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高齢者医療制度、具体案は今年秋に

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 後期高齢者医療制度の見直しについて議論してきた舛添要一厚生労働相直属の「高齢者医療制度に関する検討会」(座長=塩川正十郎・東洋大総長)は3月17日、「高齢者医療制度の見直しに関する議論の整理」と題する最終報告を大筋で了承した。最終報告は各委員の主張をまとめた論点整理で、焦点となった75歳以上という年齢区分に関しても、幅広い意見を併記するにとどめた。同省側は年度内に政府・与党に最終報告を示し、具体的な見直し案については、政府・与党が今年秋をめどに策定する見通しだ。

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 制度の見直しに関する論点は、▽高齢者の尊厳への配慮▽年齢区分、制度の建て方▽世代間の納得と共感が得られる財源の在り方▽運営主体▽保険料の算定、支払い方法など▽医療サービス―の6項目。

 批判が多かった「後期高齢者」や「終末期相談支援料」といった名称については、高齢者の尊厳を損なうため、「その心情に配慮し、速やかに見直すことが必要」とした。

 年齢区分では、65歳での区分について、(1)前期高齢者医療制度の財政調整を後期高齢者医療制度にも拡大(2)後期高齢者医療制度の対象を65歳以上に拡大―の2つの主張を併記。
 権丈善一委員(慶大教授)らが主張していた(1)については、旧老人保健制度で行ってきた財政調整を実質的に65歳以上に拡大するため、「若人と高齢者の費用負担関係が不明確であるなどの点について、どのように対応するか」という課題を挙げた。また、山崎泰彦委員(神奈川県立保健福祉大教授)などから意見が出ていた(2)では、多額の公費負担を必要とする上、「国保(国民健康保険制度)の負担はほとんど軽減されないといった課題がある」とした。
 一方、舛添厚労相が私案で示した「75歳以上の被用者保険の本人は被用者保険に残すという考え方」については、「職業上の属性を加味できる」としながらも、被扶養者などの取り扱いや、市町村国保の自営業者など現役の労働者との均衡などをどのように考えるかということを課題に挙げた。

 今後の財源の在り方について、保険者の加入者数などに応じた費用負担となっている現行制度では、「財政力の弱い被用者保険の保険者の負担が過重になっている」とし、「国保と被用者保険の間は加入者数で均等に分け、被用者保険の中では、財政力の強い保険者が財政力の弱い保険者を支援するものとなるよう、保険者の財政力に応じた応能負担による助け合いの仕組みにすべき」との委員の主張を盛り込んでいる。

 現在、都道府県単位の広域連合が担っている運営主体では、まず保険者機能を強化すべきだとしながらも、「医療費適正化や医療サービスの提供などの政策との有機的な連携を図る必要があることから、都道府県を運営主体とすることが適当」とし、そのための環境整備を検討すべきだとした。
 また、市町村が保険者となっている国保の運営主体については、都道府県または広域連合の後期高齢者医療制度との一体化や、二次医療圏単位での市町村の共同運営などの意見を提示している。

 医療サービスについては、介護保険制度の創設時に「新たな介護サービスが導入されるなど高齢者にとってのメリットを具体的に示すことができた」とし、後期高齢者医療制度では「新たな医療サービスの提供が十分でなかった」ことが高齢者の不満の原因の一つだったと分析。
 高齢者にふさわしいサービスとして、▽高齢者担当医など多様できめ細かな訪問医療▽速やかに入院できる病院の確保▽退院が難しい高齢者の支援―などの普及、定着が必要だとした。

 最終報告では最後に、▽国民の医療費の負担、財政調整を含めた高齢者医療制度の仕組みなどをあらためて国民に十分周知すること▽当事者である高齢者の意見を聞く場を設けること▽すべての世代が納得と共感を得るため、さらに努力すること―の3つを政府・与党に求めている。

 この日の検討会では、川渕孝一委員(東京医科歯科大大学院教授)が、「詳細なデータがまだ不足している」と指摘した上で、「どうして3月で終わるのか。誰が制度をよくするドライバーになるのか」と疑問を呈したが、塩川座長は「これを1年やればさらによくなるかといえば、それは少し違う。エッセンスは全部出た」と退けた。

 厚労省高齢者医療課の吉岡てつを課長は検討会終了後、記者団に対し、「識者での議論は尽くした。論点整理をしたことに意味がある。今後、いろんな場で議論する道しるべができたと思う」と述べた。政府・与党の見直し案の策定については、「秋口になるのではないか」との見方を示した。


更新:2009/03/17 23:21   キャリアブレイン

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