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受精卵取り違え:県と夫婦、和解協議へ 賠償額は争う姿勢

 香川県立中央病院(高松市)であった体外受精卵の取り違え疑惑で、人工妊娠中絶を余儀なくされた夫婦が「担当医の過失で深刻な精神的苦痛を負った」などとして、県に約2200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、高松地裁(森実将人裁判長)であった。県は答弁書で賠償額について争う姿勢を示したが、事実関係でほとんど争いがないことから、和解協議を並行して進めることにした。

 訴状によると、担当の川田清弥医師(61)は昨年9月18日、原告の20代女性の受精卵の培養液の交換作業を、別人の受精卵の入ったシャーレを作業台に残したまま実施。20日に原告女性に受精卵を移植したが、その後、川田医師は別人の受精卵と取り違えたのではないかと不安を抱いた。10月7日に妊娠が確認された後、病院側は受精卵の取り違えの可能性を夫婦に説明。女性は11月11日に人工中絶した、としている。

 原告側は「医師の過失で妊娠の喜びが水泡に帰した」とし「体外受精における単純な作業の過誤であり、重大な過失があるのは明らかで、医師の側から早期に中絶を勧められた」と主張している。

 県は答弁書で、過失を認めながら「故意に近い不注意(重過失)とまでは言えない」とし、取り違えの可能性について気付いたのも「妊娠確認後」とした。慰謝料についても「今回の妊娠が喜びであったことは認めるが、『不妊治療が奏功したことによる妊娠』と『自然妊娠』には同程度に流産のリスクがある」としている。【吉田卓矢】

毎日新聞 2009年3月18日 12時02分

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