「これが私の世間遺産」

■ユースホステルも加えたい

みんなで食卓、世代超え語らい 記者も主張する

高千穂ユースホステルで談笑する宿泊者。中高年の姿が増えている  世界遺産のように権威はないけれど、庶民の目でふるさとの宝を再発見しようというのが「世間(けん)遺産」の発想だ。その中に、若人の貧乏旅行を支えてきた宿泊施設、ユースホステルも加えたい。

 日本での歴史は55年。しかし、最近の若者は相部屋を嫌ってパックツアーなどに流れ、存在すらあまり知らない。ために、その数は全盛期の半分程度の309カ所にまで減っている。

 昨年末、宮崎県高千穂町の高千穂ユースホステルを訪ねた。「いらっしゃーい」。宿主の和田照子さん(56)が笑顔で迎え、煮物のにおいが漂う。初めてなのに懐かしい。

 宿泊者は15人。ほとんどは4、50代。みんなで食卓を囲み、神楽見物に出かけた後、深夜まで語り合った。初対面の19歳の女子大生と69歳の男性が仲良く旅の話をする光景がなかなかいい。

 若者同士の交流の場から、幅広い世代が青春を共有する場へ。ユースホステルは新たな役割を持ち始めている。

 「これこそ世間遺産」。娘と来た40代のお父さんがしみじみ言った。 (川)

【写真説明】高千穂ユースホステルで談笑する宿泊者。中高年の姿が増えている

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九州世間遺産