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WR1182 枝野幸男衆議院議員の国会報告(2002/4/5、16、5/7、10、13号)−辻元さんについて・プライバシー保護を大義名分としながら実態は「行政のための個人情報管理法」になっている個人情報保護法案・韓国訪問記第1回・韓国訪問記第2回・韓国訪問記第3回・「メディア規制関連3法案」を考える5月のオープンミーティングのお知らせ

(2002/5/14)

衆議院議員:枝野幸男

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編集部注1:日本発地球メディア"World Reader"は、いかなる政党にも偏らない方針です。
編集部注2:本稿は民主党枝野幸男衆議院議員のEメールニュースレターからの転載です。

● 4月5日号 国会はたいへんな荒れ模様です。 辻元清美さんが議員辞職し、 加藤紘一さんには資金流用疑惑が生じ、 井上参議院議長にも疑惑が持たれています。 辻元さんとは党派も異なり、 政策的にも違う部分がありましたが、 市民派の姿勢や政策能力など共感できる面も多く、 期待していただけに残念です。 辻元さんについて決定的だったのは、 疑惑について事実と異なる説明をしたことです。 有能な人だと見ていましたが、 攻める側が守る側に回り、 パニックになって適切な対応ができなかったことが、 自分で自分を追い込む結果につながったと思います。 政治家である以上、何らかの形で 国民の生命や財産にかかわる 危機管理に直面する可能性があります。 どんなときにも冷静かつ合理的な判断をできるのか、 政治の仕事にたずさわる以上 常に自分に問いかけ続けなければならないと感じています。 辻元さんは、 自分よりずっと悪いやつが居座っていることに、 割り切れなさを感じていたようです。 だからと言って 自分の責任を明確にしないで、 他人を批判しても説得力はありません。 自分で言わなくても、 辻元さんがきちんと説明責任を果たし、 政治的な責任を明らかにすれば、 周囲がその本質を追及していたはずです。 予算委員会では、 加藤・鹿野・辻元の三氏について 参考人招致に合意しましたが、 与党は、 最も悪質かつ広範な疑惑を持たれている 鈴木宗男氏の再度の証人喚問については まったく応じようとしていません。 前回の喚問では 質問項目も制限されていましたし、 喚問後にも次々と新たな疑惑が出ています。 三氏の参考人招致も当然ですが 鈴木氏の再喚問はそれ以上に当然です。 辻元問題のどさくさにまぎれて、 鈴木宗男問題にふたをすることを 許してはなりません。 ● 4月16日号 【個人情報保護法案について】 私が、現在、直接担当している案件に 個人情報保護法案があります。 コンピューター社会にあって 顧客情報や信用情報などの流出を防ぎ プライバシーを守ろうという法案で その趣旨は大賛成です。 しかしこの法案は 名簿流出など日々問題になっている プライバシー侵害に対する抑制措置が不充分なのに、 報道などに対する行政介入の余地を設けるという 「あべこべ」の中身になっています。 マスコミの過剰な取材などに対して 個人のプライバシーを守る必要は否定しません。 しかし、「何が過剰か」という判断を 公権力に委ねてしまったら、 報道が権力におもねる結果となり、 本来の役割を果たせなくなります。 民間に対する個人情報保護法案と当時に、 行政機関等の有する個人情報の保護法案も提出されていますが、 民間に対しては罰則付きで規制しているのに、 行政に対しては罰則がない上に、 収集した個人情報の目的外使用について 広範にこれを認めています。 民間は悪いことをするけれども 官は間違いを犯さないという 時代遅れの官尊民卑思想に基づいています。 プライバシー保護を大義名分としながら 実態は「行政のための個人情報管理法」になっているのです。 表現の自由という民主主義の基本に関わる重要問題です。 政治倫理に関わる様々な問題も マスコミ報道がその糸口を作っています。 一部に行きすぎがあったとしても 公権力がこれを規制することは 何としても阻止しなければならないと思います。 ● 5月7日号 【韓国訪問記 第1回】 大型連休を 皆さんはどのようにすごされたでしょうか。 私は、岡田克也政調会長を団長とする 民主党訪問団の副団長として 韓国に行ってきました。 これは、昨年鳩山代表が訪韓した際に、 新千年民主・ハンナラ両党との間で 定期協議の場を設けることを 約束してきたことに基づくものです。 その報告を3回にわけていたします。 □4月28日(日) ○成田発17:00、仁川着19:25の大韓航空機で韓国へ この日は13:30から大宮で会合があり、 最初に挨拶をさせていただいて成田へ急行。 乗り継ぎさえ良ければ、 指扇駅から成田空港駅まで2時間で着きます。 ○21:00〜22:00 在ソウル日本大使公邸で大使からブリーフィング。 今回は、民主党としての訪問団ですので、 当然のことながら、移動の車代などを含めて、 大使館には経済的負担をさせていません。 それでも、通訳をお願いしたり 要人のアポイントメントを取ってもらったり、 大使館にはたいへんなお世話になっています。 海外で真面目に仕事をしようとしたら 大使館の協力は不可欠ですが、 一方で大使館を 旅行代理店のように使う議員の話も良く聞きます。 このあたりのけじめのつけ方も、 政治倫理に対する感覚として 問われるところです。 □4月29日(月) ○9:10〜9:40 故朴正煕元大統領の娘で ハンナラ党を離党し新党結成に動いている 朴槿恵(パク・クネ)議員と会談。 朴氏は、新党結成の動機として 政治腐敗を打破して 政治への信頼を回復することを強調しました。 北朝鮮との関係では、 平和共存を原則にすべきとし、 現政権の太陽政策に賛成しながらも、 その具体的推進手法には疑問を呈しています。 離散家族問題などがイベント化しているとして、 きちんと制度化して実施していくことが重要であると強調。 北がしっかりと約束を守ることを確認しながら進めないと 利用されるだけだという認識と理解しました。 大統領選挙への立候補は明言しませんでしたが、 盧武鉉氏とは違うことを強調し、 盧ブームの様子見をしながら 新党の基盤を固めてチャンスを窺っている との印象でした。 ○11:00〜12:00 丁世鉉(チョン・セヒョン)統一部長官と会談。 長官は、太陽政策4年間の成果として 北も徐々にかつ確実に変化していることを強調し、 日本も、大国としての大きな観点から 東アジアの平和と安定を求める役割を果たすため、 北との関係改善にさらに努力して欲しい、 圧迫よりも説得であると 繰り返し強く発言しました。 日本側からは、 これまで関係改善への期待が裏切られてきたことに加え、 拉致問題や朝銀問題もあって、 日朝交渉の早期進展には懐疑的であるとの見込みを示したのに対し、 長官は、80年代のソ連などを例に出して、 外からは変わっていないように見えていても、 北の内部は大きく変化していると述べ、 重ねて太陽政策の成果に強い自信を示しました。 時として強硬姿勢を示さないと 交渉が進まないと見る日本側と、 太陽政策による内部的変化を認める長官とで、 認識にはズレが残ったというのが 率直な印象です。 ○12:15〜13:30 ソウル大学の張達重(チャン・ダルチュン)教授をはじめとする 日本研究者たちと昼食を取りながら懇談。 張教授以外の4名の研究者は 韓国で386世代と呼ばれる若手で 私と同世代の人々。 30代を中心に若い世代の 米国離れや政治不信が強まっていること、 その影響もあって、大統領選挙が 世代間の争いとなりつつあることなど、 同世代の皆さんからの話に 興味深いものがありました。 また、韓国でも若い世代を中心に 日本PASSINGの傾向が強まっているとのことで、 危惧の念を抱かざるを得ません。 ○15:00〜16:45 野党ハンナラ党の李康斗(イ・ガンドゥ)政策委員会議長等 7人のハンナラ党国会議員団との会談。 新千年民主党で盧武鉉が勝利した要因について、 金融危機の際に全体の生活水準が下がったとして 苦しい層が変化を求めているということと、 北への警戒感が薄れていることを指摘。 野党らしい見方であると感じました。 経済危機については、 六兆円超の公的資金を使うことで 表面上は危機を乗り切ったように見えるが、 莫大な公的資金の償還問題や、 製造業や銀行を中心に国内産業が 外資の手にわたってしまったという問題があり、 質的には問題が深まっているとの認識が示されました。 また、個人消費が伸びているのは、 金融機関が対企業融資よりも個人に目を向けた結果であり、 手放しでは喜べないとの指摘もありました。 南北間の人道問題については、 民族の問題であり政府に協力しているとしつつ、 経済協力などこれを超えた課題については 北の出方をしっかりと検証しながら進むべきとして、 慎重な姿勢を示しました。 民族和解と対話そのものは否定しないものの、 金大統領の「太陽政策」については、 交渉のテーブルにつかせることのために 検証なしにカードを切っているとして批判的でした。 融和よりも強い姿勢で迫ることが 北を妥協させるために必要との立場と理解しました。 ○17:00〜18:00 新千年民主党の大統領候補に決まった 盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の特別顧問である 南永振(ナム・ヨンジン)・李忠烈(イ・チュンヨル)両氏と会談。 盧武鉉ブームの原因として、 4,600万人の国民のうち、 最大の新聞でも読者数200万人に過ぎず、 2,500万人がインターネットで情報収集していることを指摘し、 保守的な新聞が批判しても インターネットが盧武鉉氏を守ったことをあげていました。 政治に失望していた40代・30代が支持の中心で、 一般に保守化が進むといわれる40代が 金融危機を通じて最も大きな被害を受け、 保守化せずに改革を求めているとしています。 盧現象が戦後冷戦構造的思考を 終わらせる契機になるのではないかと 期待していました。 韓国はグローバル化が必要であるのに 腐敗や縁故の問題を抱えており、 これを打破する上で、 これまでアウトサイダー的立場にあったことや 原則に従い、あらゆる犠牲をいとわない姿勢が 強く支持されているとのこと。 これからは、 ・分裂から統合へ ・縁故から能力主義の社会へ ・価値に立脚した政治体制 という原則が重要であると強調していました。 盧武鉉氏に対しては、左翼であるなどの ネガティブ・キャンペーンがなされてきたが、 その度に支持率が2%前後上がってきたとのこと。 右左の色分けに対して時代遅れであるとの認識が、 若い世代を中心に一般化してきているとのことで、 日本でも早くそうなって欲しいと感じました。 日韓関係では、 海洋水産部長官として竹島問題に柔軟な対応をし、 国内の政治問題となることを阻止したことをあげ、 過去よりも未来を志向するとの 金大中のこれまでの路線を継承するを明言しました。 ● 5月10日号 【韓国訪問記 第2回】 韓国訪問記の第2回、4月30日(火)です。 ○9:00〜10:30 橋本理事長(韓国三井物産社長)をはじめとする SJC(SEOUL JAPAN Club)の在韓国邦人経済人と懇談。 韓国の個人消費回復について、 カードや個人向け不動産担保ローンなど 借金をして消費するという傾向が強いとのこと。 こうした個人債務が不良債権化して 第二の金融危機になる可能性まで指摘していました。 金融危機については、表面的には乗り切ったものの 不良債権を切り離したにすぎず、 最終処理は進んでいない側面もあるとのこと。 ただ、外資導入については抵抗感が少なく、 日本からの投資について、 特に組立業依存から裾野を広げるためにも 期待が大きいと聞きました。 ○10:45〜11:45 戦争記念館を視察。 対日戦争を中心に展示してある独立記念館と同様に、 ここでも日韓の歴史を感じさせられますが、 むしろ中心は朝鮮戦争に関する展示です。 ソウルの街中は東京とかわりがないようでも、 ここを見ると 分裂国家であることや 軍事的緊張状態にあることを いやでも感じざるをえません。 ○12:00〜13:30 崔圭徹(チェ・ギュチョル)論説室長ら 東亜日報の皆さんと昼食を取りながら懇談。 盧武鉉氏については厳しい見方で、 政界再編の可能性まで含めて、 選挙本番の年末までには 紆余曲折があると指摘していました。 ○15:15〜15:40 新千年民主党の大統領候補に決まった 盧武鉉氏と会談。 大統領候補に決まってから はじめての外交団との会談となってようで、 当地のマスコミも多数取材に来ていました。 外交については素人と言われていますが、 日韓関係について訪ねたところ、 「個々の問題で感情に流されたり  国民の人気取りに走ることなく、  未来志向で協調していきたい」と語り、 原則として金大中の路線を継承することを明言しました。 評判どおり庶民的な雰囲気をかもしだしていた上に、 質問に対してすぐに回答せず、 一呼吸置いて冷静に答える姿勢に 個人的にも好感を持ちました。 ○15:50〜16:20 新千年民主党の代表委員らと会談。 新千年民主党は金大統領の与党ですが、 大統領への権限集中に批判が強まり、 6名の代表委員による集団指導制に改められ、 そのメンバーに決まったばかりの皆さんとの会談です。 盧武鉉氏について 「民主党の」大統領候補であることを くりかえし強調していました。 言われているような極端な人物ではなく、 従来の民主党の路線を大きく外れないことを示して、 安心感を与えたいものと感じられましたが、 一方では、民主党の路線からはみ出すことへの 不安の裏返しのようにも思えました。 ○16:30〜18:00 新千年民主党議員団と実務的政策協議。 選挙区に戻ったときの有権者の反応を根拠に 韓国経済は回復しつつあると明言しました。 与党である以上当然の発言ではありますが、 選挙民とじかに接する立場からの見解には それなりに説得力を感じます。 貧富の差の拡大については認識しており、 ノ・ムヒョンが打ち出す政策でも重視されるであろうとのこと。 急速な経済回復の中で 対応力のある人はますます良くなり、 対応力のない人は悪いままという傾向だと言います。 また、金融危機対策で結果的に 不良債権が政府債務になっていることを認めていました。 盧武鉉氏がラジカルと言われるのは、 民主化前の時代に彼が発言したことを捉えたものであって、 状況が変わった現在では、 民主党の基本的な政策を継承し 現実的な政策を訴えるものと 強調していました。 ○18:30〜20:30 新千年民主党主催の夕食会。 ○21:00〜23:00 代表委員に選出されたばかりの秋美愛(シュ・ミアイ)氏、 大統領予備選で2位になった鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏、 第一政策調整委員長の咸承煕(ハン・センエイ)氏 の新千年民主党中堅若手のホープ3氏と懇談。 特に鄭氏は済州島での遊説を終えて 夜の飛行機で駆けつけてくれました。 この中から5年後の大統領が出るかもしれないという 未来のリーダーとの和やかな懇談となりました。 ● 5月13日号 【韓国訪問記 第3回】 5月1日(水) ○10:00〜10:50 崔成泓(チェ・ソンホン)外交通商部長官と会談。 韓国の外務大臣に相当する閣僚です。 ブッシュ政権に対する見方や 日韓自由貿易協定などについて議論しましたが、 政治家出身の大臣ではなく官僚出身であるため、 公式見解に終始したのが残念でした。 ただここでも、 太陽政策に基づく対話路線によって 北朝鮮を軟化させていくという姿勢について、 強い自信を示していました。 また、この文脈の中で、 北朝鮮不審船の引き上げについて、 引き上げによって北朝鮮の船であることが確定することで 日朝関係がさらに悪化するのではないかと危惧する との趣旨の発言がなされました。 ○12:00〜13:00 崔相龍(チェ・サンヨン)前駐日大使と昼食をとりながら懇談。 前大使とは個人的にも旧知の間柄で 大使を辞めた気安さからか 率直な意見交換ができました。 特に韓国における若者の意識変化が著しく、 北朝鮮に対して 戦争になる可能性をほとんど感じておらず、 むしろ遠からず統一されることに 確信をもった若者が多いとの認識に 驚かされました。 ○14:30〜15:00 金鍾泌(キム・ジョンヒル)自民連総裁と会談。 朴政権以来、政界中枢に生き残っている大物らしく 貫禄と風格を感じさせましたが、 その発言は、残念ながら 古典的反共保守派の範囲を越えることができず、 特に盧武鉉氏対して批判的でした。 注目したのは 独裁的権力は必ず腐敗するとして 大統領制を議院内閣制に改めるべきだと強調したこと。 権力の中枢にいた人の発言だけに 説得力がありました。 ○以上で公式の日程は終了し、 他のメンバーはこの日の夕方に帰国しました。 私は4度目の韓国訪問でしたが、 これまでもすべて仕事で、 今回のようにハードな日程のため、 ソウルの名所旧跡等をまったく知りませんでした。 そこで、韓国の宮殿跡である 景福宮と昌徳宮を見学することにして 5月3日に帰国しました。 海外に行くと思うことですが、 報道などを通じて知っている事実と 現地で当人などから聞く事実とには、 かなりのギャップがあります。 特に日本にとって関係の深い韓国の状況などは、 定期的に訪問することで 現地の関係者とも信頼関係を構築し、 相互に共通認識を持つことが重要であることを あらためて感じた訪問でした。 韓国訪問記は下記にて掲載中です。   http://www.edano.gr.jp/e-news.html □■□□□ 「メディア規制関連3法案」を考える。 5月のオープンミーティングのお知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  現在、国会では、「メディア規制関連法」が審議されています。 枝野は、これらの法案には、表現の自由という 民主主義の基本に関わる問題を含んでいると考えています。 そこで、今回のオープンミーティングでは、 何故、「メディア規制3法案」を問題であると考えるのか をテーマに開催し、これらの法案の問題を追及していきます。 ぜひ、ご参加ください。 ※オープンミーティングとは? 毎月、1回、枝野から政策を訴え、 また、皆さんと政策を語る会を実施しています。 参加費や予約は不用ですので、 はじめての方もお気軽にご参加ください。 過去の抄録は下記にて公開しております。 ●日 時 05月19日(日)14:00〜16:00 ●会 場 大宮ソニックシティーホール棟4階国際会議室 ●詳 細 http://www.edano.gr.jp/om/om-info.html  ●抄 録 http://www.edano.gr.jp/om/om-archive.html   ※当日先着順・入場無料


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