政治

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

診療報酬:オンライン請求、2年後の完全移行先送りも 設備費数百万円、医師会反発

 ◇衆院選控え自民も同調

 医師が治療費を請求するレセプト(診療報酬明細書)について、2011年4月からオンラインでしか認めないとした政府方針が揺らいでいる。日本医師会などが反発し、衆院選での日医の支持をもくろむ自民党が同調し始めたからだ。1月には35都府県の医師が義務化撤回を求め提訴する騒ぎも起きており2年後に迫った完全オンライン化は先送りの可能性が出ている。

 医療機関は審査機関を通じてレセプトを保険運営者に提出し、報酬を請求する。オンライン請求なら不正請求やミスを発見しやすく、事務経費削減による医療費抑制も可能となるが、現在オンライン化しているのは病院の29%、開業医の3・2%にとどまる。そこで政府は06年4月、オンライン請求を段階的に義務化する方針を決めた。既に08年度から大規模病院で始めたほか、10年度には専用機器導入済みの開業医、11年度からは全医療機関に広げる。

 しかし、高齢の医師には機器の操作が難しい面があるうえ、設備費数百万円を自己負担する必要がある。厚生労働省は零細診療所には2年の猶予を設けるが、約1万4000医療機関を対象とした全国保険医団体連合会の調査には、医師の12・2%が「義務化されれば閉院する」と答えた。自民党も慎重姿勢に転じた。先月27日の同党医療委員会では「希望者だけにすればいい」といった声が相次いだ。【吉田啓志】

毎日新聞 2009年3月18日 東京朝刊

政治 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報