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警官の「職質動画」YouTubeに投稿で物議

「警察官を侮辱したな」──警察官の職務質問の様子を撮影した動画がネット上に投稿され、物議をかもしている。兵庫県警は警察官に対し萎縮しないよう呼びかけているという。
2009年03月13日 20時33分 更新

 警察官の職務質問の様子を撮影した動画がネット上に投稿され、物議をかもしている。神戸市内で兵庫県警の警察官4人から職務質問を受けた何者かが投稿したものだが、「私にも肖像権がある」「警察官を侮辱したな」などと声を荒らげる警察官の姿が約2分半にわたり映っている。県警本部は地域担当の警察官に対し、職務質問で萎縮しないよう呼びかけているというが……。

 問題の映像は今年1月、世界最大の動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開された。「職務質問 兵庫県警新港交番」のタイトルと<兵庫県警察官巡査部長 ××と△△(いずれも実名)による職質「人間的に汚い奴ですね」>というコメントが話題を呼び、今月10日までに約13万回再生されている。

 撮影者に対し、女性警察官1人を含む4人の警察官が職務質問しているという動画。男性警察官2人は警察手帳を示して名前も名乗ったが、撮影者は質問に答えず、言葉も一切発することなく撮影を続行。その撮影者に対し、警察官は「人間的に汚いな」などと威嚇するが、撮影は止まらない。警察官は任意で交番への同行を求めたがこれにも応じず、最後は職務質問を断念した。

 この投稿に対し、閲覧者のコメント欄には700件近い書き込みがあった。「公務中(の警察官に)は肖像権ない」「一般人に対しても高圧的な職質」などといった警察官への非難も多い。

 兵庫県警によると、職務質問中の撮影や、撮影した動画の投稿を規制する法律はないという。ユーチューブへの削除依頼も「いまのところ出す予定はない」といい、現状は“放置状態”だ。

 ただ、職務質問は犯罪捜査の基本。昨年の同県警の検挙件数のうち、職務質問が容疑者逮捕に結び付いたケースは約5400件もある。しかし最近は、職務質問を拒否する市民も多く、ネット上には拒否の方法も掲載されている。また、今回と同様、職務質問する警察官を激写した写真や動画が投稿されるケースも増えている。

 弁護士の紀藤正樹氏は「公的権限を行使している以上、警察官は撮影されてもやむを得ないし、肖像権の主張も難しい。しかし、職務質問ができない社会は犯罪を未然に防ぐこともできなくなる。警察側は1対1の職務質問を避けたり、言葉遣いに気をつけるなど、従来の方法を変える一方、市民も誤認逮捕を避けたいならば、職務質問には協力した方がよい」と話す。

 兵庫県警本部は今回の投稿を受けて「毅然とした職務質問を行い、拒否する相手にも冷静に対応するよう各警察署に文書で指示しました。犯罪抑止の観点から、職務質問に対する市民の理解が得られるよう指導していきます」としている。

[ZAKZAK]

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