県厚生連小諸厚生総合病院(小諸市)が、4月以降入っていた分娩(ぶんべん)予約の大半を断り、近隣医療機関への紹介を進めていることが18日、分かった。産婦人科医2人のうち1人が病気入院するなどしたため。出産受け入れ継続に向け病院は態勢づくりを急いでいるが、医師確保のめどは立っていない。
同病院によると、医師は手術のため11日に入院。早ければ5月に復帰するが、すぐには従来のような受け入れはできない。残る1人だけでは正常分娩しか扱えず、負担を考えると時期的にも4月いっぱいが限度という。
同病院が年間に扱う出産は450件前後。4月以降は9月までに168件の予約がある。外来に訪れた妊婦には事情を説明し、別の医療機関を紹介。18日までに、71人が佐久市立国保浅間総合病院や県厚生連佐久総合病院(佐久市)、同篠ノ井総合病院(長野市)などへ転院が決まった。ほかの妊婦にも順次連絡を入れている。
佐久総合の産婦人科医は常勤5人、非常勤2人。基本的に予約制限は設けず、高リスクの出産も扱うため、余裕のない状態が続く。浅間総合は4月から産婦人科医が6人に倍増。分娩予約枠を月10件増やし60件にする予定で、一定の受け皿になる見通しだ。
6月に小諸厚生総合で出産予定だったが、浅間総合へ転院する小諸市内の女性(32)は「産科はどこもいっぱいに近い。産むところがなかったらどうしようと思った」。小諸市内の産婦人科医院で出産すると決めた同市の女性(23)は「万一、リスクを伴う出産になったら怖い」と話す。
小諸厚生総合の小泉陽一院長は「お産の数を制限する形ででも、再開に向けてできる限り努力したい」と説明。小林良清・県佐久保健所長は「東信地方の医療機関とともに、どう協力態勢がとれるか検討したい」としている。