ふるさとは珍動物をして語らしむ

■復活日本在来種の馬レース

小柄な対州馬が懸命に走る「馬跳ばせ」に観客も大歓声

長崎・対馬の伝統行事「馬跳ばせ」

 ドドッ、ドドッと土煙を上げながら小柄な馬が駆けていく。昨年10月末に長崎県対馬市上県町の目保呂ダム馬事公園であった第5回対馬初午(はつうま)祭。伝統行事の「馬跳ばせ」に対州馬(たいしゅうば)が登場すると、約千人の観客から大歓声がわき起こった。

 対州馬は体高125センチ前後の在来種。かつては農耕や坂道の運搬に活躍し4000頭以上いたが、農機具の普及もあって今は25頭に激減。旧暦6月の初午の日に明治時代から行われてきた「馬跳ばせ」も、1960年代から一時途絶えた。

 2002年、地元有志が対州馬の保護と地域振興を目的に対馬初午祭の実行委員会を組織し「馬跳ばせ」を復活。昨年は市内で飼育されている八頭が登場し、河川敷に設けられた全長250メートルの馬場を2頭ずつ走り、速さを競った。

 同県島原市の島原農業高で対州馬繁殖の取り組みも続いている。馬跳ばせ実行委員会会長の惣島由一さん(60)は「せっかく復活した馬跳ばせを今年も、来年も続けていきたい」と話している。

【写真説明】小柄な対州馬が懸命に走る「馬跳ばせ」に観客も大歓声

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