ふるさとは奇風習をして語らしむ

■地域限定で「ヤー」と叫ぶ

福岡など九州北部だけ? 由来は謎 体育の授業中

地域限定で「ヤー」と叫ぶ  体育の授業で立ったり座ったりするときに「ヤー!」と声を上げるのは地域限定と言えば、福岡県などの人々は意外に思うかもしれない。

 「私が知る限り、福岡市内の小学校はみんな言いますね。運動会やその練習のときですが」と話すのは同市教委保健体育課の太田恵介さん(48)。教師が「○年生立ちます、立て!」と呼び掛け、生徒が「ヤー!」と応えるのが通常スタイルという。北九州市なども同じで「福岡県内はみんな言ってると思いますよ」。

 それ以外の九州各県はどうか。立ち座りでは言わないが、体操隊形に開くときに言うのは佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎。しかし鹿児島県教委の担当者は「…言わないですね。黙って立って開きます。県民性が穏やかですから、ハハハ」。

 長崎の情報誌「ながさきプレス」が2004年に全国の123人を対象に電話などで調査した結果、「ヤー!」と言うのは長崎県(100%)を除く西日本が45%だったのに対し、東日本は4%あまりだったという。

 文部科学省によると、体育の掛け声について規定はない。「ヤー!」の由来について、太田さんは福岡市の夏祭り・博多祇園山笠の掛け声が起源との説を唱えるが、関係者は「聞いたことがない」。戦前の兵式体操の名残ではとの見方もあるが、近代日本軍制史を研究する北海道教育大の遠藤芳信教授は「学校で行われたのは旧制中学と師範学校でのことで可能性は低い」と話す。由来は謎に包まれている。

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