国会通信 No.688

  【本会議登壇】

2006/1/23 (マンデーレポート688の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】1年ぶりの本会議登壇 (決算質疑)。 【2】耐震偽装事件。ライブドア事件の共通項。 【3】歴史リスク研究会スタート。 【4】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 本会議登壇 (決算質疑)。 ●1年ぶりに、参議院本会議において、民主党を代表して、  総理ほか関係大臣に質問することになりました。  NHKも生放送の予定です。ぜひご覧になってください。      日時は    1月25日(水)午後3時15分から。   質問時間   20分   質問案件   平成16年度決算について。 ●とにかく20日の総理の所信表明演説は  自画自賛の連発、そしてナルシズムに酔っており、  誤ったヒロイズムが日本をおかしなところに  引っ張っていきやしないか、といった底知れない不気味さを  私は、感じていました。 ●特に耐震偽装事件とライブドア事件については全く  言及していないのです。これはとてもおかしい。  私から言わせると、この二つの事件は、小泉改革の  隠されていた危険性を白日の下にさらしたものです。  そんな認識がないかのような自画自賛ぶりには  驚きました。 ●総理は歴史上の人物がお好きなようです。  今回も、吉田松陰の言葉を引用していました。  それで感じたのですが、総理の好きな歴史上の人物には、  ある共通点があるような気がします。  織田信長、ガリレオ・ガリレイ、吉田松陰といった  悲劇的な英雄がお好きなようです。 ●ガリレイの最期がどうだったかはよく知りませんが、  信長にしても松陰にしても非業の死を遂げています。  非劇的かつ英雄的な「死」を連想させながら、  厳しい改革に向かう雄雄しいリーダーをアピールしようと  しているのかなーと思ったりします。 ●しかし、私は政治は劇的でも英雄的でもある必要は  全くないと思います。さらに劇的であろうとして、予想以上の  反動や社会経済上の損失を呼び起こすこともありえます。 ●冷静・沈着なそして理性的な利益考量こそ、一国の  トップリーダーのもっとも必要な資質と考えますが、  どうでしょうか。 ●いづれにしても 今度が小泉首相の最期の通常国会に  なるはずです。決算関係の質問の前提として、小泉改革を  総括する真正面からの質問をしていきたいと考えていますので  ご期待ください。 【2】 耐震偽装事件。ライブドア事件の共通項。 ●小泉総括の重要なポイントが耐震偽装、そしてライブドア事件だと  思います。ライブドア事件の本質については今後も捜査が進んでいくでしょうし、現時  点で総括的な議論をするのは早すぎるような気がしますが、  私は以下のように考えています。 ●25日の質問の核心部分は、以下のポイントを押さえた上で、  さらに鋭利に集約したいと考えています。  少し長文ですが、質問原稿のといったらよいのか、最終原稿の  下敷きの意味を持っていますので、ご参照ください。  そして、25日の質問の際にどのように変わっているか、  吟味していただくのも一興と思います。 ●質問原稿の下敷き  (当日はかなり変わると思います。お許しを。) 1 小泉改革の本質的な問題点 1)今回の耐震偽装事件、そしてライブドア事件の二つは小泉改革の   本質的な欠陥を示す顕著な例と捉えるべきである。   前者は民営化政策、後者は市場自由化政策のそれぞれの   背後に隠された本質的な問題点を示している。   昨年の総選挙後に、姉歯、ライブドアの事件が起きたことは、   小泉さんにとっては実に幸運であった。   20日の小泉首相の所信表明演説には、この2つの問題について   全く言及がされていない。それは、総理自身が、耐震偽装、ライブドアの2件が   自らの改革の欺瞞性を示す実例として認識指定いたからではないか。 2 小泉改革の本質は何か。   小泉改革の基調に流れるのは、アメリカ流の市場原理主義である。   年次改革要望書に一貫して流れるアメリカの改革イメージは   いわゆるワシントンコンセンサスと言われているものであり、   総理がこの要求を次々に実現してきたことで明らかである。 3 ワシントンコンセンサスとはなにか。   80年代初頭、アメリカ財務省、IMF、世界銀行が提唱した   基本的な開発戦略のこと。   財務省がワシントン15丁目、IMFが19丁目にあるので   ワシントンコンセンサスと言われる。      その内容は   1) 国有企業の民営化   2) 市場の自由化(政府の経済規制・介入の撤廃)    3) 2を通じての政府の役割縮小 4 耐震偽造事件の本質(民営化政策の失敗) 1)民営化の本質は、   経営主体を「官」から「民」に変更することである。   このことで、「官」に「民」の効率化・コスト削減の論理を入れていくことにある。 2)しかし、「民」に任せれば、何でもよくなるのか?    民は必ず効率的になるのか?決してそうではない。   それは、公益的な業務を、「民間」が担う際に必然的に   起こってくるある問題があるからである。   これについての対応なしで民営化すれば必ず問題がおきる。 3)民営化する際の基本的な問題点とは   「利益の衝突」であり、天下り等による「民の偽装」の二つである。 4)「民」の基本は「利益をあげること」。   検査業務や監査業務であっても、利潤をあげなければならない。   そして、その業務利益の多くは、検査や監査の対象から入っくる、   このことが最大の問題点である。   検査結果の正確性・客観性といった「公益」と   私企業として利益を出すといった「私益」が対立する場面、   すなわち「利益の衝突」こそ民営化政策のアキレス腱である。      このことへの十分な対策なしで安易に民営化を推進して時   必ず大きな社会的損失が発生するのである。 5)いわば、建築・設計・不動産業界を「鯉」に、そして   建築確認機関を料理人に譬えると、「まな板の上の鯉が、   金を出して料理人を雇っているようなもの」。である。   料理人は、金主元の鯉に対して、厳しい包丁はふるえない。   たとえ鯉が不正を働いても、殺してしまえば収入は減る。   だから、生かさぬように殺さぬように長生きさせてしまう。 6)アメリカのエンロンとアーサーアンダーセンなどはさらにひどかった。   鯉が巨額のコンサルタント料やストックオプションなどを料理人に渡して、   とうとう粉飾決算に手を貸し、市場を大混乱に陥れる結果となった。 7)耐震偽装事件は、このような「民営化政策」の基本的な問題点を   象徴しているものである。 8)耐震偽装事件は、不十分な民営化政策の重大な失敗例である。   将来の教訓は何か。システムと担い手の両面から考えるべきである。   システム上の改善点。   担い手としての検査機関についての改善点。 9)民営化をすすめることで、すべてが解決するなどといった考えは   完全に間違っている。以上の民営化の誤りについて、総理の所見を   聞かせていただきたい。 5 ライブドア事件の本質(市場原理主義の失敗) 1) 「完全な市場」などあり得ない。   (国民の資産の行方)   ワシントンコンセンサスで、民営化政策と市場自由化政策がセットに   なっているのには理由がある。国有企業の管理下にあって凍結されていた   資金は民営化の結果、どこに行くのか。郵政民営化政策でも明らかなように、   巨大な国民のマネーの行き先は「市場」である。    しからば問いたい。完全な市場はありうるだろうか。アダム・スミスは   「見えざる手」が市場を最適化すると説いたが、これは市場のプレーヤー   に投資関係の情報が平等にかつ完璧に与えられていることを前提とする。   しかし、企業と投資家の間で情報が平等であったことは現実には、   一度もないのである。今回のライブドア事件が見せてくれた真実の一つは、   いかに市場の情報が偏っているかということである。   経済学者が「情報の非対称」と表現するこの市場の病理をたくみに   利用したのがライブドアの錬金術の正体である。   ライブドア問題は、民営化および市場自由化政策の制度的基盤である   わが国の証券市場がいかに不完全であるかを示している。市場原理主義が   内在しているこの様な本質的な問題点についての基本的な認識が、首相や   竹中大臣には完全に欠落しているのではないか。両大臣の認識を問いたい。 2) 市場ルールの不備   ライブドアに対する強制捜査の理由となった「粉飾決算」「偽計」   風説の流布」はいづれも、市場ルールの不備をついたものである。   未整備の市場を前提にしたままで、民営化政策を進めることの危険性   を教えてくれている。早急な市場ルールの整備をすべきである。   まず第1に、民法上の組合として情報公開の対象からはずれた   投資事業組合に開示義務を課すとともに、証券市場の情報開示制度の   根本を見直すべきではないか。   第2に、株式を逐次分割し、短期間で1万倍にして、事実上の株価操作を   許してしまう事については規制すべきではないか。   第3に、企業を意図的に分断し、別個の法人格を隠れ蓑に使うことに   ついては新たな企業連結制度の整備を進めつつ、乱用防止策を   早急に樹立すべきではないか。 3) 証券取引所の問題点    市場を提供する証券取引所の問題点も明らかになった。    今回東京証券取引所は成約件数400万件の寸前で市場全体の    取引を停止するなど、信じられない失態を世界にさらし、    日本市場の信頼を一挙に失わせた。    第1に、市場の処理能力の拡大がなぜ後手に回ったのか。    ネット取引の増大は当然取引件数の急拡大につながる。それへの    対応の信じられない遅さの原因がどこにあったのか担当大臣の    認識を聞きたい。    第2に、市場分割を悪用して株価操作をすることの問題点については    市場の常識になっていたはずなのに、強制捜査が入るまで具体的な    対策を怠ってきた。行政もまた取引所もともに怠慢である。    遅れたことの原因、そして今後の対策について担当大臣に聞きたい。       第3に、昨年の誤発注事件に続く今回の市場のパンク、取引所の    企画立案能力や危機管理能力あるいは危機に対する想像力など、    市場設置者としての基本的能力を疑われる事例が続いている。    東京証券市場の執行役員には旧大蔵省や財務省の高級官僚が多く    天下っている。民間の厳しい経営感覚や機動的な対応能力が欠落した    ぬるま湯的体質が背景にあるのではないか。とするなら、ここにも    いい加減な民営化の問題点が浮き上がってくる。担当大臣の認識を    問いたい。    第4に、市場が自主的なルール設定をするよりも先に、強制捜査が    入るといった経緯も問題である。それは市場の自浄能力が欠如して    いることを雄弁にかたっているからである。そしてこのことは、    不正のダメージをよる衝撃的かつ深刻にしてしまうことから、    社会経済上も望ましくはない。そこで証券市場の環境整備のための    チエック機能を重層的かつ機動的に整備する必要が出てくる。    これについての担当大臣の見解を問いたい。 4) 小泉改革の危険性    まさに不完全きわまりない市場をそのまま放置して、    民営化政策を強行することの危険性をライブドア事件は示している。    すなわちライブドア事件は、小泉改革の本質的な危うさを    示していると認識すべきであると考えるが、総理大臣の所見を問いたい。 5) 粉飾選挙について    いま、司直の手は、ライブドア本体の粉飾決算に迫ろうとしている。    ところで、この前の総選挙である。    選挙の応援演説で、武部幹事長は堀江氏に対して、「父として、兄として」    という最大級の親愛の情を示した。さらには、選挙戦の初日から    竹中大臣は彼の応援に選挙区に入った。    並の公認候補以上の応援態勢を組みながら、無所属とする。    これは選挙民に対する詐欺ではないか。まさにホリエモン氏の選挙は、    「粉飾選挙」であった。さらに、改革の本質的な説明もせず、民営化    のマイナスを誠実に国民に語ることもなく、刺客騒動をあおり立て、    国民の目線をそらしての勝利。先の総選挙自体、まさに「粉飾選挙」    と言うべきである。総理の所見を聞きたい。 【3】 「歴史リスクを乗り越える研究会」(仮称)スタート。 ●かねて準備中であった。日本の歴史リスクを乗り越える研究会(仮称)  がようやく発足できる運びとなりました。 ●呼びかけ人は以下の通り、衆4 参4の計8名。  先週呼びかけのご案内を民主党所属全国会議員あてに行いました。 呼びかけ人 (衆)  大畠章宏 近藤昭一 末松義規 達増拓也        (参)  岡崎トミ子 榛葉賀津也 白眞勲 簗瀬進 ●小泉首相のかたくなな靖国神社に対する対応は、益々わが国を  アジアの中で孤立化させていることは、間違いありません。  「政冷経熱」との現状認識は、もはや過去のものとなり、  現状は「政冷経涼」の言葉通り、ついには経済的な国益まで  失わせようとしています。 ● 戦後60年を経過しながらわが国は、内・外ともに過去の歴史に  関連する様々な未解決の問題をかかえ続けています。  このような、第二次大戦から派生する様々な問題を総合的に  「わが国の歴史リスク」と認識した上で、これに対する包括的かつ、  総合的な対応策を樹立するギリギリの時機に来ていると考えます。     そこで、日本の歴史リスクを乗り越え、わが国に対する持続的な  信頼を醸成していくための総合的なプログラムを策定したいと  考えて、この研究会を呼びかけました。   ●第1回目は、ミュンヘン在住のジャーナリスト熊谷徹さんに記念講演を  お願いしています。熊谷さんは、中央公論9月号の論文で、「歴史リスク」  に対処する日本とドイツの比較論を展開し大変な感銘を受けました。  特に「歴史リスク」という新鮮な捕らえ方はとてもすばらしいと感じました。   ●これから参加していただけた皆さんと、日本の歴史リスクを乗り越える  総合的な提案をまとめていきたいと考えています。研究会の議論は、  出来るだけこのHPで公開していきたいと考えています。ご注目ください。   ●「日本の歴史リスクを乗り越える研究会」設立総会 日  時 :  1月26日(木)   13:00〜  設立総会   13:30〜  記念講演会 特別講師 : 熊谷徹氏(ドイツ在住ジャーナリスト) 場  所 : 衆議院第1議員会館 第2会議室 【4】 先週の主な活動 ■1月16日(月) 【参議院法務委員会派遣(1日目)】 08:10 羽田空港発(ANA661便) 10:10 長崎空港着 10:25 大村入国管理センター 概況説明聴取、視察 14:30 福岡少年院 概況説明聴取、視察 16:15 福岡高等裁判所 概況説明聴取 (福岡泊) ■1月17日(火) 【参議院法務委員会派遣(2日目)】 09:15 福岡保護観察所 概況説明聴取、視察 10:50 福岡刑務所 概況説明聴取、視察 13:40 福岡入国管理局福岡空港出張所 概況説明聴取、視察 14:55 福岡空港発(ANA258便) 16:50 羽田空港着 ■1月18日(水) 08:00 民主党法務部門会議 11:30 公務労協山本事務局長面会 12:30 民主党・新緑風会研修会 ★前原代表に対して発言(上記【2】参照) ■1月19日(木) 13:00 第7回公務員制度改革等調査会 ■1月20日(金) 09:30 民主党議員総会 10:00 参議院本会議 10:30 民主党両院議員総会 ★前原代表に対して発言(上記【2】参照) 11:30 民主党憲法調査会役員打合せ 12:00 連合要求実現1.20院内集会 12:00 日本行政書士連合会平成18年新年賀詞交歓会 13:00 第164回通常国会開会式 14:00 民主党平成19年度参議院選挙対策チーム ★渡辺秀央座長のもと 次期参議院選挙対策について議論。 15:40 参議院本会議 ★政府4演説を聞いた。小泉首相のナルシズムとヒロイズムが  紛々と匂ってくる演説だった。      (参照上記【1】) 18:30 自動車総連栃木地協新春賀詞交歓会 ■1月21日(土) 10:00 事務所打合せ ★25日に行う本会議質問についてスタッフと打ち合わせ。 (参照上記【1】) 18:00 宇都宮市立西小学校「深澤伸久校長文部科学大臣表彰記念祝賀会」 18:00 赤帽宇都宮ブロック新年会 18:00 やなせ進後援会河内支部「新春の集い」 ★焼肉をつつきながらみなさんと懇談。  私のエネルギーの源泉はここにある。 ■1月22日(日) 10:30 やなせ柔道クラブ新年会 11:00 大塚竹叙勲祝賀会 11:00 立正佼成会城西支部新年会 16:30 関東信越税理士会県連・栃木県税政連・栃木県税協賀詞交歓会 18:00  松井正一 鹿沼市議新年会