久米島町の公立久米島病院(村田謙二院長)の助産師が4月以降、現行の3人から1人になることが16日、分かった。13日に発令された県庁人事で、県立病院から派遣されている助産師3人中、2人が任期満了で3月末に異動するが、県立病院の助産師不足や希望者がいないことなどから、後任を充てることができなかった。同病院は昨年3月以降、常勤の産婦人科医師がいないため分娩(ぶんべん)には対応できず、緊急時に3人の助産師が交代で緊急ヘリ要請の判断や体調管理などを担っている。1人体制で緊急呼び出しに連日対応するのは難しく、久米島町の出産環境はさらに厳しさを増すことになる。
平良朝幸久米島町長は「助産師まで減ると離島の福祉はどうなるのか心配だ」と話した。
久米島病院の医療スタッフは、県立病院から派遣と公募で確保している。県医務国保課は「県立病院そのものの助産師数が少ない」と説明。県病院事業局は「久米島は知事部局への出向という形になるため、本人の了解が必要。助産師たちにもそれぞれ生活があり、離島勤務を希望する者がおらず、配置できる状況ではない」と話している。
同病院の村田院長は「1人だと365日、緊急の対応はできない。どうしてももう1人か2人は必要だ。一番のネックは経営母体が違うので県立が優先され、久米島が後回しになることではないか」と話す。同病院は、後任の助産師が見つかるまでは、中部病院の研修で産科の患者を診た経験のある総合診療科の医師2人が緊急時に対応することにしている。
同病院や運営する県離島医療組合は、県に助産師の派遣を引き続き要請しながら、ホームページや広告などで募集する。
(高江洲洋子、玉城江梨子)
(琉球新報)
2009年3月17日