「この世界には、我々が知らない世界が存在する!!」
突如として姿を消し、そして突如として戻ってきた物理学博士の衝撃的な言葉はテレビを通して日本中に知れ渡った。
幻想郷という失われた魔法文明の楽園が存在し、自分は今までそこに居たのだと言う。
当然そんな常識外れな発言を信じる者は日本広しと言えど、ほとんど居なかった。
現代の日本のどこかの空き地に「彼等」は集っていた。
スネ夫「そんなメチャクチャな世界があるわけないだろ」
のび太「でも、そんなメチャクチャな事を博士が言うかなあ」
スネ夫「のび太の言うことも一理ある。
だからぼくたちは自由研究として調べてみよう
と思うんだ!」
博麗神社という場所で神隠しに遭うことが多い、という都市伝説を知っていた彼等はひとまずそこへ向かう。
そしてその博麗神社こそ、幻想郷伝説の鍵を握る存在であることを突き止めたのだ。
しかし……。
ジャイアン「神社には何もねえじゃねえか!」
静香「この村の人だって幻想郷伝説を誰も信じてないわ」
ドラえもん「神社がこんなにボロボロなのも、伝説として語り継がれていない証拠だねえ」
人間、妖怪、妖精、神、幽霊、悪魔が共存する伝説など、現代では昔話としてすら機能していないのだ。
結局のところ博士の言った事もただのうわごとという結論になりかけた時だった。
スネ夫「そうだ! この神社で夜になるまで待ってみようよ」
のび太「いやだよ、こんな気味悪いところ」
ジャイアン「じゃあ、おれとスネ夫だけで夜の神社を探検しようぜ。
肝試しだ!」
その様子を妖怪がこの世界のスキマから監視していた。
そしてジャイアンとスネ夫はこの世界から跡形もなく姿を消した。
そしてそれを追いかけたドラえもん、のび太、静香もいなくなった。
――桃源郷、蓬莱山。どんな言葉でも表現出来ない楽園。
形あるものしか追い求める事が出来ない我々では、絶対に辿り着けない精神中心文明。
それはおとぎ話でもない、昔話でも別の星のものでもない。
現代の忘れ去られた東方の世界。
今夜、この星の運命が変わる。
そしてこの世界は大きく揺らぐ。
スコシフシギな楽園に、彼女はいた。
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