現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 裁判
  5. 記事

勾留16年、判決まだ 心神喪失の強殺被告、再犯を懸念(1/2ページ)

2009年3月17日15時0分

 強盗殺人罪で92年に逮捕、起訴された千葉県内の男性被告(48)が、刑事裁判中に統合失調症による「心神喪失」と診断されながら、十分な治療を受けることなく現在まで拘置施設に勾留(こうりゅう)されていることが朝日新聞の調べで分かった。被告は、一度も裁かれることなく16年以上も勾留され続けていることになる。

 被告は92年10月、千葉県松戸市のガソリンスタンドで店長を鉄パイプで殺害し、現金約56万円を奪ったとして逮捕された。過去に統合失調症で通院歴があり、起訴前の2回の精神鑑定は、刑事責任能力がない「心神喪失」と責任能力はある「心神耗弱」とで結果が割れた。千葉地検松戸支部は「心神耗弱」の鑑定結果を採用し、逮捕から1年後に起訴に踏み切った。

 ところが、裁判が始まると被告は通常の受け答えもままならず、再び精神鑑定したところ、「心神喪失」と診断された。これを受けて千葉地裁松戸支部が94年12月、公判停止を決定した。

 一般的に、被告が病気などの理由で公判が停止し、逃亡や証拠隠滅のおそれが無い場合は、病状回復を図るため、裁判所が検察側の意見を聞きつつ勾留を停止し入院させるなどの手続きを検討する。

 被告の弁護人は95年6月に「勾留執行の停止」を申し立てたが認められなかった。理由について、弁護人は「被告は攻撃性が強く、(社会に出れば)他害のおそれもある。もし同じような事件を起こしたら、社会の非難は避けられない。裁判所はそう考えたのだろう」と語る。

 また97年5月には、改めて訴訟能力の有無を調べるため、地裁が精神鑑定を実施したが、やはり心神喪失との結果が出たという。その後は特段の動きはなく、被告は刑務所内にある拘置施設に勾留され続けた。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:

関連リンク


朝日新聞購読のご案内