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若田さん搭乗のシャトル、打ち上げ成功

2009年3月16日8時58分

写真:15日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから若田光一さんらを乗せて打ち上げられたディスカバリー=飯塚悟撮影拡大15日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから若田光一さんらを乗せて打ち上げられたディスカバリー=飯塚悟撮影

写真:米フロリダ州のケネディ宇宙センターで15日、見送りの声援に「頑張ってきます」とこたえ、バスに乗り込む若田光一さん=飯塚悟撮影拡大米フロリダ州のケネディ宇宙センターで15日、見送りの声援に「頑張ってきます」とこたえ、バスに乗り込む若田光一さん=飯塚悟撮影

写真:スペースシャトル・ディスカバリーに乗り込む前、笑顔をみせる若田光一飛行士=NASAテレビから拡大スペースシャトル・ディスカバリーに乗り込む前、笑顔をみせる若田光一飛行士=NASAテレビから

 【ケネディ宇宙センター(米フロリダ州)=勝田敏彦、田中康晴】米航空宇宙局(NASA)は米東部時間15日午後7時43分(日本時間16日午前8時43分)、若田光一飛行士(45)ら7人が乗り組むスペースシャトル・ディスカバリーを打ち上げた。若田さんは日本人最多の3度目の飛行で、日本人初の宇宙長期滞在(約3カ月間)に挑む。

 ケネディ宇宙センターから打ち上げられたディスカバリーは、轟音(ごうおん)とともに夕暮れの空を上昇。約9分後、外部燃料タンクを予定通り切り離して、打ち上げは成功した。マイク・ラインバック・シャトル打ち上げ部長は「これまで見た中で最も美しい打ち上げだった」と語った。

 打ち上げ2日後の17日午後(日本時間18日朝)にディスカバリーは国際宇宙ステーション(ISS)とドッキング。若田さんは現在ISSに長期滞在中のNASAのサンドラ・マグナス飛行士と交代、ISSの乗組員となる。

 宇宙航空研究開発機構が宇宙に送り出した日本人の飛行士は、これまで6人で宇宙飛行は延べ10回になるが、滞在期間は長くて15日間だった。

 若田さんは米ロの乗組員と協力してISSの保守などを行うほか、ISS内の日本の有人宇宙施設「きぼう」で様々な実験を行う。無重量状態が骨に与える影響を検証するため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療薬を飲んで若田さん自身も「実験台」となる予定だ。

 5月からISS滞在の飛行士が3人から6人体制になるのに備え、尿を完全再利用する装置の実証運転も行う予定で、若田さんは再生水の「試飲」にも意欲を示す。

 若田さんは6月、「きぼう」を完成させるために船外実験プラットホームなどを運んでくるシャトル・エンデバーで、帰還する予定。

 今回のディスカバリーは、ISSの背骨に当たる最後の構造物「S6トラス」の設置が主な任務。S6トラスの太陽電池パネルがうまく展開できれば、ISSの太陽電池が完成する。S6トラスの設置には、ロボットアームを操作する若田さんが中心的な役割を果たす。

 打ち上げは当初、2月12日の予定だったが、燃料系の問題で数回にわたって延期されていた。延期に伴い、ロシア・ソユーズ宇宙船の打ち上げ日程との関係で飛行期間が1日短縮され、船外活動も1回中止される。ディスカバリーは28日昼すぎ(日本時間29日未明)、帰還する予定。

 若田さんに続き、今年12月ごろから野口聡一さんが、11年春ごろから古川聡(さとし)さんが、いずれもISSに6カ月間の長期滞在を予定している。日本人の「宇宙利用時代」に向けて、一歩を踏み出した。

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