2008/12/12
「急変する地球」
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1章 変動の過程にある地球
¶現在進行している地磁気の減少
現在地磁気の平均全磁力が少しずつ減少しつつあり、その状態がこのまま進めばあと1500年から2000年位までには消滅してしまう、といわれています。100年間に5パーセントの割合で、減衰は少なくとも1000年位前から始まったと推定されています。地球物理学でも、何が原因でそうなるのか、まだ充分解明されていないこともあり、社会の関心もあまり払われていないというのが実状でしょう。危険が差し迫っているにも関らず、そのことについては解明されていない事柄であるから関心も払われないというのであれば、それは憂うべきことといえます。地球磁場について視点を変えて眺め仮設し、新たに説明を加えてみたのが本書です。今という現在、地球の磁場が消滅しつつあるということは、この惑星に住む人類とって極めて好ましからざる兆候であることを説明してみようということです。ここで述べられた見解をどのように受け取るか、それを生かすか殺すかは読者次第でしょう。地球磁場による磁力線が作る磁界、地球磁気圏は人間に有害な宇宙線から地球を守っているといわれていますが、地磁気の減衰はもうひとつ、また別の危険性を孕んでいることを指摘してみようと思います。この地磁気減衰は、現在の火山活動の活発化とは無関係ではなく、常に互いに同時進行してきた間柄である、といえるのです。何故なら、磁気を帯びた岩石は高熱によって磁性を失うからです。磁気工学ではキュリー点として知られ、磁石もその温度を越えて熱せられると磁気を失うといわれています。つまり、地球深部での火山活動が次第に活発化するに従って、深部の温度が高まり、岩石は次第に磁性を失い、その影響がじわじわと地表にまで及び、地磁気はさらにもう一つの原因が加わって、それと同時に減少し始めたと考えられるのです。今世紀末に至るまでに、世界中で火山の噴火や大地震が頻発化し、人類社会に甚大な被害を及ぼしていることは周知の事実であり、近年に至る程、その頻発化の度合いは激しさを増したかのようです。それは地球が平穏な営みを破って激しい行動に出ている、と考えるのは筆者だけではないでありましょう。'エルニーニョが異常気象を齎し、季節はずれの台風やハリケーン、暖冬冷夏、猛暑と異常渇水があるかと思えば大雨による大洪水が続く、死者を出す程の猛暑と極寒の両極端といったように、それらは季節のサイクルを完全に狂わしています。さらに人類社会が排出する二酸化炭素による地球温暖化とフロンガスによるオゾン層の破壊、大量ゴミ焼却による汚染物質やダイオキシン等の発生を原因とする自然環境生態系の破壊。この人災的要素と天災的要素のからみ合いが、複雑さを極めている為に、地球は今後どうなってしまうのだろう、とは誰もが感じたことでしょう。結果論からいいますと、この中で天災的要素、大地震や火山爆発の激化の原因は、コア内部(内核・外核)の活動に端を発しているものであり、それらは数万年から数十万年周期で起こる地球の営みの結果なのだということです。コア内部の活動活発化は、マントル層から地殻上部へ向けて火山活動を促し、エルニーニョ発生や、漸進的地磁気減衰と無関係ではなく、現在の自然の営みによる変化は人災的要素と合わせ、極めて危険な状態にあるということです。この場合の人災的要素とは主に核保有国による地下核実験を指して言っていますが、天災的要素と複雑に絡み合って、事態をますます深刻にしている、というのが実状であると思われます。それらに深く関連した事項を、逐次述べていくことにします。
¶地磁気減衰とエルニーニョ現象の始まり
海水温上昇は海の生態系を混乱させ陸の動物にも悪影響を与え、人問の作り出した化学物質の或る種類は環境ホルモンとして種の絶滅を招きかねない深刻さを生じており、前者は天災、後者は人災として現在、共に動物や魚貝類を脅かしています。人間が移動させた動物・植物は現在、帰化動物・植物として異常繁殖し、移動先の生態系を狂わし、その土地特有の動植物を絶滅へと向かわせ、一方では人間が齎した自然環境破壊による悪化が生態系混乱にさらに追い打ちをかけています。現在の地球世界は天災と人災が共に人間、動物を脅かしていて、人災が天災を呼び起こし、天災が人災を呼び起こすかのような一面があって複雑さを極めています。天災と人災の複合作用は自然発火による森林火災と森林伐採の乱伐による自然林の激減から、容赦なく進む砂漠化の進行等に現われています。また、インドネシアの焼畑からの飛び火による森林火災は、エルニーニョによって季節のサイクルが狂わされた結果、降るべき時に降らなくてはならなかった雨が降らなかったことから拡大したといわれています。一方でエルニーニョは、片寄つた大雨を降らせる原因ともなって、98年は中国に大洪水、日本には大雨洪水を齎し、人類社会に手酷い被害を被らせました。このように、人間と自然界とは噛み合わなくなってきており、自然は人間に味方しなくなったかのように、天災と人災は相乗作用し合って、地球環境悪化に拍車をかけているのです。60億人にも達した世界人口過剰は、人災を拡大させる一方であり、それとは無関係であるかのように、地球という惑星は人類や動物にとって厳しすぎるとしか思えないような苛酷な営みを続けています。20世紀末に至るまで、世界中に頻発化し、これからもその度合いを高めるであろう火山活動活発化と大地震は、エルニーニョも含めてすべて連動しており、その最大の原因は、コア内部の周期的な活動の激化に求められます。現在はその真っ只中にあるのです。米国のある地質学者が、今から1400年位前にはエルニーニョは無かったと発表していますが、その時には今日のような磁場や地磁気の減衰も無かったであろう、と思われます。何故なら、エルニーニョとはペルー沖海域にある東太平洋海嶺や世界中の海底火山活動の周期的活発化によって、海水温が異常に上昇する現象だからです。東太平洋海嶺の活動はカリフォルニア沖海域にまでも及んでおり、熱せられた海水は自転の遠心力によって、太平洋の赤道海域に集中しています。大西洋には、中央大西洋海嶺という立派な海底火山があるにも関らず、何故太平洋なのか、ということですが、太平洋はタヒチ島の地下深部、それもコアから下部マントルにかけての一帯に非常に活発化した巨大なホット・プリュームが顕在化しているのです。ホット・プリュームの親玉、それはスーパー・プリュームと呼ばれており、この活発化がエルニーニョを引き起こしている最大の原因なのです。エルニーニョの主要因である海水の温度上昇は、太陽光や地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の吸収のみで生じているのではなく、一番の原因は海底火山にあるのです。そのマグマとガスの流れはいくつにも枝分かれし、カロリン、ソシエテ、マルキーズ各諸島、サモア、トゥブアイ、ピトケア、イースター、ハワイの各島々にホットスポットを形成していて、別の流れは脇へそれて東太平洋海嶺へと流出しているのです。この海嶺は、南極海からカリフォルニア半島にまで延びた長大なもので、サンアンドレアス断層の手前で隠れており、カナダの西に出ています。その手前には1980年に大爆発を起したセントヘレンズ火山があり、周辺にはいくつかのホットスポットがあります。1997年のペルー沖の海水温は、平年より平均温度が5℃も上回りました。97年から98年にかけて、エルニーニョは今世紀最大規模に達したといわれていますが、それはとりもなおさず、海底火山の活動規模も今世紀最大のものであったことを示しているといえましょう。さらに98年3月の南極巨大地震は象徴的出来事といえます。98年は珊瑚の白化が、沖縄に滞まらず鹿児島、熊本天草周辺海域にまで及んでおり、海水温上昇が原因である珊瑚の白化現象はオーストラリアのグレートバリアリーフやインド洋のモルディブ、スリランカ、インドネシア近海、ガラパゴス諸島マダガスカル東方のモーリシャス島等、世界各地で確認されています。99年は例年になくその規模は大きくなっていたといわれています。一方では、それまで思いもよらなかった海水域に珊瑚が発生していたり、珊瑚の生成域は少しずつ北上しているかのような感さえあります。このことは世界全域に亙って平均海水温が上昇していることを示唆しており、海水温の上昇は少なからず地球温暖化を助長させているでしょう。そして、珊瑚の白化を促進しており、沖縄の瀬底島では死滅したものもあることが、日本珊瑚礁学会で報告されています。その主原因は、世界中の海底に網羅される海底火山脈それぞれの活動の活発化にあるのだと思われます。それらの活発化した活動の多くは見逃されているでしょう。エルニーニョが、或る一定のサイクルで生じてはいても、時計の針のようには規則的でないのは、火山活動が規則的でないことと軌を同じくしています。ここ200年の磁気双極子モーメントの変動データを見ても、磁場の増減は全体的に減衰しつつも一進一退しています。(図1参照)これは、地球内部の火山活動が一進一退することに対応しています。地球表面から、或いは内部から冷やそうとする力が、内部の火山活動の弱まりと相侯って磁場を一時的にも復活させますが、活動が大きくなるに従い、それに連れて地球磁場の平均的磁力も低下していくわけです。磁場減衰の最大の理由がもう一つあるのですが、それは2章に詳述します。インド洋南西海域で起こる海水温上昇は、ペルー沖海域でのそれと合わせて双子のエルニーニョと呼ばれていますが、これはカールスベルグ海嶺と呼ばれる海底火山の活動が原因でしよう。この海嶺は中央インド洋海嶺と繋がっていて、近くには99年3月9日に大爆発を起こしたレユニオン島火山があり、この島とマダガスカル島を挟んだコモロ諸島にはホットスポットがあります。珊瑚白化が起こったモーリシャスはレユニオン島の側にあります。この辺り一帯はアフリカ南部の地下深部にあるスーパー・プリュームから枝分かれしているものでしょう。この10月、オーストラリア、タスマニア湾の陸地の浅瀬にゴンドウクジラ数十頭が乗り上げたことが報道されていましたが、これは南タスマニア海膨か太平洋南極海嶺の火山活動の活発化によるものではないかとにらんでおります。海水温の温度上昇は、地球温暖化による気温上昇を助けており、それは極地の万年氷を少しずつ溶かすことを余儀なくさせています。氷の溶融は少なくとも海水温上昇にブレーキをかけているわけですが、それでもエルニーニョとなると海水温は上昇し、氷を溶かし続けるのです。エルニーニョ推進の最大の原動力と思われる東太平洋海嶺全域に至るその火山活動規模については、世界のどの国も全体を把握していないと思われます。これは東太平洋海嶺に限らず、世界中の海嶺や海膨の活動規模や活動推移についても同様で、何処かの海底火山が活発化していても中が見えないだけに多くは見逃されているのです。そうでなければ、エルニーニョの原因を明確に特定出来ないわけがないのですから。即ち、全域に亙ってデータ不足なのです。従って、そう遠くない将来起こるであろう地球規模の異変について、どの国も予測することが出来ないに違いありません。
¶大地震頻発と火山活動期は同時進行する
地震震源マップと火山地帯マップを比較すると分かりますが、両方はおおよそ一致しています。火山地帯ではない所にも、大地震は発生しますが、大地震が発生する場所は大概火山地帯か、大体その付近周辺です。このことは何を意味するのかいうと、大地震とは火山活動が原因となって発生するものであると、まず捉えることが可能です。これはひとえに、地震活動期の始まりと火山活動期の始まりは一つ、と見なすことが出来、取りもなおさず、大地震とは火山活動におけるマグマの働き、種々の自然化学反応によるガスの発生とその膨張による爆発を起因としていることに他なりません。'直下型地震と呼ばれている大地震のその殆どは、地下深部における火山ガス爆発が原因なのであり、その爆発によって地震が発生し、断層が生じるのです。単に断層が動くだけでは大地震に至ることは無く、体に感じないか小さな地震で終わると思われます。地下深部におけるガス爆発が、新たな断層を発生させ、既成の断層は亀裂を深めたり、或いは岩盤を崩壊させたりするのです。岩石は崩壊する直前に電磁波を放ち、これはピエゾ効果と呼ばれています。ガスが膨張していくに従って岩盤には次第に緊張が生じてきます。そして、ガスが爆発する直前に、岩盤は電磁波を発するのです。ガス爆発による地殻の膨張と崩壊が、無数の群発地震を発生させています。火山の噴火とは、上昇するマグマやガスが、爆発による噴出で地表にまで突き抜けたものです。ですから地表に解放されることなく、地下深部にとどまった爆発はまだエネルギーを残しており、火山脈と通じた際、火山噴火としてひとつの終息を迎えるのです。コアが半永久的に活動を続ける以上、内部からは絶えずエネルギーが放たれます。ただ現在は、コアの活動が通常よりレベルアップしている為に、放出されるエネルギーの量も回数もはるかに多く、それは絶えずガス爆発を引き起こし火山活動を盛んにし、大地震や火山噴火を世界中に頻発させているのです。日本列島のM4以上の地震震源マップが読者の手元にあったら、ご覧になってみてください。その震源地点をガス爆発の地点と捉えた場合、日本列島の地下にはマグマやガスの通路が、白蟻の巣のようにはい循っている様子を想像することが出来るでしょう。それが現実だというのが筆者の考えです。地震波測定ではそれらを探知することが出来ません。地殻内への海洋プレートの沈み込みによる摩擦熱がマグマを発生させ、それが火山噴火を引き起こすという考え方が一般的のようですが、それは誤りというべきです。プレートの摩擦熱だけでは巨大噴火を発生させるにはエネルギー不足と思えますし、実際には発生しないと思われます。コア周辺の地下深部では、絶えず無限にガスが発生しており、それが膨張し続けた結果大地震を引き起こしつつ巨大噴火へと至るのであり、亜硫酸ガスや硫化水素ガスを放出し続けるのです。それらのガスは地殻周辺では作られないでしょうし、温泉に硫黄が沈殿するのは、火山脈がコア内部と通じていると考えるべきなのです。温泉の中に白濁を生じるシリカはマントル物質であり、硫黄や鉄分と一緒に溶け込んでいます。噴火の火山灰から生じる粘土は、マントル物質である珪酸塩の一部の珪素が内部の化学反応によってアルミニウムに置き換わったものです。P波トモグラフィによるマントル速度異常断面図によれば、日本列島の地下は地殻の浅い所が温度が異常に高く、マントル層に下ると温度が低下しているかのように見受けられますが、だからといって日本列島の地下に横たわっているのは浅い所のマグマ溜りだけであって、コアにまで通じてはいないと考えるのは早計でしょう。地震波はコアからの微細な通路まではキャッチしないのです。それは爆発によって閉じたり通じたりしているのです。平成7年の阪神大震災の時は、大きな揺れが3回あつたと伝えられていますが・2回目・3回目共、それぞれ震源の位置が上昇しています。爆発の位置がその都度上昇した為だと思えますが、水平方向にも位置が変わっているのは、ガスが東西南北に広がりつつ上昇することによって、新たな爆発箇所を確保するからでしょう。
¶プレート型大地震の幻想
通常、プレート型地震と言われている地震は、地殻の下へ沈み込み続けるプレートによって、少しずつ地殻に歪みが生じ、それが蓄積した結果、そのはね返りによって生じるとされています。それがマグニチュード7・9にも及ぶような巨大地震をも発生させるというわけです。しかし、これは地震学者や研究者も含めて、多くの人々に支持され定説化している一つの仮説に過ぎないでしょう。太平洋をすっぽり覆うような太平洋プレートが巨大である為に、日本列島の地殻深くへもぐり、地殻に大きな歪みが起こりその反発によって巨大地震が発生する、と誰もが思いたくなるのですが、それは単なる幻想に過ぎないということです。蓄積した歪みが反発して地殻が崩壊し、大地震が発生したということが、地震観測によって正式に検証されたことは、地震学が始まって以来、これまで一度も無いのです。世界中のどの国々においても。何故なら、それは事実ではないからです。では、地下ガス爆発説にしても検証されていないのではないか、と読者は仰有られるかも知れません。ですが、火山性の地震はある、ということは地震学者も火山学者も揃って認めているところの事実です。しかし、巨大地震も含めた多くの地震の本質は火山性にあるのです。中国内陸部では、M6から7クラスの大地震が毎年のように発生しています。'この大陸内陸部の大地震がプレートの歪みによるものであるとは考え難いことです。同じ位の規模の大地震が日本列島でも頻繁に発生していますが、中国大陸の大地震は直下型だが、日本列島の大地震はプレート型(直下型とされているものもありますが)であると明確に線引きをすることには無理があります。両者は同じ性質の地震だからです。では、中国やアフガニスタンの大地震が火山性のガス爆発原因を主としたものと考えた場合、大陸内陸部には目立った活火山が存在しないのは何故なのか、といった疑問に突き当ります。それは、ユーラシア大陸が、タヒチ島周辺の地下深部やアフリカ地下深部に存在しているスーパー・プリュームの流れから、遠く離れている為です。タヒチ島地下のスーパー・プリュームから枝分かれしたマグマの流れが、おおよそインドネシア周辺や日本列島周辺に至る支流に集中していることにより、その一帯に活火山が林立しているのです。全体的に言えば、日本やインドネシアに限らず、太平洋を含む環太平洋地域というべきですが…。そのマグマの流れがユーラシア大陸内陸部には至らず、漏れた高圧ガスの通路だけが出来ている為に流れ込んで膨張したガスが大爆発を起こすのです。それが大地震時には巨大地震を引き起こすのです。マグマ流は、海嶺や海膨は別として、海溝のようなプレートの収斂領域に集まり易いのです。それは日本列島の方へ向かっているマグマ流を、大陸の方へ行かせないよう、沈み込んだプレートが遮断するような役割りを果たしていることでしょう。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むことによって、大きな地震が発生するのであれば、新しくプレートが作られていく海嶺や海膨では、地震は生じないことになります。ところが現実には、中央大西洋海嶺や東太平洋海嶺をはじめとして海嶺・海膨と名の付く領域には、これまでかなりの頻度に及んで地震が観測されているのです。その震源はいずれもプレートとプレートの境界であり、赤点で印した世界震源マップを見ると海嶺領域は赤く塗りつぶされているかの如きです。その海嶺領域に於ける大地震はいずれも火山性の爆発によるものです。最近の地震学では、スロー地震とか、サイレント地震とか呼ぱれている地震があります。地殻が、静かにゆっくりと少しずつ崩壊していく時にマグニチュード1くらいの地震が発生するのです。それをスロー地震と呼んでいるのですが、プレート型地震といわれる地震の真の姿は、このスロー地震でありましょう。日本列島の地下深くへ沈み込む太平洋プレートの年問スピードは、約10pです。プレートが地殻と接触した辺りから、プレートは、やや折れ曲がる形で深部へと侵入していきます。つまり、地殻に対してほぼ水平に突き当たった所から、プレートはボキボキと折れながら地下へもぐり込んでいくわけです。それは音波探査がとらえた御前崎沖の駿河トラフの地質構造とされる図を見ると、ユーラシアプレートも沈み込むフィリピン海プレートも先端部が折り曲げられているのが判ります。岩盤が鉛か粘土のように曲がりながら沈み込む、ということは考え難いことです。プレートは、弓なりになる時に、折れなければならないということです。プレートがもぐり込む直前に折れることによって、地殻に対する緊張が緩和されるのです。地殻も緊張する必要がなく、プレートが水平に当たって生じる緊張の分だけ、歪みを蓄積していることになりましょう。そのエネルギーは、スロー地震という形で解放されるのです。海洋プレートそのものは、地球の球面に添って轡曲に成長しているので、反り返ってしまうということはなく、当然地殻の上側にせり出してくることもありません。地殻の下に折れながらもぐり込んでいくしかなく、あとはプレートの成長に従って、高圧の状態で押し込まれていくだけでしょう。
¶巨大地震は火山活動による地下ガス爆発が原因
M6から8に至るような大地震、巨大地震は、プレートの重圧による地殻の歪みから発生するのではなく、コア(地球中心核)からの火山活動、マグマの上昇に伴う火山ガス爆発が原因なのであります。活動によって、常時生成されているマグマはハワイ他、世界で40箇所程推定されているホット・スポットや、プレートが作られる海嶺に流れ出しています。コアに通じる流れは、スーパー・プリュームと呼ばれているもの以外にも、小さな流れは無数にあるのです。震源マップと火山地帯マップは一致するといいましたが、それは言い換えるとマグマやガスの上昇地点は、プレート境界の拡散領域(プレートが生成される境界)である海嶺や海膨だけではなく、収斂領域(プレートが沈み込む境界)の海溝にも及んでいるということです。そして、震源が100q以深の地震は海溝周辺が多いのです。深発地震と呼ばれている地震が特徴で、深さが600qの地点に震源が求められているものもあります。これは沈み込んだプレート内にマグマが侵入し、ガス爆発を引き起こしている為であります。プレート内の崩壊による振動は、スロー地震かサイレント地震の範疇に属するもの以上ではないでしょう。日本列島の震源断面図によれば、地殻は或る深さの所まで震源が求められていますが、それより以深になると空白になり、さらに深くなると今度は沈み込んだプレート内に震源が表れています。地震学では、地殻やプレートのような固く変形しにくい剛体的性質の層をリソスフェア(岩石圏)といい、それに対し、軟らかく流動性をもっている層をアセノスフェア(岩流圏)と呼んでいますが、この震源の空白域はアセノスフェアであると推定されています。高温で軟らかい低速度層ともいわれるこの層でも、頻繁にガスが発生しているのですが、岩石が軟らかい為にガスは岩石圏へ上昇した後に爆発を起こすのです。その為にその領域は、震源の空白域なのです。また、プレート内の爆発は深さ600qであってもその振動は地殻へ伝わりますが低速度層以深の爆発は低速度層そのものが緩衝帯となる為、伝わらないに違いありません。そして、沈み込んだプレート上方のアセノスフェア内にマグマ溜りが想定されていますが、このマグマ溜りはプレートとの摩擦熱で生じたものではなく、コア内部と通じていることから生じていると考えるべきでしょう。上部マントルを通ってアセノスフェアに入ったマグマは、地殻と沈み込んだプレートとの45度角程の壁に阻まれマグマ溜りを形成した後、地殻とプレート内にじわじわと侵入していくのです。プレートが600qも沈み込むということはマグマの侵入範囲が極めて広いということですから、地震頻度が海嶺に比べて海溝の方が上回るということは、それなりに頷けるものがありましょう。海嶺ではマグマやガスの継続的噴出により、絶えずエネルギーは解放され続けますが、海溝周辺ではエネルギーはこもりがちになり拡散する為に、地震の多発化という形になるのでしよう。拡散領域の海嶺付近で生じる地震の震源は、プレートとプレートの間の裂け目の真中に求められており、長大な海嶺の裂け目を縫うかのように無数に震源が求められています。これは海底火山としての海嶺が周期的に噴火する為に、その爆発地点が震源として求められたものでしょう。これは海膨にしても同様です。過去には、海底火山噴火による大爆発によって海底地震が発生し、トランスフォーム断層が多く生じました。岩盤の崩壊によって断層が生じたわけですが、岩盤崩壊そのものは爆発が原因なのだということです。ところで、地震波の測定ではキャッチされた振動が、ガス爆発によるものか、岩盤の崩壊によるものなのかの区別がつけられません。もし、その判別が可能であったのなら地震学は、とうの昔に巨大地震が火山性の地下ガス爆発によるものであるという認識に達していたに違いありません。私達が多くの地震は岩盤の崩壊、断層がずれることによって生じるというほとんど信仰に近い信念と前提で判断している為に、その点を見逃してきたというべきなのです。
98年の7月17日、パプアニューギニアで、M7・0の地震による15mもの高さの大津波が襲い、4700人を越える死傷者行方不明者を出したことが報道されていました。以前にもこの地方でM8・1の地震があったにも関らず、今回はそれを上回る大津波が発生したことが疑問視されましたが、河川からの堆積物が地震による衝撃によって海中で滑落したことが大津波の原因ということで落ち着いたようです。しかし、地震そのものは両方とも震源地下内部での爆発によるものでありましょう。この近くには、ホットスポットのあるカロリン諸島があり、地下には太平洋スーパー・プリュームがあって、地震はその枝分かれした上昇流による爆発が原因ではないでしょうか。
9月3日夕方、岩手山麓雫石町周辺で震度6弱、推定マグニチュード6の強い地震が発生し、気象庁はこの地震は岩手山の火山性地震ではなく、逆断層型地震との見解を示しました。震源の深さは極く浅い、とされています。にも関らず震源近くにあってその地震を体感した人は、「爆発でもあったかのようにドーンと突き上げられるような衝撃を受けた」「ドドーンと足の裏から突きあがる感じで、山が吹っ飛ぶんじゃないかと思ったj(産経新聞)とそれぞれの感想を語っています。これまで述べてきたように、この地震も地殻内部でのガス爆発によるものと思えます。体感者は、それを直接感じたのではないでしょうか。下から突き上げられるような感じの地震は、東北地方にありがちな地震とされていますがそうではないでしょう。この爆発によって岩手山の火山活動もその時点で一段落したものと思えます。震源は岩手山山頂から南西へ約10q付近で、余震とみられる地震もその周辺で起きているといわれています。それに対して、岩手山の火山性地震は8月以降は中心から西へ5〜10qの三ツ石山付近を中心に観測されていたというものです。両者の距離は十数キロとしても、地下深部からすればこの距離は在っても無いようなものでしょう。この地震によって道路や田圃が隆起し用水路のコンクリートが破壊され、断層が露わになりましたが、爆発による衝撃によって断層が動き隆起が生じ、地表に新たな亀裂が走ったのだと思われます。
99年には、一ヵ月余りの間をおいて2度のトルコ大地震、ギリシャと台湾、と大地震が立て続けに起こりました。台湾では、M6以上の余震が何回も起こり、日本の地震とは性質の違う地震といわれましたが、これはタヒチ島地下のスーパー・プリュームからの影響によるものと思われます。トルコとギリシャのそれはアフリカ・スーパー・プリュームからのもので、両方共、中心核周辺の活動が活発化していることによるものと思われます。この年、イタリアのヴェスビオス火山の地下活動が始まったことが、サイエンス紙に伝えられています。
2000年3月31日には、北海道有珠山が23年ぶりに噴火し、地球内部の活動が相変わらずで、少しも衰えてはいないことを示したかのようでした。そして、有珠山が落ち着いてきたかと思ったら、6月には三宅島周辺が活発化し始め、群発地震が多発し、三宅島の雄山が何回か噴火しました。さらに三宅島周辺が収まったと思ったら、8月には福島の磐梯山が活動を始め、予断を許さない状況が続きました。9月には浅間山の火山性地震が1時間あたり最高で40回に急増したことが報道されています。そして鹿児島の櫻島が噴火したかと思うと、鳥取西部大地震の発生と、日本列島は息つくひまもない程、自然災害に見舞われています。三宅島の活動はこれまで例がない程の大量の亜硫酸ガスが発生しており、ガスは神奈川、東京、千葉にまたがって流出したと、報道されています。当然このガスは、コアに端を発しているものです。コアからのガスの流れは、噴火によってその通路が閉じられることにより、溜まったガスは、新たな噴出口を求めてかつての火山活動域に彷徨い出ようとするのです。火山活動の活発化が、一つが収まればまた別の所にと、連続し易いのはその為です。
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