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【社会】

2被告に死刑、1被告に無期判決 女性拉致殺害事件で名古屋地裁

2009年3月18日 17時29分

 名古屋市千種区の会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が2007年8月、拉致、殺害された事件で、強盗殺人や逮捕監禁などの罪に問われ、いずれも死刑を求刑された神田司(38)、堀慶末(よしとも)(33)、川岸健治(42)の3被告の判決で、名古屋地裁は18日、「悪質性の高い種類の犯行で、社会の安全にとって重大な脅威であり、厳罰をもって臨む必要性が誠に高い」として神田、堀の両被告に求刑通り死刑、自首した川岸被告については無期懲役を言い渡した。被害者が1人で複数の被告に死刑が言い渡されるのは異例。

 近藤宏子裁判長は、強い利欲目的と計画性をもって殺害を実行したと認定。インターネットの闇サイトを通じて知り合った3被告が通りがかりの市民の生命を奪うという凶悪犯罪で「模倣される危険性が高く、一般予防の見地からも刑事責任は誠に重い」とした。殺害については「命ごいをする被害者を無視して殺害行為を続け、その態様は無慈悲、凄惨(せいさん)、残虐である」と述べた。

 自首した川岸被告については「犯罪の発覚、逮捕が困難であるこの種の犯罪で、自首したことにより共犯者の逮捕や、その後に起こり得た犯罪も抑止した」と指摘。その上で「極刑をもって臨むには、ためらいを覚える」とした。

 死刑の適用をめぐっては「人命を奪う究極の刑罰であり、慎重に適用されなければならない」とした上で、被害者が1人であることや神田、堀両被告に粗暴犯の前科がないことなどを考慮しても「極刑をもって臨むことはやむを得ない」と結論付けた。

 3被告の弁護側はいずれも「被害者が1人である」と指摘し、過去の判例と比較しながら今回は死刑に当たらないと主張。神田被告の弁護側は「計画性もなく、過去の死刑確定事件と比べても殺害方法が残虐ではない」とし、堀被告の弁護側は「堀被告は従属的な立場だった」と反論していた。川岸被告の弁護側は「自首しており、極刑には当たらない」と述べていた。

 判決後、堀被告の弁護人は「堀被告と話し合って控訴するかどうかを決める」とコメント。神田被告の弁護人は取材に応じなかった。

 飯倉立也・名古屋地検次席検事は「本件の凶悪性を理解した重い判決だが、川岸被告に対する結論は承服できない。内容を十分に精査し、今後の対応を検討する」と述べた。

(中日新聞・東京新聞)

 

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