Print this Post Article Lists Back

海外に流出した韓国の文化財、多くが日本に(下)

略奪被害が多い各国との国際協力が必要

 韓国文化遺産政策研究所のファン・ピョンウ所長は、「政府が体系的・組織的に対処できていないため、民間が返還活動に乗り出している。国民の募金で略奪文化財を購入し、国家機関に管理を委ねるのも良い方法だ」と語った。

 海外流出文化財が多い国との国際的協力も必要だ。最近、デザイナーのイブ・サン=ローランが所蔵していた清のブロンズ像がオークションに出品され、中国とフランスが対立を起こした。米国ではガンジーの遺品がオークションにかけられ、インド国民を怒らせることになった。二つの事件を契機として、海外に流出した文化財の返還問題が国際的な関心事として浮かび上がっている。

 中国やインドだけでなく、多くの国が過去に略奪された文化財を取り戻すため紛争を起こしている。古代文明の発祥地エジプトは、3400年前に作られた王妃ネフェルティティの胸像をめぐり、ドイツと争っている最中だ。エジプトがこの胸像を所蔵するベルリン博物館に返還を要求しているのに対し、ドイツ政府は「動かすと胸像が損傷する可能性がある」という論理を盾に拒否している。

 ギリシャは、大英博物館に展示されているパルテノン神殿の神像群(エルギン・マーブル)を取り戻すため、200年間にわたりイギリスと争っている。カンボジア政府は、インターネット・オークションサイト「イーベイ」などに流出するアンコール・ワット寺院の遺物を探すため奮闘中だ。ペルーは最近、「1910年台にマチュ・ピチュから略奪されたインカの遺物数万点を返還してもらいたい」と米国イェール大学を相手に訴訟を起こした。秋渓芸術大のイ・ボア教授は、「文化財を略奪された各国の専門家同士が交流し、文化財の返還事例に関する情報を共有することで、解決の方法を共に模索する必要がある」と語った。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る