮＡＴＯ本部で「憲法の諸原則を順守しつつ、いまや日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」と発言していることは非常に気がかりである。 ＮＡＴＯ（北大西洋条約機構）は、加盟国欧米中心の２６カ国だが、実質的には米英が主導している。安倍首相は、憲法九条の改正が遠のいたと判断し、ＮＡＴＯへの参加の意欲を見せることで、まず憲法改正に向けての既成事実を作ろうとしているのではないかと疑われる。ＮＡＴＯ参加が早急に実現するとは思えないが、こうした首相の発言に“勇気づけられている”、アメリカの防衛産業関係者は、日本に向けて今後とも売り込みをかけてくるだろう。 そんな中、久間防衛大臣は、ミサイル防衛は積極的に米国製のミサイルを輸入することで推進するが、一方で、ミサイル防衛が米国向けのミサイルを打ち落とすことは、「集団的自衛権の行使につながるので無理だ」という矛盾するような発言をしている。これはミサイルはライセンス生産はするが、実質的に使用することはないと示唆したことになる。 正直なところ、久間大臣の心中は推し量るしかないが、もし大臣が、「日本の大手の防衛産業を存続させるために、パトリオット・ミサイルをライセンス生産させることでアメリカのミサイル防衛に付き合うが、一方で、アメリカの防衛政策に無条件に日本が従うものではない」という意志を持って米国側との交渉に望んでいるのだとすれば、その姿勢を今後とも崩さないでもらいたいものだ。 アーミテージ・レポートは以下のＵＲＬから。
2007/03/11(Sun) No.01
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