2009年3月18日 22時05分 更新:3月19日 1時34分
沖縄県警は18日、公訴時効が成立していた40代の男性を宜野湾署が強制わいせつ容疑で誤って逮捕した、と発表した。送検先の那覇地検沖縄支部は誤りに気づかず逮捕から3日後の今月11日に拘置請求し、沖縄簡易裁判所も拘置を認めたが、直後に地検支部が誤りに気づき、男性は同日中に釈放された。容疑者の身柄拘置にかかわる警察、検察、裁判所の3者ともに誤る異例の事態となった。
逮捕容疑となった事件は03年8月3日未明、沖縄県内でタクシー運転手が駐車中の車内で、客の女子高生に抱きつくなどわいせつな行為をしたとされた。現場に残された遺留物などから、宜野湾署が男性を強制わいせつ容疑で全国に指名手配。逮捕状の更新を繰り返して捜査していた。
男性は3月8日、宜野湾署が取った逮捕状に基づき神奈川県内で警視庁捜査員に逮捕され、宜野湾署に移送された。
強制わいせつ罪は05年の刑法一部改正で、罰則が最高懲役7年から10年になった。これに伴い、公訴時効も5年から7年に延長されたため、県警は時効が成立していないと判断した。しかし、刑法6条は「犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる」と定めており、男性の場合、刑は改正前の最高懲役7年、公訴時効は5年で、08年8月2日午前0時で時効が成立した。
逮捕状請求の際、県警は犯罪事実や時効などを一覧表で点検する。このケースは宜野湾署の幹部3人が点検したが気づかなかったという。県警刑事部の石新政英(いしあらせいえい)参事官は18日夜、県警で記者会見し「当事者に申し訳ない」と話した。
県警は今後、指名手配事件の時効成立を入れた一覧表を作成し、県警本部でもチェックするなど再発防止策を定める。【三森輝久】