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介護報酬アップ 人手不足解消する機会に

 介護報酬が四月から3%引き上げられる。低賃金が指摘されている介護職員の待遇改善が大きな狙いだ。

 本紙の連載企画「あすへの約束」の第2部「やさしい手」には、人手不足の中で介護職場を支える担い手たちの奮闘や悩みが浮き彫りにされている。

 倉敷市の特別養護老人ホームで働く二十五歳の男性は、後輩の指導にも当たるベテランだ。結婚して長男も生まれたが、他の職業に比べ給料が低いため、マイホームが持てるのかなど、将来に不安があると漏らす。

 岡山市で在宅支援のため介護事業所を運営するホームへルパーの女性は、約一カ月間、休日返上で働き続けた。お年寄りに感謝された時に味わえる喜びだけが支えだったという。

 離職も深刻だ。介護職場には結婚や妻の出産などで転職する男の「寿退職」がある。二〇〇七年の介護職員の離職率は実に21・6%。学校現場では、介護職員を養成する大学や専門学校への進学を敬遠する動きもある。このままでは介護職場は崩壊してしまうと実感させられるリポートだ。

 岡山県訪問介護事業所連絡協議会の調査では、人手不足でヘルパーの派遣が難しくなり、依頼を断った経験のある事業所は六割に上る。〇三、〇六年と介護報酬が引き下げられ、人手不足が激務に拍車をかける悪循環に陥っている。

 利用者には負担増になるとはいえ、現状では介護報酬アップは避けられなかったといえるだろう。問題は、介護報酬は介護事業者に支払われるもので、職員の給与にはね返る仕組みになっていないことだ。介護事業者は処遇の改善に向けた努力をしてほしい。

 現状を打破するには発想の転換も求められる。労働の対価としての適正な介護報酬は一体いくらなのか、という基本的な問題を前提にした大胆な制度改革への模索も必要だろう。

 今回の報酬改定では、認知症ケアの充実や、介護保険でリハビリテーションを受けやすくなるなどのサービスのほか、夜勤で基準より職員を手厚く配置した介護施設や、介護福祉士や勤続年数の長い職員が多い事業所への報酬は上乗せされる。介護職員の意欲を高める効果があるのではないか。

 介護現場は不況で失職した人の受け皿として期待されている。お年寄りを支えることを選んだ人たちが将来に希望を持ち働けるよう労働環境の整備を急ぎたい。


在留特別許可 一定のルールづくり必要

 埼玉県在住のフィリピン人一家の強制退去問題で、森英介法相は、十三歳になる長女だけ日本在留を特別許可した。父母は来月フィリピンに送還される。

 長女は中学一年で、日本語しか話せない。「家族と別々に暮らしたことがなかったので、これからがすごく不安です」と話しているそうだ。両親との別離はさぞつらかろう。一人で日本に残る苦渋の選択を強いられ、何ともふびんである。

 両親は一九九〇年代前半にそれぞれ他人名義のパスポートで入国、九五年に日本で長女をもうけた。二〇〇六年に違法滞在が発覚し、一家は強制退去処分に。処分取り消しを求めた訴訟も昨年九月、敗訴が確定した。

 東京入管は長女だけを日本に残すかどうか決めなければ、家族三人を強制送還する方針を表明。長女の将来を考慮し、両親は帰国する意向を伝えた。強制退去後は原則として五年間は再入国が認められないが、森法相は短期の上陸特別許可を出す考えを示し、配慮を見せた。

 不法滞在者には厳格な対応が欠かせないのは理解できる。ただ、日本に十年以上暮らし、日本社会で犯罪を犯すこともなく地域社会に溶け込んでいた今回ケースでは、人権尊重の立場から何とか親子ともに在留を許可できなかったのかという思いもぬぐい切れない。

 在留特別許可に明確な基準はない。日本人と婚姻関係にある場合や人道的配慮が必要な場合に認められている。日本に不法に残留する外国人は約十一万人とされ、〇七年には約七千四百人に特別許可が認められた。

 急速な国際化に伴い、日本社会での外国人の存在感は高まる一方だ。外国人との共生社会の在り方を考え直す上でも、在留特別許可に関する一定のルールづくりが必要ではないか。

(2009年3月18日掲載)
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