平成14年7月24日 「民法の一部を改正する議員立法案〜例外的夫婦別姓制度」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本日、自民党法務部会に議員提案として「民法の一部改正に関する法律案」を提出いたしました。例外的に夫婦の別姓を認めることを要旨とするこの法律案、要綱、新旧対照表を添付ファイルにてご報告いたします。提出に先立ち、今月16日に自民党内で『例外的に夫婦の別姓を実現させる会』を結成し、そのメンバーの同志議員を中心に今回の議員立法案を提出しました。『実現させる会』のメンバーは以下の通りです(7月23日現在44名、順不同・敬称略)。
これまでの経緯を簡単に復習したいと思います。昨年11月に自民党の法務部会で選択的夫婦別姓制度が議題として取り上げられて以来11回にわたる会合が重ねられ、本年6月6日、本件に関する部会での議論は賛否の決着をつけないまま、「例外的夫婦別姓法務省試案」を今国会会期中は部会の議題としない旨、とりまとめが行われました。最終部会の席上では、法務省試案に反対する議員からも、引き続き国会で賛否を問う議論が行われるべきとの意見も出され、議員立法案については提出があれば部会で取り上げることが了承されました。それを受けて、賛成派議員のあいだで改めて取りまとめた議員立法案を本日、提出したところです。 現行民法は男女の婚姻の条件として、同氏を名乗ることを義務づけています。現在、そのために不利益を被る人たちが民法の改正を強く願っています。少子化が急速に進み一人っ子家庭が増えるなか、一人っ子同士の結婚での家名継承が難しくなっています。結婚の前後で氏が変わることにより、仕事の継続性が確保できなくなる事例も増えています。結婚を控えた若い世代の過半数は、希望する夫婦には別氏を名乗れるようにしてもよい、と民法の改正に賛成しています。 家族の崩壊が心配され、家族の再生が求められるなか、婚姻前の氏をそれぞれ名乗りながらも法律上の家族でありたいと願う切実な声があります。私たちは、夫婦が特別の事情でそれぞれ旧姓を名乗りたいと希望する場合、家庭裁判所の許可があれば例外的に夫婦別氏の結婚を法律婚とする道を開きたいと思います。これが私たちの法案提出理由です。 法案骨子を簡単に取りまとめると、以下のようになります。 1、 夫婦の氏
2 別氏夫婦の子の氏
3 子の氏の変更 別氏夫婦の未成年の子は、父母の婚姻中は、特別の事情が存在する場合に限り、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。 成年に達した後は、特別の事情の有無を問わず、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。 議員提出案は法務省提出法案を基本的に踏襲しつつも、「家庭裁判所の許可を得る」という点で異なっています。家裁許可の一文を盛り込んだ理由は、まず第一に、夫婦別氏制度の導入を期する議員も、別氏があたかもファッションのように広まり、その流れのなかで心配される‘家族の形骸化’が進むことを望んでいないからです。第二に、法務部会で、夫婦別氏制度反対の議員から「婚姻において夫婦が同氏であるとの原則は崩さない。別氏はあくまでも例外であり、その例外性が明らかに判るように、例えば家裁での許可を要件とするような法改正であれば賛成できる」という発言があったからです。 議員立法案の内容が法務省試案より後退した、とのご批判もあると思います。しかし、 一度部会で却下された政府提出法案が、日を待たずして再び、議論の俎上にあげられることは永田町の慣行として難しい現実があります。本件を、党内議論さえ許されなかった以前の‘封印状態’にもどすことは、私のもとに連日届けられる別氏を望む皆さんの切実な思いに対して余りに不誠実すぎます。条件がついてもよいから、別姓での結婚を法律上認めて欲しい、という声をたくさん、当事者の皆さんから頂戴しました。それゆえ、反対派を含むより多くの自民党議員に理解と賛意を得られる形で議員立法案をまとめ、議論を自民党内から広く国会の場へと移し、徹底審議の後に一日も早く法の成立につながる道を選択させていただきました。その点をぜひご理解いただきたいと思います。 今後は『実現させる会』の活動を与党三党全体に拡大し、一人でも多くの賛同者を得て、国会で議論させていただくことを求めていきたいと考えています。この機会に、「ひとこと」を読んでくださった皆様にも結婚や名前についていろいろと考えていただけたらありがたいです。 ・民法の一部を改正する法律案 ・民法の一部を改正する法律案要綱 ・民法の一部を改正する法律案新旧対照表 |
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平成14年7月24日(水) |