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プリンスホテルを書類送検へ 日教組集会拒否の疑い

2009年3月17日1時31分

 日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)をめぐり、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が組合員の宿泊予約を取り消し、会場使用を拒んだ問題で、警視庁は、法人としてのプリンスホテルと渡辺幸弘社長(61)ら幹部4人を17日にも旅館業法違反(宿泊させる義務)の疑いで書類送検する方針を固めた。

 保安課と高輪署などによると、プリンスホテルと渡辺社長らは07年11月、日教組が08年2月2日から同ホテルで開く予定だった教研集会の全体集会の契約を、正当な理由がないのに解除した疑いがある。その結果、集会は中止せざるを得なくなり、51年に始まった日教組の教研集会が初めて中止になった。

 旅館業法は、宿泊しようとする者が伝染病などにかかっていると明らかに認められる場合や、違法行為、風紀を乱す行為をする恐れがある場合、宿泊施設に余裕がない場合を除いて宿泊を拒めないと定めている。違反した場合、5千円以下の罰金になる。

 日教組は07年3月に旅行会社を通じ、ホテル側に使用を申し込んだ。同5月に契約が成立し、同7月に会場費の半額を支払ったが、ホテル側は同11月に契約解除を通知。日教組は使用を求めて仮処分申請し、東京地裁の後、東京高裁は08年1月30日、日教組側の主張を認める決定をしたが、ホテル側は従わず、組合員の宿泊も拒んでいた。

 港区が同法に基づき事情聴取したところ、ホテル側は「右翼団体の街宣活動によって他の客や地域住民に迷惑をかける」「契約解除は当日近隣で行われた入試に臨む受験生に対する多大な迷惑を第一に考えた結果」などと主張していた。同庁の任意の事情聴取に対し、渡辺社長らは違法性の認識については認めているという。

 この問題をめぐっては、日教組が08年3月、プリンスホテルと同社役員を相手取り、約3億円の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求める訴えを東京地裁に起こし、今も係争中だ。17日の口頭弁論で渡辺社長が被告人側証人として証言する予定になっている。

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