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■握手すれば長生きできる「ばばあ」がいる

効果?ははは…どうやろ。 鹿児島・いちき串木野市 鏑流馬ノブさん

キャンペーンで福岡を訪れ「長生き」の握手をするかんむり嶽ばばあ(右)  かの「がばいばぁちゃん」も真っ青のネーミングだ。かんむり嶽(だけ)ばばあ。「ばばあ」とは聞き捨てならない? いや、地元の鹿児島・いちき串木野市の人たちは尊敬と感謝の思いを込めてそう呼いんでいる。なぜなら、このばばあと握手すると長生きできるからだ。

 同市の秋のイベント、「かんむり嶽参り」の“マスコット”として8年前に採用された鏑流馬(やぶさめ)ノブさん(81)が、その正体。会場の冠岳(かんむりだけ)には、不老不死の薬を求めて中国から渡ってきた徐福の伝説が残り、その霊験をばばあが引き継いでいるという設定だ。このイベントだけでなく、キャンペーンなどで県内各地を回ると、ばばあの周りには握手を求める行列ができる。

 本当に握手だけで長生きできるのか。鏑流馬さんに聞くと、「さぁ、どうでしょう」と笑うのみ。「私にできるのは、その人と同じ気持ちで悪い所がよくなりますように、健康が長続きしますようにと願うだけです。握手するたび、そうしています」

 長生きのプレゼンターだけに鏑流馬さんは、とにかく元気。冠岳のふもとに住み、できる範囲で畑仕事をしている。「この前病院に行ったのはいつか、忘れてしまいました」。御利益にあずかろうと、握手してもらった。しわだらけ、だけどとても温かい手。「悲しいこと、つらいこと、長生きすればいろいろあるけど、喜びもたくさんあるはず。最後にはきっといい人生にしてください」

【写真説明】キャンペーンで福岡を訪れ「長生き」の握手をするかんむり嶽ばばあ(右)

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