保育園を誰でも利用できるようにする保育制度改革の第一次報告書を、厚生労働省がまとめた。だが、改革案は大枠が決まっただけだ。働きながら育児をしたい親たちには、今預ける先が必要だ。
少子化対策は、働きながら育児できる「働き方の見直し」と「保育サービスの充実」が車の両輪。社会保障審議会少子化対策特別部会が二月に示した改革案は、保育制度の大幅な見直しだ。狙いは保育が必要な人すべてが受けられるよう、その質を確保しながら量の拡大を図ることだ。
量拡大に指定制を導入する。現行の認可保育園制度は、認可する都道府県に裁量権があり、財政事情などから認可しない場合がある。新制度は、基準を満たせば機械的に保育事業者を補助する指定園にし、事業者参入を促す。
入園先を市区町村が決める現行制度では、入園希望者は満員などから入園申請を断念しニーズが潜在化している。
新制度では、自治体が保育が必要と判断した子供に「認定証明書」を発行、利用者はそれを添えて入園希望先と直接契約する。ニーズを顕在化させ、自治体の対応を促す狙いがある。
質確保には、自治体に施設整備計画の策定や実施、事業者の監督などの責務を負わせる。利用対象者をパートタイムの親や、親族が同居している家庭にも広げる。
ただ改革案はやっと新制度の土台ができただけだ。量拡大の“起爆剤”にしたい指定制の中身や、事業者監督の在り方の議論はこれから。事業者と利用者の直接契約になることで「自治体の関与が減り質が後退する」との現場の懸念にも配慮が求められる。
保育士の給与は、待遇が悪い介護職員と変わらない。保育を担う保育士の待遇改善や人材育成策も今後の課題だ。
利用者には気になる費用負担の在り方も先送りされた。財源確保も見通しが立っていない。
政府は新制度を二〇一三年にはスタートさせたい考えだ。だが、待機児童は昨年増加に転じ、同年十月時点で約四万人いる。潜在的な待機児童は約百万人いる。その上、経済情勢の悪化から夫婦で働く必要が出て、入園希望者は増えている。
同省は今月、保育園への緊急補助拡大策を決めたが、子供を預けられなくて働けない人は今、困っている。財源確保と合わせ、新制度の具体的な設計と実施のさらなるスピード化を図るべきだ。
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