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芸能人の事件捜査に消極的な検察と警察(下)

芸能事務所の「陰」(2/2)

 芸能事務所の幹部D氏は「最近、ビデオを撮るケースはほとんどないが、一部マネージャーは私生活を暴露する、といった形で芸能人を脅迫している」と語った。マネージャーらは、芸能人の不適切な関係などを「整理」し、これを口実に「関連書類をマスコミに公表し、芸能界にいられないようにしてやる」と脅迫することも少なくない。道徳観念が低く、金に目がくらんだ一部芸能人が自ら進んでこのようなマネージャーの「奴隷」になっているわけだ。

 しかし、時として芸能人は、性的接待強要や性的暴行などを受けても助けてくれるところがない、という絶望から極端な選択をすることになる。ある芸能人は「所属事務所の社長が『わたしは国家情報院や検察の誰々をよく知っているから、騒ぎを起こしても無駄』と言ったこともある」と語った。検察や警察に捜査を依頼するのをあきらめる芸能人も多い。ある女優は、親せきの名で購入した住宅の所有権に関する訴訟を起こそうとしたが、突如中止した。「女優○○が財閥の○○と同居する見返りにマンションを譲り受けたが、取られた」といううわさが流れたためだ。

 芸能人が被害者となる事件の場合、弁護士や警察、検察によって情報が漏れ、それを基に証券街の情報誌や各種情報機関の報告書がこれらをまとめ上げる。そしてスポーツ紙やインターネットメディアなどが実名をイニシャルにしてこの情報を公表すれば、デマは事実となる。国全体が検証されていない情報を「既成事実化」する傾向が現れるというわけだ。当たっている場合もあるが、当事者からすれば、はらわたが煮えくり返るような虚偽の情報もある。

 反対に性的接待を受けた者らは、罪の意識を感じることができず、こうした行為を繰り返す傾向がある。警察がしっかりと事件を究明し、被害者と加害者を区分しないからだ。ある検察関係者は「これまで性的接待説は、『テレビ局のプロデューサーの収賄容疑』を捜査する過程で明らかになった情報がほとんどのため、積極的に捜査しない傾向がある。しかしわれわれが積極的に捜査したとしても、当事者らが強要を否認したため、処罰できなかっただろう」と説明した。

崔承賢(チェ・スンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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