北朝鮮を脱出して帰国した日本人妻の親族と偽って中国人4人が不法入国したとされる事件で、日本人妻の斎藤博子容疑者(67)=出入国管理法違反容疑で任意捜査=が、中国の日本総領事館まで赴き、次男とめいになりすましたとされる中国人男女について、自分の家族だとウソの証言をしていたことが大阪府警や外務省への取材でわかった。渡航には長女になりすましたとされる中国人女らが同行しており、府警は中国人らが「監視役」となり偽証を強要した疑いがあるとみている。
外務省関係者によると、日本人妻の総領事館での証言が、中国人男女を家族と認定し入国を受け入れる決め手になったという。
府警や支援団体関係者によると、この中国人男女は、次男になりすましたとされる自称・金哲権(キム・チョルグォン)(38)と、めいになりすましたとされる自称・金孝月(キム・ヒョウォル)(47)の両容疑者=いずれも同法違反容疑で逮捕。金哲権容疑者は04年ごろ、金孝月容疑者は06年ごろ、いずれも斎藤容疑者の家族と偽って、中国の日本総領事館に保護を求めたという。
外務省は本人確認の方法を明らかにしていないが、脱北者支援団体「北朝鮮難民救援基金」によると、脱北した日本人妻らが中国経由で呼び寄せられるのは、3親等以内の親族まで。脱北者はまず、総領事館や大使館に電話や嘆願書で保護を求め、総領事館はそれを外務省に報告し、同省が国内の親族に聞き取り調査をしたり、資料があれば確認したりするという。
この際、斎藤容疑者は金容疑者らが家族とする虚偽の内容を同省に報告。さらに長女になりすましたとされる中国人女らとともに中国の日本総領事館まで赴き、いずれも家族であると偽証したとみられている。