ふるさとは奇風習をして語らしむ
■「七夕スイカ」で健康祈る
小1児童に大玉贈る 福岡・筑後地区
ご当地では当たり前のことだが、外から見ると「えっ?」の風習。これも立派な世間遺産だ。福岡県筑後地区では「月遅れの七夕」と称して8月7日を前に、つる付きの大玉スイカを小学1年生がいる家に贈る風習が明治時代から続いている。
「七夕スイカ」と呼ばれ、小学1年生の平均体重とほぼ同じ15―20キロのビッグサイズ。青果店には胴回りが一メートルを超えるスイカも並ぶ。
毎年夏、300個は扱うという久留米市の青果店経営飯田倬己(たくみ)さん(65)によると、その起源は定かではないが「つるのように伸び伸びと、玉のように丸々と育ってほしい」との願いが込められているという。
同市の小学1年高畑桃子ちゃん(7つ)も昨年の夏は、親せきから4個のスイカをもらった。習わし通り、8月1日の朝、草花から集めた朝露で墨をすり、父親に手伝ってもらいながら大きな紙に「奉 七夕」と書いて床の間にスイカとともに飾った。
そしてスイカは8月7日に切り分け、赤飯やまんじゅうなどと一緒に親せきや近所におすそ分けした。
「たくさん食べてうれしかった。大きくなったら私もスイカを贈りたい」。桃子ちゃんに、このふるさとならでは、の思い出ができた。
【写真説明】久留米市では小学1年生がいる家庭に贈る習わしの七夕スイカ。とにかく大きい
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