大学教授や弁護士などでつくる「伊勢崎市民病院経営検討審議会」(会長・石井晴夫東洋大教授)は16日、市民病院の経営健全化や今後の経営母体の変更などを柱とする答申をまとめ、五十嵐清隆市長に提出した。
市は今回の答申を受け、今月末までに病院の経営改善策などを盛り込んだ「公立病院改革プラン」を作成するが、石井会長は「2年間で赤字体質から脱却できなければ独立法人化も検討すべきだ」と指摘しており、厳しい見直しを迫られそうだ。
伊勢崎市民病院は05年の合併で新市が発足して以来、毎年度、一般会計から約8億円を「病院事業会計」に繰り入れるなど慢性的な赤字体質が続いており、経営改善への取り組みが急務。
審議会は08年11月から同病院の経営効率化や経営形態などついて検討、答申は▽経営効率化による赤字体質からの脱却▽2年間で赤字体質改善が見られない場合、経営母体の変更も視野に入れる▽市民への積極的な医療情報の提供▽患者本位の地域医療サービスの提供--を提言しており、赤字を解消できない場合は、市営の見直しも検討すべきだとした。
また、病棟の増築工事やICU(集中治療室)の増床、がん治療総合センターの建設などについて「過剰投資」と指摘。「親方日の丸的考えから安易な経営に陥り」などと運営のあり方を批判した。
同病院は内科、外科、小児科など19科を持ち、一般、伝染病床計504床を備える総合病院。1948年の開設以来、地域の医療拠点としての役割を担ってきた。同病院財務課によると、今年度の利用者数は2月末現在で、外来が延べ約30万人、入院は同約15万人に上る。
市は改革プランに基づき、09年度から5年間で経営改善を図る方針。同病院財務課は「答申を真摯(しんし)に受け止め、収支改善を図りたい」としている。【杉山順平】
毎日新聞 2009年3月17日 地方版